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経理のテレワーク「できない」を「できる」に変える3つの合言葉

経理のテレワーク「できない」を「できる」に変える3つの合言葉
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2021/3/05公開2022/3/22更新

新型コロナウイルスの感染拡大により、推奨されているテレワーク。様々な企業・職種でテレワークの推進が行われている様子が見受けられます。一方、経理は従来の「紙ベース」業務が現在も行われているため、出社を余儀なくされているのが現実です。しかし、工夫次第で経理もテレワークが可能になります。この記事では、経理もテレワーク を行ったり、出社とテレワークを組み合わせたハイブリッド型など、柔軟な働き方を得るための工夫を紹介します。

目次

    経理業務におけるテレワークの実態

    株式会社ROBOT PAYMENTが行った調査(*1)では、外出自粛期間中、勤務先にお願いしたにもかかわらず紙の請求書業務の電子化が進まなかった経理はなんと、64.4%に達します。さらにテレワークを実施できなかったため、20・30代の3割以上が転職・退職を検討しているという結果も出ており、人材確保の面からも残念な状況です。

    他の職種が積極的にテレワークを導入している中、なぜ経理はテレワークを導入できないのでしょうか。経理のテレワークを阻害した要因は主に3つ挙げられます。

    1. 紙の請求業務
    2. 入金処理管理
    3. 紙の経費精算業務

    すなわち、紙ベースのアナログな業務がテレワークを阻んでいるのです。

    経理部門のテレワークのメリット

    経理部門のテレワークが進むとどのようなメリットがあるのでしょうか。総務省の「情報システム担当者のための導入手順書」(*2)によると、企業・労働者(経理)の双方にメリットがあります。以下でそれぞれ挙げてみます。

    企業にとってのメリット①:優秀な人材の確保・流出の抑制

    前述の通り、周囲がテレワークを行っている中、出社をしなければいけない状況は転職・退職の原因になりえるのです。すなわち、多くの企業で経理部門が出社している状況でリモートワークを実施できている企業は労働者にとって魅力的です。優秀な経理人材を確保する・流出を防ぐことができます。

    企業にとってのメリット②:コストの削減

    紙ベースの管理には様々なコストがかかります。用紙代、インク代、郵送費はもちろん、紙の書類を保管するスペースなどが挙げられます。これらを電子化するとどうでしょう。印刷時に必要な用紙やインク代が必要なくなり、送付は郵送ではなくメールやファイル便を利用することで、従来かかっていたコストを削減することが可能です。資料を保管するスペースも必要なくなり、スペースの有効活用もできます。

    企業にとってのメリット③:事業継続性の確保

    オフィスに出社できない緊急時でも業務を遂行することが可能になります。今回の新型コロナウイルス感染拡大よりも緊急性・危険性の高い事態が発生する可能性はゼロではありません。企業が業務を遂行する上で、経理の機能を止めるわけにはいきません。万が一に備えて、出社せずとも稼働できるオペレーションを用意しておくことはとても重要です。

    経理にとってのメリット①:仕事と育児・介護・治療との両立

    テレワークが実現することで、子育てをする社員や介護・治療等、様々な事情で出社が難しい社員でも仕事しやすい環境を生み出すことが可能です。従来であれば仕事を続けたくても、出社ができないために退職を余儀なくされた社員が仕事を続けることができます。

    経理にとってのメリット②:ワークライフバランスの向上

    通勤時間がなくなることにより、時間に余裕が生まれます。そのことによって自分の趣味の時間や家族と過ごす時間などを増やすことができます。副業が許されている企業であれば、副業を始めるチャンスにもなります。

    経理にとってのメリット③:生産性の向上

    テレワークを実現するには帳票の電子化がマストです。これまでの「紙帳票だから」行っていた管理が不要になります。

    • 請求書等の帳票データの印刷
    • 帳票の封入と発送
    • ハンコの押印
    • 経費精算の原本を回収してファイリングすること
    • 不要になった書類をシュレッダーにかけること

