RFIとRFPの違いは?役割や具体的項目、作成時のポイントを解説
2024/12/20公開
自社に新しくシステムを導入したり、製品を購入したりする際、どのようなものを選ぶべきか、またどのような方法で情報収集すべきか悩むことも多いでしょう。自社により最適なシステムを比較・検討して選定したい場合、RFIやRFPを作成して情報収集するのがおすすめです。
これまでRFIやRFPを作成したことがない場合や、システム選定フローが決まっていない企業の場合、作成ポイントやそもそもの役割の違いが明確でないかもしれません。そこで本記事では、RFIとRFPの違いについて詳しく解説します。活用方法や作成のポイントもお伝えするので、RFI作成に役立ててください。
RFI(情報提供依頼書)とは
RFIとは、「情報提供依頼書(Request For Information)」の略称です。企業や官公庁が入札、業務委託、サービス導入などを計画する際、入札を行うベンダーに対して製品情報や技術情報の提示を求めるために提出する書類を指します。
インターネット上にはない情報を含め、製品・サービスの情報を幅広く収集することが目的で提出するものです。RFIの作成は必須ではありません。
具体的な項目
それでは、実際にRFIを作成する際に、どのような項目を記載すればよいのかをご紹介します。一般的に、RFIには以下の内容が含まれます。
- 自社情報:発注側の自社に関する事業概要などの情報
- 趣旨、目的:RFIの目的や製品・サービスが必要になった背景
- 相手企業の基本情報:ベンダーの社名、売上高、社員数などの基本情報
- 製品、サービスの基本情報:ベンダーが扱う製品やサービスについての情報
- 製品、サービスの機能:ベンダーが扱う製品やサービスの機能や特徴に関する情報
それぞれの項目については、のちほど詳しく説明します。
RFP(提案依頼書)とは
RFPとは、「提案依頼書(Request For Proposal)」の略称です。システム導入や業務委託を計画する企業や官公庁が、ベンダーに対して具体的な提案の依頼を求める書類のことを指します。ベンダーに求める内容が明確になっている状態で作成される点が特徴です。
提案範囲や骨子、要件などが記載されており、それに対してベンダーは具体的な提案や、見積りなどを回答することになります。RFPへの回答を比較し、最も条件に適したベンダーを選定して依頼することになるのです。
RFIとRFPの違い
上記のように、RFIでは製品や技術に関する情報提示を求めるのに対し、RFPは導入したいシステムや業務委託に関する具体的な提案を求める書類という違いがあります。RFIを提出して製品・サービスを検討したのち、RFPを依頼する流れが基本です。
RFQ(見積依頼書)とは
他にも、RFI、RFPと混同されがちな言葉にRFQがあります。RFQとは「見積依頼書(Request For Quotation)」の略称です。ベンダーに見積りを依頼する際、記載すべき内容や条件を記載して提示する書類を指します。
RFIの具体的な項目
上述した通り、RFIには以下の項目について記載があります。具体的にどのようなことが記載されているのか、ここから詳しく見ていきましょう。
導入の背景・目的
RFIは、システム導入やサービス・製品の購入を検討する際、企業に情報提供してもらうために発行するものです。その背景にはどのような課題があるのか、また何のために導入を検討しているのかといった、導入の背景・目的を記載する必要があります。この項目が明確でなければ、的外れな製品・サービスの情報が集まりかねません。
自社の情報
どのような企業がRFIを出しているのかベンダーに知ってもらい、適切な回答をもらうため、自社についての情報を記載します。初めて取引を行うことになるベンダーである可能性もあるため、正確な情報を得るためには、まず自社の情報開示が肝要です。
ベンダーの基本情報
サービス・製品の情報を提出するベンダー側の情報も必要です。社名、所在地、売上高、グループ会社、親会社など、基本情報を記載してもらうための項目をRFIに盛り込みます。
特に資本関係は外部から見えず、同一グループの企業複数社に依頼をしてしまう可能性もあるため、しっかり把握しておきましょう。
製品・サービスの基本情報
製品の名称、リリース時期、価格、導入実績など、導入を検討するために必要な製品情報を理解しなければなりません。そのため、検討のためにどのような項目を必要としているのか、RFIに記載します。
製品・サービスの機能
製品・サービスの基本情報だけでなく、どのような機能を持つのかといった情報も必須です。想定される使用シーンに対し、具体的な機能やメリット、優位性などを提供してもらえるよう記載します。
RFIを作成する7つのメリット
導入したい製品に対し、口頭やメールで情報提供を求めるのではなく、RFIを作成して提示することには、以下のようなメリットがあります。主なメリットを7つ紹介します。
ベンダーやシステムの比較がしやすい
まずは、RFIで提示を求めた情報が得られるため、すべての製品・サービスを同じ情報量で同一基準のものと比較検討しやすい点がメリットです。RFIなしに情報を集めても、ベンダーによって情報量に差が出る、もしくは必要な情報が不足した状態で判断しなければならないといった恐れがあります。
最新情報が入手できる
RFIを提出してもらうことによって、公にされていない情報を得られる可能性があるため、最新かつ正確な情報を得られる点もメリットです。最新情報であることから、より多くの情報をもとに慎重な判断が可能となります。
