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株式会社JMC ZAC導入事例

  • その他業種
  • 従業員数51〜100名
  • スピーディな原価計算
  • 内部統制・上場準備
  • 工数管理
  • システム連携
  • 関東地方

スピーディに「原価管理」「内部統制」を整備し、わずか2年弱の準備でマザーズ上場を実現

"ZAC Enterpriseを導入していなければ、2年弱という短い準備期間での上場は難しかったと思います"
──取締役 CFO 森谷 知子 様

3Dプリンター出力事業と鋳造事業で顧客メーカーのものづくりを支援する株式会社JMCは、2016年11月29日に東京証券取引所マザーズ市場へと上場しました。上場準備にかけた期間はわずか2年弱、しかも直前期の2015年に基幹システムをZAC Enterprise(以下、ZAC)へリプレイスするなど異例のプロセスを経て上場を実現しました。上場の実現に向けてZACはどのように貢献したのか、上場のキーパーソンであるCFO森谷様にお話をうかがいました。

わずか2年弱の上場準備、ZACがなければ上場は難しかった

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オロ:JMC様の事業内容を教えてください。
森谷様:顧客メーカーのものづくりをサポートする「3Dプリンター出力事業」と「鋳造事業」を行っています。技術の進化により、自動車、エレクトロニクス、医療機器などの業界ではますますスピーディな製品づくりが求められています。当社の3Dプリンター技術、鋳造技術はこのようなメーカーニーズに応えるもので、試作品から量産品まで複雑な形状の部品を高品質かつ短納期で製造することができます。
当社は2016年11月29日に東京証券取引所マザーズに上場しましたが、これは現在稼動中のコンセプトセンター(長野県飯田市)の生産能力を増強し、さらに顧客ニーズに応えていくための経営判断です。上場を機に、社員一同より一層業務に邁進していく所存でおります。
オロ:上場準備は実質2年弱だったそうで、とても驚きました。
森谷様:2016年中の上場を目指して、2015年初頭から本格的な準備を開始しました。「上場準備を2年弱でやるなんて信じられない」とよく驚かれるのですが、ZACの導入がなければここまでの短期間で上場を実現することは難しかったと思います。

課題の多かった旧基幹システム、直前期のシステムリプレイスを決断

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オロ:システムリプレイスを検討された経緯を教えてください。
森谷様:2015年初頭の段階では、早急に内部統制プロセスを構築し、正確かつ迅速に財務データを作成できる体制を整える必要がありました。しかし、当時使用していた基幹システムはそのための機能が大きく不足していましたし、ベンダー企業様のサポート体制にも不安がありました。決算作業中にシステム不具合などがあった場合には迅速な復旧が求められますので、ベンダー企業様も含めてシステム選定を改めて行うことから上場準備をスタートさせたのです。
私は前職でもERP導入を経験しているので、基幹システムの入れ替えがどれほど大変かはよく知っていましたし、そこに上場準備も重なればものすごく負荷がかかることは十分承知していました。でも、限られた人員で効率よく体制を整えるためには、既存システムの改良よりもいっそシステムを入れ替えた方がよいと判断したのです。

手作業による原価計算は「内部統制上のリスク」

オロ:当時の課題を詳しく教えてください。
森谷様:特に大きな課題は非効率な原価計算でした。当社のビジネスは人件費が原価の大半を占めるので、原価計算を行うには製造にかかった作業工数を正確に集計する必要があります。そこで、製造スタッフの工数をExcelで集計し手作業で計算を行っていましたが、販売プロセスと工数管理が連携していないため、受注済みの案件データが工数管理側に反映されないなど情報の網羅性がなく、また、勤務時間と工数時間がイコールにならないなど人為的な入力ミスも発生していました。当然、工数が正しくなければ原価計算の配賦基準も誤ったものになるため、ありえない原価データが作成されるなど不正確な原価計算となっていました。
監査法人からは手作業での原価計算は「内部統制上のリスク」だと指摘されていて、正確性やスピードを担保するためシステムの導入を以前から提案されていたのです。

