PSA(プロフェッショナル・サービス・オートメーション)とは
2022/9/09公開
現在IT業界は深刻な人材不足の問題を抱えています。そのため、どの企業も社内メンバーでは間に合わず、社外や個人エンジニアへの委託を必要としているのが現状です。
社外に委託すると、プロジェクト管理が煩雑になるだけでなくコミュニケーションコストがかかり、プロジェクトの利益が出にくくなります。逆に、社外へ委託せず社内メンバーでやり切ろうとすると、社員一人ひとりへの負担が大きくなってしまいます。どちらにしても、生産性やメンバーのモチベーション低下などにつながり、負のループとなってしまうでしょう。
これらのIT業界の課題を解決するために役立つのが、PSA(プロフェッショナル・サービス・オートメーション)というシステムです。
本記事では、PSAの基礎知識とPSAを導入することで解決できる課題やメリットについてお伝えします。
目次
PSA(プロフェッショナル・サービス・オートメーション)とは
PSA(プロフェッショナル・サービス・オートメーション)とは、ソフトウェア開発、システムインテグレータ、ITコンサル会社などのITサービス提供事業者が、会社の経営資源である人材や知的財産を管理し、生産性と顧客満足度を向上させるためのシステムです。
人材管理や進捗管理、販売・購買管理などの基幹システムを総括し、プロジェクト全体を可視化してマネジメントできます。
PSAによって解決できる課題
ITサービス提供事業者は、いくつもの課題を抱えていますが、PSAを導入することで以下のような課題を解決できます。
- 業務管理の課題
- プロジェクト管理(案件管理)の課題
- 管理会計の課題
- 工数管理の課題
ここからは、ITサービス提供事業者の抱える課題をより具体的に解説します。
業務管理の課題
- 見積書や請求書が紙で管理されている
- 管理用Excelが10個以上存在し、二重入力が頻発
- 月末になって把握していない請求書が届く
業務管理の課題として、書類を紙で管理しているために知りたい情報を素早く検索できなかったり、月末になるまで請求書が提出されずに対応が遅れたりすることがあります。また、紙ではなく電子データで管理していても、類似したExcelがいくつも存在することで、同じ数字を複数のファイルに入力する必要があるなど、二度手間やメンテナンス漏れに悩まされることも多いでしょう。
プロジェクト管理(案件管理)の課題
- 粗利率や原価が上下した際の要因分析が感覚的になっている
- 案件が完了してから初めて赤字が判明する
- 未来の案件が把握できず、アサイン管理が困難
プロジェクトや案件の管理を現場の感覚に頼ってしまい、根拠のある分析ができないことは、企業にとって大きな課題です。また、案件が完了するまで赤字かどうか分からない、数ヶ月先の案件を把握できずに人員調整ができないなど、プロジェクト管理(案件管理)には様々な課題があります。
管理会計の課題
- 月次の数字把握に、2ヶ月以上のタイムラグが発生
- 直近の数字しか管理できず、売上予想が大きくブレる
- クライアント別、セグメント別の損益分析ができていない
各月の売上・利益といった数字を把握することは、管理会計にとって重要な任務ですが、数ヶ月のタイムラグが発生してしまう企業もあるでしょう。また、直近の数字は把握できても未来の数字がわからず、最終的に予想した数字と実際の数字に大きな差が出ることもあります。データが細かく分類されていないために、クライアントや部門などセグメント別での損益の分析が難しいことも課題です。
工数管理の課題
- 誰がどの案件にどれだけ稼働しているのか正確な数字がわからない
- 直接費や間接費が明確にわからない
- 人事評価が定性的な印象に偏り、貢献度が判断できない
利益率を上げるためには工数管理が重要ですが、人ごと・案件ごとの稼働時間や、直接費・間接費などの費用が正確に把握しきれないという課題があります。また、数字が不明確なことが原因で人事評価の際に貢献度が判断できず、印象で評価せざるを得ないこともあるでしょう。
PSAの具体的な機能
続いて、PSAの具体的な機能について解説します。
PSAが保有する機能は以下のとおりです。
- プロジェクト(案件)単位の損益管理
- 効率的な受発注管理
- 勤怠・工数の管理
- 経費の管理
- 経営情報を可視化するBIツール
①プロジェクト(案件)単位の損益管理
売上や原価を画面に入力することで利益計画を作成できるため、予定粗利が把握可能になります。また、あらかじめ外注先の原価を設定しておくことで、案件単位の外注費管理を簡略化でき便利です。社員の予定労務費の算出や、労務費を案件の原価として考慮することも可能です。
②効率的な受発注管理
案件登録から売上までの各業務プロセスの情報を引き継げるため、二重入力や転記をする必要がなく、時間短縮やミスの軽減につながります。また、見積書や請求書などの帳票の発行、見積・発注申請などの承認、営業が入力したデータを経理が確認するといったワークフローに沿った各業務プロセスが実施可能なPSAもあります。
③勤怠・工数の管理
「プロジェクト(案件)」・「作業内容」ごとの労務費をリアルタイムで算出できるといった、正確な工数管理が可能です。さらに、従業員の出勤、退勤、休暇申請や承認などの勤怠管理がシステム上でできるPSAも存在します。
④経費の管理
発生した経費がどの案件で使用されたものなのかを紐付けて管理可能です。また、PSA上でワークフローに沿った経費計算ができるシステムもあります。
⑤経営情報を可視化するBIツール
