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SaaS型ERPとは?オンプレミスや他のERPとの違いや特徴を紹介

SaaS型ERPとは?オンプレミスや他のERPとの違いや特徴を紹介
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2024/5/24公開

市場の変化が激しく、ビジネスにもスピード感が求められている今、時間や場所を選ばず利用できるSaaS型サービスに注目が集まっています。企業が持つヒト・モノ・カネ・情報といった資源を有効活用するためのERPも、近年はSaaS型が増加傾向です。

本記事では、SaaS型ERPの特徴やメリット・デメリット、他のタイプとの違いを詳しく解説します。ERPの導入を検討しているなら、本記事を参考に、SaaS型が自社に適しているかどうか検討してみてください。

目次

    SaaS型ERPとは?

    SaaS型ERPとは、自社以外のサーバーに構築されたシステムを、アプリケーションとしてインターネット経由で利用する形のERPです。クラウド型ERPの一種でもあり、サービスを提供するベンダーに月額料金を支払って利用します。

    SaaS型ERPは、インターネット環境さえあれば利用できる手軽さや導入コスト・期間の短さといったメリットから、近年多くの企業で使われています。

    SaaSとは

    SaaS(サース、サーズ)とは、「Software as a Service」を略したもので、クラウド上で提供するサービス形態のソフトウェアを指します。ユーザーのパソコン上にソフトウェアをインストールする必要がなく、インターネット経由で利用できる点がメリットです。

    複数のユーザーが同時にアクセスして編集することも可能で、リアルタイムな情報を把握できます。代表的なSaaSとして、チャットツールやWeb会議ツールなどが挙げられます。

    PaaS、IaaS

    SaaSの他にも、PaaSやIaaSといったクラウドサービスがあります。

    PaaS(パース)とは、「Platform as a Service」を略したものであり、インターネット上でソフトウェアを動作させるためのプラットフォームを提供するサービスのことです。ソフトウェア構築用のプラットフォームを自社で用意する必要がないため、スピード感を持ったアプリケーション開発が可能です。

    IaaS(イアース、アイアース)とは、「Infrastructure as a Service」を略したもので、システムの稼働に欠かせないネットワークやサーバー、ストレージといったインフラをインターネット上で提供するサービスを指します。

    クラウドサービスについて、詳しくはこちらの記事を参照してください。

    クラウドシステムの基礎知識。メリットや選び方をわかりやすく解説

    SaaSとクラウドとの違い

    クラウドは、インターネットを経由してアクセスするサーバーや、そのサーバーを利用したサービスを指します。そのため、インターネットを利用したサービスの一つであるSaaSも、クラウドサービスの一種です。

    クラウドは、SaaSを提供・利用するために欠かせない環境であり、SaaSはその環境を利用したサービスという違いがあります。

    パブリッククラウドとプライベートクラウド

    パブリッククラウドとプライベートクラウド.png

    クラウドの種類は、大きくパブリッククラウドとプライベートクラウドの2つに分類できます。

    パブリッククラウドは、広く一般に開かれたクラウド環境です。複数のユーザーとクラウド環境を共有して使用します。サーバーもソフトウェアもユーザー全員で共有することになり、利用コストの低さや導入の手軽さがメリットです。

    一方のプライベートクラウドは、自社やグループ内だけなど、特定の範囲でのみ利用できるように構築したクラウド環境です。クラウド環境を占有できるため、より柔軟なサービスをより強固なセキュリティのもとで運用できます

    一般的に、SaaSはパブリッククラウドで提供されます。

    SaaS型ERPとオンプレミス型ERPの比較

    SaaS型ERPオンプレミス型ERP
    価格体系 月額・継続課金 買い切り
    導入コスト オンプレミス型と比較して安価 SaaS型と比較して高額
    運用形態 サービス提供者側で運用 自社で運用
    利用環境 クラウド 自社サーバー
    アクセス環境 問わない(要インターネット) 社内のみ
    カスタマイズ性 低い 高い

    現在のような通信インフラが整備される前は、企業のERPとしてオンプレミス型が主流でした。オンプレミス型とは、自社で保有するサーバー上に独自でシステムを構築し、社内でだけ利用する仕組みのことです。

    自社の業務形態に即したシステムをフルスクラッチで構築し、その後の運用もすべて自社でまかなうため、導入にはコストも時間もかかります。アクセスできるのは自社サーバーに接続できる社員のみであることから、セキュリティの安全性は担保しやすいものの、アクセス性は高くありません。また、システムのカスタマイズが柔軟にできることも、オンプレミス型の強みです

    一方のSaaS型ERPは、インターネット経由でサービスを利用できるため、コストも時間も抑えて導入できます。アクセスする場所もデバイスも問わず、自社で運用する必要もありません。ただし、セキュリティは向上しているものの、セキュリティ対策はERPを提供するベンダーに依存するため注意が必要です。また、システムのカスタマイズ性はオンプレミス型と比較して低くなります

