プロジェクトにおける要員計画とは?作成手順や必要な要素を解説
2023/6/15公開
企業のプロジェクト成功を左右する工程のひとつが、要員計画です。既存の人材を活用するだけにとどまらず、必要なスキルや人数を明確にして人員配置の計画を立てる必要があります。
本記事では、これから要員計画を立てる人に向けて、要員計画の概要と作成手順を解説します。要員計画を効率化する方法も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
要員計画とは
要員計画とは、企業にとって貴重な経営資源である人材を、どのように活用して企業戦略を遂行するか明確にするために立案するものです。要員計画は、人事における計画を指す場合と個別のプロジェクトにおいて使われる場合がありますが、どちらも目標達成のために人的リソースをマネジメントする点では変わりありません。人事においては、事業計画を遂行するための人員採用、配置、異動などにまつわる計画のことを指します。
プロジェクトにおける要員計画では、プロジェクトを完遂するために必要な人員数を揃えるだけでなく、どのようなスキルが必要なのか、どのような手段で確保するのかといったプロセスまで考えなければなりません。一般的に、プロジェクトマネージャーが立案します。
本記事では、プロジェクトにおける要員計画に焦点を当てて解説していきます。
要員計画と要員管理の違い
要員計画と似た言葉のひとつが、「要員管理」です。要員計画は、事業遂行に必要な人材の数やスキルを明確にし、どのように確保するか計画することを指します。
一方の要員管理は、事業やプロジェクトを遂行している間の人材配置や各メンバーのスキルを把握し、計画通りに進められるよう統制することです。
要員計画と人員計画の違い
人員計画は要員計画と同じような意味合いで使われることが多いです。ただし、要員計画は社外を含めた必要な人材の確保を考えるのに対し、人員計画は社内の人材をどのように配置するか・確保するかについて考える点に違いがあります。
また、要員計画は事業やプロジェクト達成といった、目的のために必要な人材を計画する一方、人員計画は部署ごとの採用・育成といった、より人事的な側面を持つことが一般的です。
要員計画で得られるメリット
要員計画はプロジェクトを遂行するうえで必要不可欠なものです。実施することによって、以下のようなメリットが得られます。
リソースの最大活用
要員計画では、プロジェクトに必要な人材を必要な場所に配置するため、限られたリソースを適切に活用できる点がメリットです。リソースの最大活用によって、よりスムーズなプロジェクト進行が期待でき、生産性の向上や、納期遅れなどのトラブル防止につながります。反対に要員計画を適切に行えていなければ、従業員が不得意な業務にあたってしまい、業務効率が下がってしまうことも考えられるでしょう。
コストの削減
適切な要員配置により人材やスキルのムダをなくすことで、業務効率化が図れます。基本的に、プロジェクト完遂までの時間が短いほど、労務費を含めたプロジェクトにかかる原価は少なくなります。
そのため、要員計画を立案して適切な工数で業務を効率的に遂行できれば、コストが削減でき、利益の創出が可能です。ある部署では人員が余っているのに、別の部署では人員が足りないために残業を行ったり外注したり、といったムダもなくせるでしょう。
要員計画に必要な要素
要員計画は、企業で把握している要素の中から、主に以下の4つの要素を元に計画していきます。スムーズに計画を立てるためには、企業がそれぞれをタイムリーに管理、把握できていることが重要です。
従業員のスキル
プロジェクトに関わるメンバーのスキルの把握は、要員計画において重要な要素です。まずは、社内にいる従業員がそれぞれどのようなスキルを持っているのかを把握しておきましょう。自己申告と社内評価の両面から、所有するスキルをできる限り正確に把握しておくことをおすすめします。
また、スキルは更新されていくため、各人のスキルを定期的にヒアリングしたり、リスト化したりと、最新のスキルをチェックできる仕組みを整えることも大切です。
従業員の経験
各従業員がこれまでどのようなプロジェクトを経験してきたのか把握しておけば、新しいプロジェクトで同じ工程や似た工程がある際にアサインしやすくなります。そのためには、従業員ごとのプロジェクト経験をデータとして残しておくことが必要です。
プロジェクト名だけでなく、具体的にどのような工程にどのような形で参画していたのか、その工程にどれだけの時間がかかったのかまで残しておけば、より詳細な経験を把握できます。
社内のリソース状況