「スピーディなシステム導入」が絶対に譲れない条件だった

オロ:システムの入れ替えはどのように進めましたか?
森谷様:まずは財務諸表の作成をスピーディにするため、会計システムに株式会社オービックビジネスコンサルタント(OBC)さんの「勘定奉行」を導入しました。その際OBCさんに原価計算や内部統制の課題も相談したところ、「そういう要望であれば勘定奉行とZACを連携させる形がよいと思います」とご提案いただきました。勘定奉行とZACの連携実績も豊富ということだったのでオロさんのご紹介をお願いしたのです。
オロ:ZACの第一印象はいかがでしたか?
森谷様:上場企業がZACを導入していることに安心感がありました。管理体制がしっかりされている印象の会社がZACユーザーであることは好印象でしたね。実際の画面を見た時には、ユーザーをうまくナビゲートしてくれるインターフェースがいいなと感じました。ユーザーは多くの時間システムに触れるので、ユーザーフレンドリーであることを重視していたのです。
本格的な検討を進める中でメジャーなパッケージ製品との比較もしましたが、ZACが当社のビジネスに一番フィットしており、カスタマイズも少なく導入できそうというのが採用の決め手でした。ZACはもともと原価の大半を人件費が占めるようなビジネスを想定した設計なので、当社のビジネスも問題なく管理できるという期待がありました。
オロ:監査法人はZACについて何かコメントしましたか?
森谷様:上場企業への導入実績や、原価計算への対応について確認されましたが、特に念を押されたのは「2015年度の決算までに導入できますか?」という点です。「間に合わなければ2016年中の上場は難しい、すぐに導入できるならシステム入れ替えに賛成です」と。そこはどうしても譲れない必須要件として、オロさんにはかなり無理を聞いていただきました。

ZAC導入と並行しながら、内部統制の手続きを固める

オロ:内部統制プロセスの構築はどのように進められましたか?
森谷様:ZACの採用を決定した時点では内部統制プロセスの構築はまだ手付かずの状態でしたので、ZAC導入作業と並行してJ-SOXに必要な「業務記述書」の作成を進めていきました。
例えば、販売・購買プロセスでは、それぞれの具体的な申請承認フローなどのルールを当社側で決め、それがZACのシステム上運用可能かどうかSEの方と確認し、必要に応じてシステムのカスタマイズ、もしくは、ルール自体の変更も検討しました。ZACがコントロールプロセスのツールとして役立ち、効率的に内部統制が働くように仕組みづくりを進めていったのです。こうして決められた各プロセスを業務記述書に記載していく要領です。
オロ:ZACの導入作業で大変だったことはありましたか?
森谷様:システム導入面ではSEの方のサポートもありほとんど問題はなかったのですが、当社側の受け入れ体制を整えることの方が大変でした。ZAC導入タスクの割り振りや、社員向けの説明会開催など、そちらによりパワーを使った感じです。