    SaaS型ERPのメリット

    SaaS型ERPを使うメリットは、主に以下の4つがあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

    導入コストが抑えられる

    自社でサーバーを持つ必要も、システムを一から構築する必要もないため、導入コストを抑えられる点は大きなメリットです。毎月、一定額の使用料を支払う仕組みであることから、導入初期に大きな費用をかける必要がありません。

    柔軟な機能拡張が可能

    自社の業務が拡大したとき、SaaS型ERPであれば柔軟に機能を拡張できます。たとえば、システム開発業を主軸としていた企業が、業務を拡大して製品販売を行うようになった場合、システム開発に必要な機能に加えて営業や販売に関する機能も必要となってきます。

    SaaS型ERPであれば、同じサービス内での機能追加や、他のシステムとの連携が容易なため、必要なタイミングで機能を拡張できるのです。

    自社で運用する必要がない

    自社でシステムを運用するには、専門知識を持った社員が必要です。SaaS型ERPなら、ベンダー側にシステムの構築・運用・メンテナンスを任せられるため、自社で運用する必要がありません。また、システムの不具合やトラブルが生じた場合も、ベンダー側が対応してくれるため、自社の負担を軽減できます。

    オンプレミス型に比べて導入期間が比較的短い

    SaaS型ERPは、導入までに必要な期間もオンプレミスに比べると短い点が特徴です。要件の整理や業務プロセスの洗い出しは必要ですが、最短1か月程度で開始できるサービスや、なかには契約してすぐに利用開始できるサービスもあります。すぐに利用開始したい場合や導入のための人員を割けない場合は、SaaS型ERPが手軽でおすすめです。

    SaaS型ERPの注意点

    上記のようなメリットがあるSaaS型ERPですが、利用にあたって以下の3点に注意する必要があります。

    セキュリティ面のリスク

    セキュリティレベルやトラブル時の対応は、サービスを提供するベンダー側に依存する点に注意しましょう。自社で扱う情報が必ずしもセキュリティレベルの高い環境で保護されるとは限りません。使用するサービスのセキュリティレベルやトラブル時の対応がどうなっているか、導入前に確認することが重要です。

    近年はクラウドのセキュリティも向上していますが、自社の管理下ではないことに留意して利用する必要があります。

    ランニングコストがかかる

    導入費用を抑えられるSaaSですが、月々の利用料が必要なため、利用しつづける限りランニングコストがかかることも注意点です。そのため、使用ライセンス数の増加や機能追加によって、固定費が上がることを念頭においた経営が必要となります。

    もし利用料を支払えなければ、サービスを利用できなくなり、業務で混乱をきたす恐れもあります。そもそも期待する効果が得られているのか、費用対効果の定期的な検討が重要です。

    カスタマイズの制約

    SaaS型ERPは、多くののユーザーに利用してもらえるよう設計されているため、個別事情による機能カスタマイズは難しいのが実情です。オンプレミス型であれば一から自社に合わせた設計が可能である一方、SaaS型だとすべての仕様が自社に即したものとは限りません。

    事業形態が特殊な場合、SaaS型だと使いにくい可能性がある点に留意しましょう。そのため、自社の業務形態に合った製品を選ぶことが重要です。

    SaaS型ERPがおすすめな企業

    上記のようなデメリットを考えると、すべての企業にSaaS型ERPが適しているわけではないことがわかるでしょう。ではどのような企業ならSaaS型ERPがマッチするのか、おすすめしたい企業の特徴を紹介します。

    自社のIT人材が不足している

    オンプレミス型ERPを開発・運用・保守できるIT人材が社内にいない、もしくは不足している場合、SaaS型ERPを利用するのがおすすめです。オンプレミス型の場合は、要件定義からセキュリティ対策、保守・運用までを自社で対応する必要があるため、システムに精通したIT人材が必要となります。

    SaaS型であれば上述したように、運用をベンダーに任せられます。ITに詳しい人材がいなくとも利用でき、トラブル時もベンダーに対応してもらえるため安心です。

    企業の成長段階にある

    ベンチャー企業やスタートアップ企業のように、これから成長していく企業にもSaaS型ERPが適しています。将来的に人員増加や事業拡大が予測される場合、現状に適したソフトウェアをオンプレミス型で開発しても、企業の成長に伴う機能の追加開発や新たなサーバー構築に費用も時間もかかってしまうからです。

    その点SaaS型なら、企業の成長段階に合わせて利用するサービスや機能の追加がスピーディにでき、コストを抑えられます

    初期投資を抑えたい

    できるだけ資金を貯めておきたいフェーズにある企業にも、SaaS型ERPが向いています。オンプレミス型と比較して、導入時の初期コストを抑えられます。導入期間も短くて済むため、すぐに利用を開始したい企業にもSaaS型がおすすめです。

