【事例付き】基幹システムに組み込まれたワークフローのメリット

2025/4/23公開
社外に提示する見積金額、物品の購入、休暇の取得といった、申請・承認作業は、企業活動において必要不可欠です。このような申請・承認作業の流れは、ワークフローとも呼ばれ、時代とともに紙からシステムに移行しつつあります。特にワークフロー機能と基幹システムを連携させることは、企業にとっても従業員にとっても大きなメリットがあります。この記事では、実際にワークフローと基幹システムを連携し、申請・承認作業を効率化した事例とともにそのメリットを紹介します。
目次
基幹システムにおけるワークフローの重要性
販売・生産・会計といった、企業の根幹を支える基幹システムを最大限に活用するためには、日々の申請・承認作業を最適化できるワークフローの構築・整備が肝要です。 同時に「どのような申請経路なのか?」「不正ができない仕組みになっているか?」といった内部統制面も担保しなければなりません。
そもそもワークフローとは何か、電子化するメリットなどを知りたい場合は、ワークフローとは?電子化するメリットや導入可能な領域を解説!をご覧ください。
ワークフローの種類
ワークフローは、一般的には申請・承認に関する業務の流れを体系化・図式化したものを指すため、企業によってその方法は異なります。この章では、代表的なワークフローを3種類を紹介します。
紙に印刷して回覧する
ExcelやWordで申請書を作成→紙に印刷して提出→承認のハンコをもらい承認を得るという、古くから使われている手法です。 1対1で行う申請であれば、その場で完了しやすいというメリットがありますが、承認ルートが可視化されておらず内部統制面で不安が残り、保管のための物理的なスペースが必要だったりと、管理が煩雑になりがちな手法です。
独立したワークフローシステム
システムのテンプレートやExcelなどを活用して申請書を作成→システムにアップロードして提出→承認を得るという、申請・承認作業を電子化した手法です。紙代や物理的なスペースのコストカットが可能で、システム上で申請・承認ルートが可視化されます。
ただし、案件管理システムや勤怠管理システムと連携が十分でなく、代理での承認ができない、勤怠管理システムのデータベースを流用できず、システムと二重でワークフローもメンテナンスが発生するなど、紙とは異なった管理の負担が発生する可能性があります。
基幹システムに組み込まれたワークフロー
多くの基幹システムには標準機能でワークフローが搭載されています。独立したワークフローシステムと異なる点は、基幹システムの各機能と連動している点です。販売管理機能では発注や請求の申請・承認ができ、勤怠管理機能では、休暇や労務に関わる申請・承認ができるなど、それぞれの機能に連動した申請・承認が可能です。
基幹システムのデータベースを活用できるので、独立したワークフローシステムよりメンテナンスの負担は少ないでしょう。申請時にExcelや書類の添付がなく、基幹システムの画面に必要事項を入力する形のため入力統制もしやすいです。しかし、ワークフローがメインの機能ではないため、紙や独立したワークフローシステムと比べると高価でもあります。
ワークフローにおけるよくある課題
ひとつひとつの申請や承認はさほど時間はかからないものの、膨大な数をこなさなければならなかったり、承認ルートが複雑だったり、非効率なツールの使い方をしていたり、いくつかの課題が積み重なることで、本来の業務を圧迫してしまいます。
自社に当てはまる課題があれば、原因を特定し、手法を見直すことで業務改善が期待できます。
紙ベースのコスト・リスク・非効率性
紙、インク・トナー、ファイル、バインダー、キャビネットといった消耗品、保管スペース費用、廃棄コストなどの複数の費用が発生します。さらにファイリング作業や書類を探す手間という時間的コストも必ず発生するため、長い目で見たときに負担になりがちです。
また、承認の進捗状況が不透明であること、紛失の可能性や本来閲覧すべきでない社員が閲覧してしまうリスクもあることから、紙ベースのワークフローそのものが企業にとっての課題となっているケースは少なくありません。
承認に時間がかかる
原因としては承認者が社内にいないことが多い、承認者の設定がひとりしかできない、月末に大量の承認が必要になるといった人と仕組みのどちらも関連する課題です。 電子化してもすぐに解決すると言い切れるものではなく、承認者の慣れやシステムの自由度の高さにもよるため、承認に時間がかかっている原因を特定して対策が必要です。
手作業によるミス
転記ミス、添付ミス、承認モレなど、ヒューマンエラーは避けられないものです。自社の業務フローを理解し、申請者・承認者にどちらにとっても使いやすい手法や入力統制ができるヒューマンエラーを起きにくくする機能を持つシステムを採用することが肝となります。
システム間の連携不足
独立したワークフローシステムを利用している場合によくあるケースです。特定の業務に合っていても、他の業務ではデータの互換性がなかったり、APIの制限がかかってしまったりなど、機能不足になることは少なくありません。 ワークフローシステム単体の機能だけでは、組織全体のワークフローの最適化には限界があると言えるでしょう。
基幹システムに付随するワークフローのメリット
ここからは基幹システムに組み込まれているワークフローの活用は、どのような部分で組織全体の最適化に繋がるのか紹介します。