    など、紙の書類を扱っていたからこそ発生していた業務は意外とあります。これらの時間を削減することで、生産性の向上を期待できます。

    経理部門のテレワークのデメリット

    テレワークを導入するにあたり、リスクや懸念点を考慮しなければいけません。どのようなデメリットがあるのでしょうか。順に紹介していきます。

    企業にとってのデメリット①:データの紛失・情報流出の危険性

    テレワークを導入すると、どうしても出社時よりもセキュリティ面が脆弱になってしまうのが現実です。持ち運びが容易なノート PCやタブレット等のデバイスが利用されることが多いため、インターネットからの攻撃を防御する対策がされている職場に比べて、デバイスのウイルス感染による情報資産の流出、テレワーク端末や記録媒体の紛失・盗難、通信内容の盗聴の脅威にさらされやすくなります。
    インシデントを防ぐためにも、テレワークに適した厳重なセキュリティ対策が必要となります。
    具体的な対策としては、総務省の「テレワークセキュリティガイドライン」(*3)を参考にするのが良いでしょう。

    企業にとってのデメリット②:環境の整備コストがかかる

    自宅で仕事ができるように環境を整備をするには、セキュリティ面の考慮が必要です。VPNの設定など、不正アクセス等を防ぐにはコストが発生します。また、従業員が自宅作業をするにあたり発生するオフィス家具の購入費や水道光熱費、通信費を会社で負担する場合は、これらもコストに含まれるでしょう。

    経理にとってのデメリット①:従来と同じ方法で業務ができない・コミュニケーションが難しい

    オフィスでは可能だったことが、自宅での作業では不可能になることもあります。例えばデータを印刷した方が素早く作業できることも、自宅にプリンターがなければ実行できません。取引先やお客様から受け取る請求書を選ぶこともできません。

    作業そのものだけではなく、コミュニケーションにも支障が出ます。オフィスではすぐ隣にいた共同作業者や部下の進捗を確認することも、従来に比べると容易ではなくなるでしょう。これまで以上に細かな連携・進捗管理が必要となります。

    以上のような変化に対応するためのルール決めが必須となるので入念な準備が必要です。

    経理のテレワークを阻む「紙」と「押印」

    MF KESSAI株式会社が経理担当者を対象に行った調査(*4)によると、経理部門の社員に出社の必要性がある理由は、「決算対応」が47%、「取引先への振込」が44%、「請求書の作成・押印・発送」が43%、「その他入出金確認」、「請求書の受取」となっています。上記の業務は全て「紙」と「押印」がベースです。

    経理・財務会計部門が他部署と比べて、テレワークを行いにくいかという問いに対して、「思う」が最多の39%、「少し思う」が22%で、合わせて61%が経理財務・会計部門はテレワークが行いにくいと回答しています。テレワークを実現するためには、「紙」と「押印」による業務を変えていく必要があります。

    経理のテレワーク推進 3つの合言葉

    以上のことから、経理のテレワークを推進するためには「3つの最適化」が重要です。テレワークにおける3つの合言葉として順に紹介していきます。

    1. ペーパーレス化
    2. 業務のマニュアル化
    3. 働き方の最適化

    経理のテレワーク3つの合言葉

    ①ペーパーレス化

    テレワークを推進するにあたり、ペーパーレス化はマストの施策です。紙の書類だと、経理間での共有・確認ができませんし、自宅には管理する場所もありません。PDFデータでの帳票管理やメールでの送付にすることで共有・管理が可能になります。電子帳票の管理方法としては、Google Driveなどクラウド上で管理することです。クラウド上で管理することで、紙の帳票よりも検索性が上がり、過去のデータに遡ることもより効率的にできるようになります。紛失の恐れもなくなり、長期的に考えても非常にメリットが多いです。

    電子契約サービス導入によって、取引先と契約を締結する際のやりとりがオンライン上で完結できるようになります。
    これらの施策によって、テレワークの推進だけではなく、コスト削減が可能になります。押印の手間、インク代、用紙代、発送料がかからないため、積極的に実施することをおすすめします。

    ペーパーレス化の概要やメリット、 電子帳簿保存法については下記の関連記事にて解説しています。

    ペーパレス化とは.png

    電子帳簿保存法とは.png

    ただし、データをクラウド上で保管する場合には、電子帳簿保存法などの法律の順守、情報セキュリティに関するルール整備が必須です。業務形態、ネットワークやシステムの構成、保有する情報資産等を踏まえた上で、その内容に見合った情報セキュリティポリシーを作成する必要があります。いつでもどこでも情報を取り出せるからこそ、情報漏洩等には細心の注意を払わなければいけません。

    ②業務のマニュアル化

    テレワークだと社内コミュニケーションが難しくなるのは、避けられないデメリットです。
    特に、新人への教育や後任への引継ぎなどは詳しい業務内容の指示や共有が必要となるため、対策を考えなければいけません。

