【図解】販売管理とは?業務フローからシステム選定のポイントまで
2021/2/26公開2024/3/21更新
企業が利益を得るためには、商品やサービスを販売して売上を立てる必要があります。その販売にまつわる情報を管理する「販売管理」は、企業にとって重要な業務のひとつです。では、具体的に何を管理し、どのような流れで業務を進めていけばいいのでしょうか。
本記事では、販売管理の基礎や業務フローについて、図解を交えてわかりやすく解説します。あわせて、販売管理業務をスムーズに行うためのシステム選定のポイントもお伝えします。
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目次
販売管理とは
販売管理とは、企業活動における「お金」と「モノ」の流れを管理することです。具体的には、「何を・誰に・いつ・どこで・いくつ・いくらで」販売したのか、また請求や代金の回収は済んでいるのかなどを管理します。
商品を製造するために必要な「仕入」や、製造した商品の「在庫」を管理することは、購買管理と呼ばれます。こちらも広義的にとらえると販売管理の対象です。つまり、顧客と仕入先に対して、自社の商品とお金がどのように動いているのかを管理することが販売管理だと言えます。
ここからは、さらに詳しく販売管理について解説していきます。「とりあえず販売管理を効率化する方法を知りたい」「システムとExceの併用で、受発注管理が煩雑になっている」という方は、こちらから探偵が紐解く 販売管理のバラバラ事件簿をダウンロードください。販売管理にありがちな課題と解決策を分かりやすくコミカルにまとめています。
販売管理で管理すべき情報には、以下のようなものがあります。
- 販売見積もり
- 受注
- 商品出荷
- 納品
- 商品代金の請求
- 代金の回収
- 売上
- 資材の発注
- 資材の入荷・検品
- 仕入代金の支払い
- 在庫棚卸し
販売管理の業務フロー
販売管理の業務フローは、BtoBなのかBtoCなのか、また製造業か卸業かといった業種・業態によって多少異なりますが、大きく分けると以下の5つの管理を行うことになります。
- 受注管理
- 出荷管理
- 請求管理
- 仕入管理
- 在庫管理
販売管理と混同されがちな購買管理は、④仕入管理と⑤在庫管理をあわせた業務にあたります。ここでは、各管理項目で実施すべき業務と、その流れについて製造業の場合を例に解説します。
①受注管理
受注管理では、顧客から商品を受注するところまでを管理します。まず、顧客から要望のあった商品の見積書を作成し、価格や納期、納品条件などを提示します。提示した見積書で双方が合意できたら、契約を締結し、その内容をもとに、商品出荷に向けて社内で受注処理を行います。
②出荷管理
出荷管理では、受注情報に基づいて商品を出荷し、顧客に納品するところまでを管理します。商品を手配する際は、品番や個数、納期を正しく伝達することが重要です。納品業務では、配送業者などを通して商品が納品されたことを確認します。納品伝票や受領証に顧客のサインをもらい、確実に納品されたかをチェックしましょう。
③請求管理
請求管理では、顧客に請求書を発行し、実際に入金されたかどうか確認します。請求書の発行は、顧客が商品を受領したことを証明する書類(受領証や検収書類)を受け取ったのち、顧客の振込スケジュールに合わせてスピーディーに行いましょう。
請求書には、請求金額だけでなく、代金振込期日も記載しなければなりません。請求業務が終わったら、振込期日までに入金されているかを確認します。入金されていない場合には、顧客に対応を依頼する必要があります。
④仕入管理
仕入管理では、商品の製造やサービスに必要な資材の調達に関する管理全般を行います。必要な資材の見積もりを請求し、価格や納期などの条件が合えば契約を締結して発注に至ります。発注した資材が納品されたら、現物を検品し、検収処理を行います。必要に応じて、受領証や検収書類を仕入先に提出します。
支払いは、仕入先から届いた請求書に基づいて行います。請求書が届かない場合は提出を催促するなどして、適切に支払うことが大切です。
⑤在庫管理
在庫管理では、出荷情報や製造情報に紐づけて商品の在庫数を管理し、適切な在庫状況を維持します。完成した商品の数だけでなく、製造前の材料や製造途中の商品、仕入れを行っている資材の数も管理しなければなりません。また、データ上の数字だけでなく、実際に物が存在しているかどうか、現地棚卸による数量確認も行う必要があります。
販売管理を行う目的
企業にとって重要な業務である販売管理ですが、実施する目的としては主に以下の3つが挙げられます。
損益の把握と利益向上のため
販売管理では、販売活動に必要な書類や商品、お金の流れのすべてを管理しているため、企業にとって欠かせない業務です。適切な販売管理を行うことで、現時点での損益状況や商品ごとの売上、仕入状況などを把握でき、利益向上策も立てやすくなると考えられます。
業務を適切に管理するため
販売活動には、営業部門から製造やデザイン部門、経理部門まで多くの部署と人が関わるため、管理が煩雑になりがちです。しかし販売管理を適切に行なえば、すべての関係者が必要な情報を把握できるようになり、重複発注や納品漏れなどのミス防止につながります。
業務の流れを可視化できるため、無駄な作業をなくして業務効率を向上させることや、内部統制の強化が期待できます。
顧客と良好な関係を構築するため
顧客とのやりとりをスムーズかつスピーディーに実施することも、販売活動を行う上では重要です。適切な販売管理によって、見積書や請求書など、顧客に提出すべき書類の一元管理が可能になるため、書類の抜け漏れや提出の遅れを防げます。納品や支払いの期限を適切に管理することは、法令遵守だけでなく、顧客や仕入先との信頼関係構築にもつながります。