    SaaS型ERPの導入事例

    本ブログを運営する株式会社オロのクラウド型ERP『ZAC』もSaaS型ERPの一つです。実際にSaaS型ERPを導入した企業が、どのような効果やメリットを感じたのか、ZACの導入事例とともにお伝えします。

    INSIGHT LAB株式会社様

    企業内のビッグデータの分析・可視化・活用提案によって、クライアントのビジネス成長を支援するINSIGHT LAB株式会社様。同社では、事業拡大に伴う業務管理体制見直しと月次決算の実現を目的にZACを導入されました。

    当初は自社独自のシステムを開発することも考えていましたが、社内リソースが足りないことからSaaS型のERPを選んだといいます。ZACは、月次決算の実現と業務管理・原価管理の効率化という要件を満たしたうえ、同社の規模であれば導入から3ヶ月で本格稼働できることが決め手となりました。

    ZAC導入後は、締め処理機能によって現場社員のデータ入力への意識が高まり、案件別の工数が厳密にかつ素早く集計可能になったそうです。さらに、メンバーの稼働状況が可視化できるようになったため、テレワークなど出社していない社員のアサイン調整やマネジメントにも活かせているといいます。

    アプリ・ゲーム・ソフトウェア受託開発業INSIGHTLAB様事例

    株式会社シティアスコム様

    アプリケーションの開発に核を置きながら、ネットワーク設計やシステム保守・運用など、さまざまなソリューションを提供する株式会社シティアスコム様。これまで利用してきたシステムの保守期限が迫り、システムリプレイスを検討されていました。

    旧システムは業務に合わせて様々なカスタマイズをした結果、パフォーマンス低下や、バージョンアップ時の想定外なコスト発生といった課題が生じていました。そのため、法改正などに伴うバージョンアップがあった際も改修の必要がないよう、クラウドかつノンカスタマイズで導入できるシステムを探していたといいます。ZACならノンカスタマイズで導入でき、自動バージョンアップの対象になる点が導入の決め手になりました。

    導入後、バージョンアップコストが不要になり、社内システムにかかるコスト削減につながりました。また、ZACは財務会計システムとの連携ができるのも特徴です。ZACに打ち込んだ数字を、手入力をはさまず財務会計システムに連携し、さらに財務諸表の出力までできるようになったため、「経理業務が楽になった」と声が上がっているといいます。

    アプリ・ゲーム・ソフトウェア受託開発業シティアスコム様事例

    まとめ

    SaaS型ERPは、導入コストを抑え、成長フェーズに合わせて利用しやすいことが特徴です。従来のオンプレミス型に比べて導入期間も短く、場所を問わずに利用できることから近年ユーザーが増えています。

    メリットの多いSaaS型ERPですが、注意点もしっかり理解したうえで、自社に合うサービスを導入することが重要です。また、導入の際には、利用する目的や要件を明確にすることが、SaaS型ERP活用のポイントとなります。

    これから新たにERPを導入したり、リプレイスを検討したりする予定の企業は、SaaS型ERPのひとつであるZACの導入事例も参考に、自社に適したサービスを選んでみてください。

    Q
    SaaS型ERPとは?
    A
    SaaS型ERPとは、自社以外のサーバーに構築されたシステムを、アプリケーションとしてインターネット経由で利用するものです。詳しくはSaaS型ERPとは?をご覧ください。
    Q
    SaaSとサブスクの違いとは?
    A
    SaaSは「Software as a Service」というソフトウェアの提供形態のひとつであるのに対し、サブスク(サブスクリプション)は定期購読のように月額料金を支払うことでサービスを受けられるような支払い形態を指します。詳しくはSaaSとは?をご覧ください。

    【図解】8ページでざっくりわかるERPの選び方

    そもそもERPとは?といった最初の疑問から、クラウドとオンプレミスの違い、機能一覧、メリットデメリットまで、8ページにわかりやすくまとめました。

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    矢野 由起

    この記事の筆者

    ライター

    矢野 由起

    製造業のエンジニアとして9年半勤めた経験を活かし、現在はフリーランスのライターとして活動中。職場の生産性や働き方改革、クラウドツール活用、複業などに興味があり、人事領域に関する記事なども手掛けている。

    東 香菜子

    この記事の監修者

    株式会社oRo code MOC クラウドソリューション事業部マーケティングチーム

    東 香菜子

    専門誌の編集、広告制作を経て、株式会社オロの子会社・株式会社oRo code MOCに入社。
    オロの製品・クラウドERP「ZAC」のマーケティングチームとして、ZACBLOGのライティング業務を主に担当している。