ひとつのシステムで電子申請・承認が可能に
基幹システムに付随するワークフローに一番のメリットは、基幹システムから電子申請・承認が可能になることです。直接稟議の内容を入力できるため、別で作成した書類を添付して申請するステップが不要になります。
基幹システムとワークフローシステムで情報が分散しないため、稟議の承認者も、複数システムを見比べ、確認する必要がなくなります。結果、承認のスピードアップにつながると言えます。
内部統制の強化につながる
独立したシステム間で、手動で情報を書き写すこと自体にセキュリティリスクが生じるものの、システムが1つであればそのリスク対策も不要です。 基幹システムで管理している金額と異なる金額や内容でワークフローシステムから稟議を申請することも不可能になるため、不正も起こりにくくなります。
検索性の向上
「いつ、誰が、どのような業務で何のために申請をあげたのか」「この発注は事前に承認されているのか」を可視化できるようになります。独立したワークフローシステムと基幹システムを照らし合わせて確認するといった手間がなくなり、履歴をすぐに検索できるため監査対応にも役立つのもメリットです。
さらに基幹システムで管理している案件や勤怠の情報と紐づいているため、同じような案件を申請・承認する際に活用できます。
紙の稟議に戻るリスクが少ない
上述の通り、稟議の内容をシステム上に直接作成・申請・承認するため、手順を覚えやすく、また操作しやすいという点において手間がかからず電子化の移行がスムーズだと言えます。 もし添付や内容のコピーの手間が残ったまま電子化すると、「どうせExcelデータを添付するならば、紙のほうが簡単」「管理や申請が楽」といった意見が出る可能性があります。
しかし、ひとつのシステムで申請・承認・検索を行えることによって、紙そのものとExcelデータ等の添付の手間がなくなり、紙の稟議に戻したいといった意見も出にくくなるでしょう。
基幹システム×ワークフローで業務効率化した事例
ここからは基幹システムに組み込まれたワークフロー機能によって、申請・承認業務を効率化したり、管理体制の強化を実現した3社の事例を紹介します。本ブログを運営する株式会社オロのクラウド型の基幹システム『ZAC』の導入による業務改善を抜粋しました。
株式会社ヒミカ 様
株式会社ヒミカ様は、自治体、病院、各企業、及び諸団体への総合情報サービス企業です。システムを中心にパッケージからオーダーメイド、メンテナンスまでニーズに合わせたソリューションを提供しています。
同社では、紙書類にハンコを押して決裁を行っていました。管理本部には耐えがたい程の大量の紙書類が回ってきて管理が非常に煩雑になっていたと言います。そこでZACを導入し、見積書や注文書など営業に関わるデータの入力と電子申請が、同一システムで行えるようになりました。毎日20~30件発生していた処理から解放され、他の業務が可能に。
さらにZACには「代理承認機能」があるため、決裁者が外出や休みであっても承認を行った履歴を証跡として残しつつ、承認を進められるようになりました。柔軟な決裁ルートを設定したことで、承認のスピードアップにも繋がっています。
一般社団法人電線総合技術センター 様
電線・ケーブル分野の技術専門機関として、環境に優しい技術の発展や安全・安心社会の構築している一般社団法人電線総合技術センター様。
同社では、物品の購入において担当者レベルで必要なものを購入していたため、経理では購買の状況が把握できていない、仕入先からの請求書と社内の支払い指示書の突合が煩雑だったという課題がありました。
そこでZACを導入し、購買に紐づくワークフローを確立させました。担当者より購買申請が上がった段階で、経理が情報をキャッチできるようになったため、不要な購買品は申請時に却下したり、「発注済」や「仕入計上済」など、購買品ごとのステータスも把握したり、情報共有が円滑になったとともにコスト削減に繋がっています。また購買申請の内容と仕入先から届いた請求書の内容が一致していれば、仕入ボタンを押すだけで仕入処理が完了になった点も大きなメリットだと言います。
株式会社ピーエーシー様
1974年創業の株式会社ピーエーシー様。長きにわたり、静岡に根ざした広告プロモーションを行う総合広告会社です。
旧システムでは、申請や承認がうまく回っていませんでした。経験による慣れや勘に頼るといった属人的な部分も多く、本来なら承認が必要な場合でも、上長の承認なしで計上できてしまう状態だったと言います。
ZAC導入により、申請内容に応じて適切な上長を設定できるなど、柔軟性がありつつも内部統制を担保するワークフローを構築しました。営業マネージャーが情報をキャッチしやすい環境を整え、管理面をレベルアップに寄与しています。
まとめ
日々の申請・承認業務を効率化するために「どのようなワークフローの構築すべきか」お悩みの方も多いでしょう。まずは紙ベース、独立したワークフローシステム、基幹システムに組み込まれたワークフローなど、ワークフローの種類とその違いやメリットを把握することが重要です。
もしも全社的な申請・承認業務の効率化を検討している場合には、情報を一元化でき、検索性にも優れ、内部統制面を担保できる基幹システムに組み込まれたワークフローの活用がおすすめです。下記の資料では、オロが提供する基幹システム「ZAC」のメイン機能や価格について紹介しています。