販売管理を効率化するメリット
システムやツールを活用し、販売管理を効率化することは、適切な販売管理体制の構築にもつながります。効率化のメリットとして、以下のようなことが考えられます。
タイムリーな損益が可視化され、経営に活かせる
販売管理を効率化することで、受発注の状況や入出金状況を即時にまとめることができ、現時点での損益がタイムリーに可視化されます。そのため、経営戦略や営業計画の期中の見直しが可能になるのです。
また、商品の売れ行きも即時にわかるようになり、スピーディーな商品の改善や新規商品開発、顧客への提案にも役立ちます。
業務の質を改善できる
販売管理に関わる工程は反復作業が多いため、システムを導入して自動化することで、抜け漏れやダブり、手戻りを防ぐことができ、業務の質の向上が見込めます。利用するシステムによっては、商品の受注状況と在庫数を併せて管理できるものもあるため、無駄な在庫や過剰な資材発注を防げます。システムやツールを活用して情報を一元管理できれば、ヒューマンエラーも低減できるのです。
管理コストの削減
紙帳票を使っている場合、用紙代や印刷代、保管費用といった管理コストがかかります。しかしシステム化すれば、それらのコストを削減できる上、ペーパーレス化が実現できます。また、紙からシステムやツールに切り替えることは、テレワークへの対応のしやすさにもつながります。
販売管理システムの選定ポイント
受発注件数や商品数が多い場合、情報が煩雑になってしまったり、他部署との連携が上手く取れなかったりするものです。しかし販売管理システムを利用すれば、情報の一元管理が容易になり、正確性も向上します。すべての部署からアクセスできるため、関係者はいつでも最新データを参照できるようになります。加えて、業務や帳票の標準化も実現可能です。
では、どのような基準でシステムを選定すればいいのでしょうか。検討すべきポイントを5つ紹介します。
①パッケージかオーダーメイドか
販売管理に必要な機能を揃えたパッケージシステムであれば、オーダーメイドで一からシステムを構築するより安価に導入可能です。すでに完成しているシステムを利用するので、導入期間も短縮できます。
ただしパッケージシステムをカスタマイズする場合、かえって高額になったり導入期間が通常より長くなったりと、パッケージのメリットが得られない恐れもあります。そのような事態を防ぐためには、導入前に必要な機能や使い勝手を確認しておくことが大切です。
②クラウド型かオンプレミス型か
インターネットを経由して利用するクラウド型なのか、自社内にサーバやネットワークを用意する必要があるオンプレミス型なのかという点も、システムを選ぶときのポイントです。
クラウド型の場合、導入コストや保守費用を抑えることができます。インターネット回線さえあればいつでも利用開始できる上、テレワークにも対応可能です。ただし、オンプレミス型よりカスタマイズ性は低くなる点に注意しましょう。
③業種にマッチしているか
販売管理システムに求める機能は業種によって異なるため、自社の業界や業態と照らし合わせて選定することが重要です。業種特有の商習慣や物の流れなどを加味したシステムでなければ、販売・購買情報を一元管理できなかったり、使い勝手が悪かったりする恐れがあります。
もし自社の業種にマッチしたパッケージシステムがなければ、カスタマイズ可能なシステムやオーダーメイドシステムを導入することも検討しましょう。結果的にコストを抑えられる場合もあり、導入後の運用もスムーズです。
④会社の規模にマッチしているか
会社の規模が異なれば、販売管理に関わる人の数や部門も異なります。システムを選ぶ場合は、自社の規模に合わせたシステムを選びましょう。20~300名ほどの規模の企業かつ特殊な管理が不要な業種であれば、パッケージシステムで導入費用を抑えるという選択も可能です。
検討中のシステムがどれくらいの規模の企業を対象にしているのか、また同じ規模感の企業への導入実績があるかといった点も確認しておくといいでしょう。
⑤サポート体制が整っているか
販売管理システムにエラーが生じたり、システム自体が停止して使えなくなったりといった事態も起こり得ます。その場合にいかに早く復旧できるかが、ビジネスを止めないためには重要です。
システムのベンダー側によるサポートがある場合は、問い合わせへの対応体制やエラー発生時のサポート体制が整ったものを選ぶようにしましょう。OSのバージョンが新しくなった場合に、自動アップデートされるかどうかもポイントです
オーダーメイドシステムを自社で運用する場合は、保守担当者がいつでも復旧にあたれるような体制を整えておく必要があります。
まとめ
企業が商品やサービスを販売する上で、売上や納品状況、仕入状況などさまざまな情報を管理する「販売管理」は、自社と顧客、仕入先の三者間で行われる「お金」と「モノ」の流れを把握するために欠かせない業務です。
販売業務は関係する部署や取引先が多く、情報が煩雑になりがちなため、適正な管理が求められます。適正な管理が実現すれば、自社の損益情報の可視化や業務効率の改善ができるだけでなく、取引先とのやりとりの正確性が増して信頼関係の構築にも役立ちます。
受発注や商品数、取引先が多い企業は一般的に、システムを導入して販売管理を行います。システムを導入する際は、パッケージかどうかやクラウド型かどうかなど、導入コストとカスタマイズ性を比較・検討しましょう。また、自社の業種や規模に合っているかどうか、いざというときのサポート体制の有無、自動アップデート機能の有無なども確認して導入する必要があります。
スムーズかつ適正な販売管理のために、システムやツールも上手く活用していきましょう。