検討スピードの向上
RFIに記載した内容に絞って情報比較できるため、比較検討のスピード向上が期待できます。もし基準を決めずに情報を集めていたら、その情報を同一基準に並べるところから始めなければならず、非効率になりかねません。
指定条件の費用感がわかる
従業員規模や必須の機能等の条件を指定したうえで情報提供を依頼するため、初期段階で費用感を掴めるのもRFIのメリットです。例えば、利用する規模や初期費用、ランニングコストなど、インターネット上の情報だけでは算出できない費用がRFIによって把握できます。
導入目的・優先度の高い課題をベンダーに共有できる
RFIには、サービス・製品の導入目的や優先度の高い課題を記載するため、あらかじめベンダーにそれらの情報を共有できます。そのため、自社の目的や課題にマッチしたサービス・製品やベンダーを見分けられるのです。
選定根拠の明確化
RFIに対して返ってきた情報が、新たに導入するサービス・製品の選定理由となるため、「なぜこの製品を選んだのか」と説明する際にも理由を明確にできます。情報も同一基準なので、その結果で判断したという、選定の正当性も主張しやすいと言えます。
トラブルの回避
RFIという正式な書面への回答であるため、ベンダー側から出てくる情報も正確です。書面がやり取りとして残るため、のちのトラブルを防ぐ効果も期待できます。あとから異なる条件を提示されることや、お互いの認識ミスをなくすためにもRFIは有用です。
作成時のポイント
自社でRFIを作成する際のポイントをお伝えします。これから作成する場合、以下のポイントと解説をぜひ参考にしてください。
導入の目的・ゴールを明確にする
「なぜ導入するのか」「課題は何か」「導入した結果、どのような姿を目指すのか」といった導入の目的やゴールを明確にしてRFIに記載することが大切です。その情報をベンダーに共有することで、どのような情報を提示する必要があるのか共通認識を持てます。選定に必要な情報を的確に提供してもらうためにも必要なことです。
項目が細かくなりすぎないようにする
必要な項目や求めている範囲、規模感などは伝えるものの、最初から細かく絞って情報収集すると、本当に必要な項目を拾えなくなる恐れがあります。その結果、再度ベンダーにヒアリングするなど、時間がかかってしまいます。
最低限の定義は記載するものの、RFIの段階では細かく指定しすぎないことが、比較検討のスピード向上のために重要です。
記載内容を明確にする
RFIに記載された内容が曖昧だと、回答するベンダーも何の情報を提示すべきか迷いかねません。ベンダーが的確に回答できるよう、明確かつ簡潔なヒアリング項目を設定することが大切です。
システム選定のフロー
ここからは、実際にRFIやRFPを使用したシステム選定のフロー例を紹介します。どのタイミングでどのように利用しているのか、全体像を把握するための参考にしてみてください。なお、選定フローはベンダーによって異なる場合があります。
①システム・ベンダーに関する情報収集
まずは、必要なシステムやそれを提供しているベンダーに関しての情報収集を行います。ここでは、インターネット検索や同業他社・従業員へのヒアリングを含めて広く情報を集めることがポイントです。
②候補を絞ってRFIを依頼
①で集めたシステムやベンダーのなかから、RFIを提示するベンダーを選定します。数社〜十数社など、幅広く複数の企業を選ぶのが一般的です。
③比較検討
RFIを提示後の一定期間で、各ベンダーから情報が集まります。その情報を社内の基準を用いて比較検討を行います。
④ベンダーとの面談
RFIを提出したベンダーと個別に面談を行います。信頼できる企業か、求める目的や課題に応じたシステムを提供できるか、アフターサービスはどうなっているかなど、発注した場合を見据えて話をしましょう。
⑤デモ・トライアルの実施
比較検討と面談の結果、基準を満たすものがあればデモやトライアルを依頼し、実際の使用感を試すことになります。この段階でシステムを決定するわけではないため、広く試してみましょう。
⑥RFPによる提案依頼
これまで集めた情報をもとにRFPを作成し、ベンダーに具体的な提案書を依頼します。RFIは広く提示しますが、RFPはRFIによって得られた情報をもとに一般的に2〜3社程度まで絞ることが大切です。⑤と⑥は順番が入れ替わるケースもあります。
⑦RFQによる見積依頼
RFPによって届いた提案書を確認後、さらに細かい条件まで指定した状態でRFQを提示して見積りを依頼しましょう。ここでも、見積り額を比較するため、一般的に2〜3社程度に提示することとなります。
⑧システムの最終決定
RFQの結果が出揃ったら、どのシステムを導入するか最終決定を行います。ただし、見積りは、条件を指定して提示依頼していても、横並びに比較できない可能性があるため、内容を精査することが肝要です。
まとめ
RFIとRFPは、どちらも自社の課題解決に必要なシステムや製品を購入・導入するために使用する書類です。その違いは、広く情報を集めるRFIと、より具体的な提案をもらうRFPというものです。
どちらの書類もシステムや製品の選定フローにおいて重要な役割を果たすため、適切な書類を適切なタイミングで作成・提示して、必要な情報を収集しましょう。同一基準かつ最新の情報収集ができることや、比較検討のスピードが上がること、選定の根拠として残ることなど、RFIには多くのメリットがあります。RFIとRFPに加え、RFQも活用することで、正確かつスピーディーな比較検討が叶うはずです。