    誰でも業務の進め方がわかるように、手順をマニュアルにするのが賢明な方法です。それをGoogle Driveなどの共有ドライブに保管しておけば、複数人での共有も可能になるほか、業務の引き継ぎの度に行っていた共有も、ある程度簡略化して行えます。

    また、オンラインミーティングの頻度を増やす、コミュニケーションのためのチャットツールの導入も併せて行うと、オフィスで対面で行う場合と比較しても劣ることなく情報の伝達が可能です。
    また、他部署の従業員への問い合わせ窓口として、従業員が質問をすると経理担当者が回答する簡易的なチャットボットを導入するのも一つの手段と言えます。
    口述メインの伝達から、テキストメインの伝達に変換していきましょう。

    ③働き方の最適化

    テレワーク推進と言っても、全日テレワークが難しいのであれば、出社とテレワークを組み合わせた「ハイブリッド型」を実施するのも一つの手です。
    2021年3月現在、政府より出勤者数の7割減を要請(*5)されており、ローテーション勤務や時差出勤などの工夫が求められています。例えば、週に一度は出社して、出社が必要な印刷・製本・印紙貼付、押印等を行うなど、必要に応じて出社と在宅勤務を組み合わせるとテレワークへのハードルが下がります。

    経理部門だからとテレワークを諦める前に

    従来の業務ではテレワークが難しい経理部門ですが、工夫次第で状況は変えることができます。実施するまでの環境整備は時間がかかるものが多く大変ですが、一度整えるとたくさんのメリットが感じられます。

    まずは帳票の電子化やオンラインコミュニケーションツールの導入など、管理・コミュニケーションの電子化を行いましょう。いきなり全日テレワークにするのではなく、週に2,3日の出社日を設けて、少しずつテレワークを進めていくのも一つの方法です。

    経理担当者を含め、テレワークが可能になる施策を積極的に進めていきましょう。

    参考文献

    *1:株式会社ROBOT PAYMENT「日本の経理をもっと自由に。」
    *2:総務省「情報システム担当者のためのテレワーク導入手順書」
    *3:総務省「テレワークセキュリティガイドライン(第3版)」
    *4:MF KESSAI株式会社「MF KESSAI、『経理財務・会計担当者のテレワークの対応状況』に関する調査を実施」
    *5:厚生労働省「緊急事態宣言の発出を踏まえた職場における新型コロナウイルス感染症への感染予防及び健康管理について」

    Q
    なぜ経理のテレワークは少ないの?
    A
    請求や入金など、主に支払業務を担当する経理ですが、「紙ベース」のアナログな方法が行われている企業が多く、出社を余儀なくされているのが大きな理由です。詳しくは経理業務におけるテレワークの実態をご覧ください。
    Q
    経理が在宅勤務をするメリットは?
    A
    ペーパーレスによるコスト削減やワークライフバランスの向上、さらにオフィスに出社できない緊急時においても業務を遂行することが可能になります。実際に経理の機能が止まると企業自体の機能も止まってしまうため、緊急時に備えたオペレーションを準備しておくといいでしょう。詳しくは経理部門のテレワークのメリットをご覧ください。
    Q
    どのように経理のテレワークを進めたらよいか?
    A
    これまで紙ベースだった経理の業務を完全在宅に移行することは、難しく感じるかもしれません。まずは帳票の電子化やオンラインコミュニケーションツールの導入など少しずつ電子化を進め、出社とテレワークを組み合わせた「ハイブリッド型」という方法を取るのもおすすめです。詳しくは経理のテレワーク推進 3つの合言葉をご覧ください。

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    永谷 菜都子

    この記事の筆者

    デジタルトランスフォーメーション事業部 アカウントグループ アカウントプロデューサー

    永谷 菜都子

    2020年に新卒で株式会社オロに入社。デジタルトランスフォーメーション事業部でアカウント・プロデューサーとして幅広い案件に従事。

    高橋礼

    この記事の監修者

    株式会社oRo code MOC クラウドソリューション事業部マーケティングチーム

    高橋礼

    2019年7月に株式会社オロの子会社・株式会社oRo code MOCに入社。新潟を拠点にオロの製品・クラウドERP「ZAC」のマーケティングチームの一員として活動。過去7年間、雑誌編集に従事していた経験を活かし、ライティング業務やホワイトペーパー制作に携わる。