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【動画付セミナーレポート】クリエイティブ企業を成長させるKPI

動画付セミナーレポート】クリエイティブ企業を成長させるKPI
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2023/10/27公開

当ブログを運営する株式会社オロ(以下、オロ)では、毎月さまざまなテーマで業務の効率化や生産性向上に役立つセミナーを開催しています。

今回は、「限界クオリティ逓減(ていげん)の法則から導く。クリエイティブ企業を成長させるKPI」をテーマにセミナーを実施しました。
クリエイティブ業に向けたシステムの営業経験があり、多くのクリエイティブ業の業務改善提案を行ってきたマーケティング部門長と、実際にクリエイティブ業に携わっていた経験のあるコンテンツマーケターの2名が登壇。クリエイティブ業にありがちな課題にも触れながら、利益を創出するKPIの立て方についてディスカッションしました。

本記事では、実際にセミナー内で使用したスライドを使用しながら、セミナーの要点をまとめて解説します。

目次

    登壇者プロフィール

    吉井 惇

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    株式会社オロ クラウドソリューション事業部
    マーケティンググループ グループ長

    2013年株式会社オロに新卒入社。クラウドERP「ZAC」の新規営業、人事採用担当を歴任。現在はZACの姉妹製品「Reforma PSA」のプロダクト責任者および、「ZAC」マーケティンググループのグループ長を兼任している。

    犬塚 菜々美

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    株式会社オロ クラウドソリューション事業部
    マーケティンググループ コンテンツマーケター

    2012年からシステムエンジニアとしてERPパッケージソフトの開発に3年半従事。その際に身につけた業務知識やERPの知識を活かし、株式会社オロではクラウドERP「ZAC」のマーケティングチームの一員として活動。WebディレクターやSEOコンサルティングの経験を持ち、オウンドメディアの運営やホワイトペーパーの制作、セミナーの運営を担当。

    クリエイティブ業界の課題

    クリエイティブ業やIT業、士業といったプロジェクト単位で案件を進める業種に特化したERP「ZAC」を開発・提供しているオロ。ZACの提供を通し、企業の業務効率化をサポートする中で耳にする、クリエイティブ企業特有の課題を紹介します。

    ①売上は伸びているのに利益が増えない

    原価と利益の関係

    1つ目の課題は、「売上は伸びているのに利益が増えない」です。一般的に、売上から原価を引いた金額が利益となります。そのため、たとえ売上が伸びてもその分原価が増えれば、利益は出しづらくなります。反対に、売上が大きく増えなくても、原価を抑えることでより多くの利益を確保できるのです。

    クリエイティブ業は、小売業や製造業とは異なり、多くの場合は都度製品・サービスを受注して制作する流れを取ります。受注ごとに要件が異なったり、受注後に要件が変わったりするため、プロジェクトが進むにつれてどんどんコストが肥大化していくケースが多いのです。気づいたときには利益が残っていなかったということもクリエイティブ業界ではよくある話なのではないでしょうか。

    さらに、原価の多くを労務費が占めるのもクリエイティブ業の特徴です。製造業の場合は、製造量や材料費、稼働時間がある程度決まっているため、予期せぬ赤字は起きにくいと言われています。一方クリエイターはいいものを作ろうとするあまり、一つ一つの案件にかける時間(=労務費)が多くなってしまう傾向があるのです。

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    犬塚

    とはいってもお客様がいるので、どうしても無理をしないといけないこともありますね。

    ②残業が経常化し、社員が疲弊

    残業が多くなりがちなことも、クリエイティブ業界の大きな課題です。残業が積み重なることで、社員の疲労がたまり、生産性が下がるという悪循環に陥る可能性があります。ワークとライフが同一化している、いわゆる"クリエイター気質"の文化が残っている企業もあるでしょう。

    しかし近年では、その傾向が徐々に変わりつつあります。2023年3月にオロで実施した「Z世代の残業に対する意識調査」でも、クリエイティブ業を含む知的サービス業のZ世代は、近年はプライベートを充実させたい、と考える人が増えていることがわかっています。さらに、2023年4月からは中小企業でも、残業代の割り増し賃金率が大企業と同様になりました。

    残業をすることによってクリエイターが疲弊するだけでなく、企業としても残業時間の管理が煩雑になったり、残業代がかさんだりといったデメリットがあります。

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    吉井

    企業の経営層の方からは、「生産性を上げていきたい」といった観点からご相談をいただくことが多いですね。ムダな時間や昔からの残業文化から脱却して、あるべき時間のかけ方に変えていきたいと考えている企業様が多いようです。

    ③新規案件を受注するリソースが不足

    一つひとつの案件に注力するあまり、他案件に回すリソース不足に陥ることも問題です。しかし、案件の幅を広げることは、企業としてだけでなくクリエイター個人の成長という観点からも非常に重要です。さまざなタイプの案件を経験することで、クリエイター自身のキャリアの幅も広がります

    中長期的に事業成長していくという点でも、新しいチャレンジをするために常にリソースを確保しておくことが求められます。

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    吉井

    いつ新規案件のチャンスが巡ってくるかわからないので、余白を残しながら計画的にリソース管理することが重要です。

    動画_限界クオリティ逓減の法則

    限界クオリティ逓減(ていげん)の法則

    クリエイティブ業では、利益だけを追いかけても、クオリティだけを追いかけてもうまくいかないのが難しいところです。2つのバランスを取るにはどのようにしたらいいのでしょうか?