原価計算にかかる日数を20営業日から5営業日へ、75%削減

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オロ:ZACの利用方法を教えてください。
森谷様:案件をベースに営業から製造まで一元的に業務を管理しています。まず営業は見積作成のタイミングから、製造スタッフの誰が何時間作業を担当するのか、おおよその工数をZACに入力していきます。入力された工数は製造スタッフの原価レートにしたがって労務費に換算され、案件の原価見積として反映されていきます。そこに、材料費や外注費などの原価見積を入力し、利益計画を立て、最後に値決めを行ってZACから見積書を発行します。お客さまへの見積提示は1回で終わることもあれば、何度も再見積することもあります。ZAC以前は紙の見積書をクリアファイルで管理していたので、これが思わぬミスの原因となっていたのです。ZACでは案件ごとに見積書のバージョンがシステム上で管理されるのでとても重宝しています。
案件が受注に至ると、今度は製造スタッフが日々の作業工数をZACに入力し、完成まで持っていくという流れです。営業プロセスと製造プロセスを分断することなく同じシステムで管理できるので、統制もかけやすいですし、数字の正確性や業務の効率化にもつながっています。
オロ:課題だった原価計算はどう変わりましたか?
森谷様:当社では月間約300件、年間約3,000件の案件が発生するので、原価計算に用いるデータの種類や量が膨大になります。そのため原価計算をマニュアルで行っていた当時は、経理担当者は製造スタッフの工数データや機械の稼動データを毎日集計する必要がありました。月末だけの集計作業では原価計算が間に合わなかったのです。
ZAC導入後は、実質毎日行っていた原価計算が5営業日ほどの作業で完了し、月末だけの作業でも十分回るようになり、精度も向上しました。月次決算も9営業日から4営業日ほどに短縮されています。
また、案件別の詳細な収支レポートもすぐに作成できるので、赤字案件の原因追究もできるようになりました。以前の大まかな原価計算では赤字の原因がわからず責任もうやむやになっていましたが、今は原因がはっきりとわかるので社員たちへの具体的な指示や注意喚起に生かされています。

セグメント別の売上予実管理など、予算統制にも大きく貢献

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オロ:その他にどのような効果がありましたか?
森谷様:週次会議に使用されるレポートが大きく変わりました。以前は会社全体の売上実績、粗利率、原価計算のレポートだけでしたが、ZAC導入後は会社全体の売上予算実績、産業別やクライアント別の売上予算実績もレポートとして作成しています。
予算統制上、これはかなり効いていますね。以前のシステムでは産業別、クライアント別、工程別、素材別、機械別など細かなセグメントで売上を集計することが難しかったので、セグメント別の予算を組むこと自体行っていませんでした。今ではセグメント別の売上集計がすぐに出ますし、マネージャーや営業がZACの過去データを基に根拠のある予算を組めるので予算統制のレベルが底上げされています。
新規顧客の獲得数などもすぐに集計できるので、既存顧客数だけでなく、新規顧客数の増減などZAC導入以前にはなかったKPIが社内で運用されています。上場企業に求められる予算統制、管理会計を実現する上でZACは大きく貢献しています。

上場に向けた体制づくりに、ZACのようなシステムは不可欠

オロ:「上場準備」という観点から、ZAC導入プロジェクトをご評価ください。
森谷様:業務がマニュアルで行われている場合、監査法人や証券会社から何か改善指摘を受けても早急な対応を取れないことが多いのではないでしょうか。例えば与信管理一つとっても、システム化されていないと顧客別の売上データをすぐに揃えることも難しいものです。その上、最近では上場承認のハードルがさらに高くなっているといわれていますので、上場に向けた体制づくりにZACのようなシステムは不可欠だと思います。
当社の上場準備においては、原価計算、内部統制、予算統制などの面でZACは大いに貢献してくれました。冒頭にお話した通り、ZAC がなければこの短い準備期間での上場は難しかったと思います。経営数値のレポートセットも充実していますし、業種がフィットすれば上場準備に向けたパッケージシステムとしてお薦めできるのではないかと思います。
オロ:本日はありがとうございました。

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株式会社JMC 会社概要

事業概要:
株式会社JMCは、「樹脂を素材とする3Dプリンター」と「金属を素材とする砂型鋳造」の両成型法を利用、発展させながら、自動車、エレクトロニクス、医療機器など幅広い業種の「試作品」から「最終製品」づくりをトータルサポートしています。日本の製造業を牽引するため、「この国のものづくりを置き去りにする」を経営理念とし、本質的で革新的なものづくりに邁進しています。
所在地:
横浜市港北区新横浜2-5-5 住友不動産新横浜ビル1F
URL:
https://www.jmc-rp.co.jp/
設立:
1992年12月
社員数:
81名(2016年11月時点)
インタビュー協力:
取締役 CFO 森谷 知子 様
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