社内のリソース状況は常に変化しているため、現状を正確に把握する必要があります。たとえば、進行中のプロジェクトがどれだけあり、必要なタイミングで手が空く従業員は誰なのかなど、長期スパンでリソースを確認できるようにしておかなければなりません。
プロジェクトの参画状況だけでなく、異動や教育計画、休職の予定があらかじめわかっている場合、それらも踏まえておくといいでしょう。
労務費
労務費も、要員計画を立てる際には切り離せない要素のひとつです。プロジェクトには、その内容によって材料費や経費、労務費などのコストがかかります。そのなかでも、人的リソースである労務費がコストの大部分を締めるプロジェクトも少なくありません。
プロジェクトに必要な工数が多いほど、労務費も増えます。つまりコストがかかり、プロジェクトから得られる利益は減ってしまうのです。プロジェクトの赤字を防ぎ、安定した利益を得るためには、要員計画を立てる際にプロジェクトにかかる労務費を見積もることが重要です。
労務費の予実比較ができれば、プロジェクトの進捗状況や人員配置の適切さを測る指標にもなります。アウトソーシングで人員を補っている場合は、外注費もコストとして考慮しましょう。
要員計画の作成方法
要員計画はプロジェクトの遂行とリソースの有効活用に欠かせません。具体的には、以下のような手順で作成していきます。
プロジェクトの全工程を明確化する
必要な人員を割り出すには、まずプロジェクトにおいてどのような工程があるのかを明確にしなければなりません。
工程を細分化し、どのタイミングでどのような工程を行う必要があるのかや、各工程でどのようなスキルがあれば成り立つのかを明確にします。過去に似たようなプロジェクトがあれば、その事例を参考にすることも有効です。
各工程に必要な要員を割り出す
次に、プロジェクトのスケジュールから逆算し、各工程で必要な工数を算出します。そのうえで、各工程でどのようなスキルを持った人が何人必要なのかを割り出していきましょう。このとき、予算を超えない範囲で人員を配置しなければならない点に注意が必要です。
適切な人員をアサインする
必要な人数とスキルが明確になったら、該当スキルのある人材をプロジェクトメンバーにアサインします。そのためには、あらかじめどの人材がどのようなスキルを持っているか把握しておかなければなりません。
実際の現場では、複数のプロジェクトを同時並行で進めている場合が多いため、スキルマッチしていてもスケジュール面でアサインできない可能性もあります。その場合は、アウトソーシングも視野に入れて、必要な人材を必要なタイミングで配置できるよう計画しましょう。
システムを活用し、安定したプロジェクト運営を実現
プロジェクトはスケジュール通りに完遂するだけではなく、利益が出て初めて成功したと言えるでしょう。安定した利益を出すプロジェクト運営のためには、的確な要員管理を立てることがポイントになります。
要員計画では上述のように、各メンバーのスキルや労務費を把握したうえで計画に反映させることが重要です。そのためには、各メンバーが過去にどのようなプロジェクトにどれだけの時間をかけていたのか把握する必要があります。
しかし、複数のプロジェクトが同時進行していたり、プロジェクトによって工程が全く異なっていたりと、どのプロジェクトのどの工程にどれだけの時間がかかったのか正確な数値を出すことが難しいケースも多いでしょう。そこでプロジェクトに特化した機能を持ち、工数と勤怠が一致するシステムを活用すれば、正確な情報を把握・管理できるようになります。
本ブログを運営する株式会社オロのクラウドERP『ZAC』であれば、労務費や経費をはじめ、プロジェクトに関連する各種原価をプロジェクト別に集約、モニタリングできます。要員計画を立てる際の指標となるのはもちろん、進行中のプロジェクトが予定通り進んでいるかを確認でき、赤字になりそうな場合は事前に対策を立てることも可能です。その結果、安定した利益を創出できるプロジェクト運営が実現します。
まとめ
限りあるリソースを最大限活用し、プロジェクトをスムーズに遂行するためには、要員計画が不可欠です。要員計画を立案することで適切な人材配置が叶うだけでなく、ムダな工数や人員の余剰をなくしてコスト削減にもつなげられます。
要員計画を立てるためには、プロジェクトの全工程とそこに必要なスキル、従業員の持つスキルや経験を明確にし、そのプロジェクトにかかる労務費を見積もることが大切です。複数のプロジェクトが同時並行で進んでいる場合は、アサインした従業員が負荷オーバーしてしまうリスクもあるため、リソース状況を正確に把握しておかなければなりません。
要員計画に必要な要素を正確に把握するためには、システムの活用が有効です。プロジェクトの赤字を防ぎ、従業員が無理なくそれぞれのスキルを発揮して業務を遂行するために、システムの活用も視野に入れて要員計画を立案しましょう。