    ここで注目したいのが、「限界クオリティ逓減の法則」です。「逓減」とは緩やかに減っていくことを意味します。

    限界クオリティ逓減の法則とは、経済学における「限界生産力逓減の法則」に基づいた考え方です。図のように、投入時間が増えるにしたがって、クオリティの上り幅は比例せずに緩やかになっていく法則を言います。オロの考え方をまとめた書籍「ナレッジワーカー・マネジメント 業績も人もついてくる数字で語るマネジメント術」でも触れている考え方です。

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    たとえば投入時間が同じ10時間でも、初めの10時間と次の10時間では、クオリティの上り幅は異なります。投入時間が短いほど、クオリティの投資対効果は高いということです。

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    どの案件にどのくらいの時間をかけるべきかを検討するためには、この「限界クオリティ逓減の法則」を考慮するといいでしょう。

    クリエイティブ業を成長させるKPI

    利益とクオリティのバランスを図るためには、利益率をKPIに設定するといいでしょう。

    まずは案件ごとに目標となる利益率を設定します。利益率を考える際には、労務費もコストに含むことが重要です。その後、利益率から逆算することで、投入すべきコストを予定投入時間として明確化します。このとき、利益率は必ずしも一定である必要はありません。たとえば、受注の時点ですでに利益が薄くなりそうな案件でも、将来的に利益を生み出すための実績となったり、新しい軸になりうるものだったりした場合、受注するといった判断をすることもあるでしょう。

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    このように、案件ごとに目指すべき価値は異なるため、案件の性質や規模をブレイクダウンし、基準を設定することが重要です。そのうえで、想定よりも時間がかかりすぎていないか、かかりすぎている場合はどのような問題があるかを常に把握し、改善していくことが求められます。

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    犬塚

    利益率をKPIに設定すれば、効率的に利益を生み出しているのに売上規模が大きくないために評価されない、というマネージャーのフラストレーションも解消されますね。

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    吉井

    利益を確保できるようになることで、従業員への還元ができたり、企業の投資力が生まれたりといったメリットだけでなく、コロナなど外部環境による業績変化があった際にも、耐えうる企業基盤を作れます。

    KPI改善のポイント

    KPIは設定した後も常にモニタリングし、改善していくことが求められます。その中で重要となるポイントを3つに絞って紹介します。

    ①工数に見合ったプライシング

    商品・サービスに付加価値をつけて、売上や利益を単純に上げられればベストですが、なかなかそう簡単にはいきません。お客様からいただける付加価値には限界があるとも言えます。

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    そのため、利益を確保するためには、見積りの精度を高めて、KPIで設定した利益率に着地させていくことが重要です。労務費も含めたコスト精査、見積りを行うことで、適切なプライシングが可能になります。

    そのうえで、工程ごとの予定時間と実際にかかった時間を把握して分析します。大幅な乖離があった場合は、その原因はどこにあるか、再現性があるのか、ある場合は見積にどう反映させるのかといった内容の精査が必要です。

    ②予定+実績をタイムリーにとらえる

    クリエイティブ業においては、制作物の規模やクオリティによって、制作期間が数か月単位に及ぶものもあるでしょう。そのような場合、売上が上がるより先に、コストが発生することも多々あります。最悪の場合、着地地点を定めて予定立ててプロジェクトを進行していたのに、プロジェクトが終わってみたら利益がほとんど残っていないという状況にもなりかねません。

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    そのような事態を防ぐためには、プロジェクト進行中も、予定+実績の合計数値を観測していく必要があります。プロジェクトの途中でKPIの達成が難しそうであれば、外注計画を見直したり、スキルの高い人材を投入したりするなど、先手で対応策を取ることが可能です。

    ③間接コストの削減

    コストには見えやすいもの以外に、隠れたコストも多く発生しています。特に会議や事務処理作業などの間接時間がどのくらいかかっているかは、なかなか見えていないのではないでしょうか。このような間接時間は一つ一つが短くても、積み重なることで大きなコストになります。まずは間接的な作業にかかっている工数を可視化し、システムやRPAなどを活用して効率化できそうなものがないか検討してみましょう。

    また、工数を把握することで、削減できる作業の判断ができるだけでなく、従業員に意識付けができることもメリットです。

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    犬塚

    オロでも最近、会議に参加している人数が多すぎたり、会議の回数が多すぎたりしないか見直すように言われた、ということがありました。

    まとめ

    安定した利益を生み出し、企業を成長に導くためには、正確なコスト管理をすることが重要です。

    クリエイティブ業においては、コストの多くをクリエイターの労務費が占めるのにもかかわらず、労務費を度外視しているケースも多くあります。労務費をコストに含むことで、正確な利益や利益率が算出でき、クリエイターにもコスト意識を持ってもらえるでしょう。

    そのうえで、利益を確保するためには、利益率をKPIに設定することが重要です。設定した利益率から逆算し、案件ごとに投入できるコストを予定工数として可視化することで、クオリティとコストのバランスを図れるようになります。

    利益率を高める一発逆転の方法はありません。地道にPDCAを回してKPIを改善していくことが大切です。

    セミナーでは、スライドや具体例を交えながらより詳しく解説しています。ぜひ下記のアーカイブ動画もあわせてご覧ください。
    また、オロでは生産性向上や業務効率化をはじめ、企業経営の役に立つ情報をセミナーで発信しています。最新のセミナー情報はこちらからご覧ください。

    限界クオリティ逓減(ていげん)の法則から導く クリエイティブ企業を成長させるKPI

    このセミナーでは、制作物のクオリティと投入時間との相関を示す『限界クオリティ逓減(ていげん)の法則』から、クリエイティブ企業が長期的に成長していくためのKPIをご紹介します。

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    ZAC BLOG編集部

    この記事の筆者

    ZAC BLOG編集部

    クラウドERP開発・導入の経験から蓄積された知見に基づき、業務効率化・管理会計・原価計算・ERPに関するテーマを中心に、生産性向上に役立つ情報をお届けします。