PSAで管理されている情報をグラフや表にしたり、事業セグメント別、クライアント別、部門別など様々な切り口における損益レポートを確認したりできます。また、売上や利益など受注前の見込段階での予測値と実績値を一元管理することで、数か月先の着地予測が見える化できるため、感覚的な経営に頼ることなく可視化されたデータによる分析が可能になります。
PSAとERPの違い
ERPとは、Enterprise Resource Planning(企業資源計画)の略で、企業の「会計業務」「人事業務」「販売業務」「生産業務」「物流業務」などの基幹業務を統合し、情報の一元化や効率化を図るためのシステムです。
PSAとERPは類似の機能が存在しますが、一般的にはERPのほうが幅広い業種に対して業務管理を行え、PSAのほうがより業種に特化しているのが特徴です。ERP、PSAともに「販売管理」「購買管理」「工数・勤怠管理」「経理管理」の機能はありますが、「工程管理」「文書管理」や顧客との接点情報を管理するCRMに関する機能は、PSAには保有されていない場合もあります。
以下の表は、本ブログを運営する株式会社オロが提供するPSA「Reforma PSA」とERP「ZAC」の機能範囲の比較です。あくまで一例であり、すべてのPSA、ERPに当てはまるわけではありません。
Reforma PSA | ZAC(ERP) | |
---|---|---|
販売管理 | ○ | ○ |
購買管理 | ○ | ○ |
工数・勤怠管理 | ○ | ○ |
経理管理 | ○ | ○ |
工程管理 | ○ | |
文書管理 | ○ |
Reforma PSAとは
ここからは、Reforma PSAを例にPSAの導入メリットや効率化事例をご紹介します。Reforma PSAは、クリエイティブ業、IT、Web、広告、コンサルティングなどのプロジェクト型ビジネス向けの「プロジェクト別損益の見える化」「業務効率化」に特化したシステムです。従業員数5~50名程度の企業様向けに作られています。
Reforma PSAには、以下の4つの特徴があります。
- 業界特化の機能で案件を軸に損益を可視化
- 垂直統合型で情報を一元管理
- 初期費用が0円
- 充実のサポート体制
Reforma PSA導入のメリット
Reforma PSAを導入すると、以下のようなメリットがあります。
- 情報の二重入力や入力漏れ、連携コストが削減される→業務管理の課題解決
- プロジェクト(案件)ごとの損益が可視化される→プロジェクト管理(案件管理)の課題解決
- 現在と未来の経営数値が見える→管理会計の課題解決
- 工数集計作業が迅速化できる→工数管理の課題解決
①情報の二重入力や入力漏れ、連携コストが削減される
Reforma PSAに登録したデータはシステムで一元管理されるため、営業とバックオフィスとのシームレスな連携が可能。業務のヌケ・モレを解消し、業務管理の課題を解決します。また、ヌケ・モレを知らせるアラーム機能もあります。
業務管理の課題を解決すると、以下の状態になります。
- 見積書・請求書などの情報をシステム上でまとめて管理可能
- 二重入力がなくなり、間接時間を削減
- 「請求」「支払い」などの管理業務のヌケ・モレが減少
②案件ごとの損益が可視化される
Reforma PSAでは案件別の損益をタイムリーに可視化できるため、利益変動の要因を把握し、予期せぬ赤字を防ぐことが可能です。結果として、プロジェクト管理(案件管理)の課題解決に結びつきます。案件別の原価を自動計算できるので、集計にかかる間接工数を削減し、本業に集中できるのもメリットです。
プロジェクト管理の課題を解決すると、以下の状態になります。
- 案件進行中でも案件別損益をタイムリーに把握できる
- 案件別に外注・労務管理できるので、利益の変動要因も明確に分かる
- 受注前の案件から予定作業時間を管理できるので、先々のリソースも把握できる
③現在と未来の経営数値が見える
Reforma PSAは、正確なデータを様々な集計軸でレポーティングすることが可能です。タイムリーな数値を経営分析に役立てられ、管理会計の課題を解決できます。
管理会計の課題を解決すると、以下の状態になります。
- 正確な経営数値をタイムリーに把握できる
- 3ヶ月・半年先の売上や利益の見込が見え、売上予想のブレを低減
- 様々な集計軸の経営レポートをワンクリック出力し、損益分析が可能
④工数集計作業が迅速化できる
Reforma PSAは、クリエイティブ業に最適化されたシステム設計のため、工数集計を簡易化できます。その結果、感覚値でしかなかった工数情報を業務改善に活用でき、工数管理の課題解決につながります。
工数管理の課題を解決すると、以下のような状態になります。
- プロジェクト・作業内容ごとの工数管理を簡単に実現
- 予定と実績の工数を対比して進捗を管理できるので、労務費の上振れをタイムリーに把握できる
- 作業時間と売上に応じた定量的な評価が実現する
Reforma PSAによる業務効率化事例
成長企業の経営管理と業務管理(株式会社Alice様)
従業員が10名ほどのコンテンツ制作業の株式会社Alice様。案件管理をExcelで実施していましたが、案件が増えるにつれて入力漏れや入力ミスが生じていました。一方で、「事業と組織の拡大」を経営方針としてかかげていたため、企業が小規模な段階からシステム導入を検討し、組織の成長に耐えうる体制を築こうとしていました。Reforma PSAを導入したことにより、従業員が30名以上に増えても、管理部門のメンバーを1名増やすだけで、案件管理をミスなく、かつ無理なく実施できるようになっています。
膨大な作業負荷がかかる月次決算を簡略化(株式会社クリエイティブアローズ様)
クリエイティブ業である株式会社クリエイティブアローズ様では、以前から計数管理の体制を敷いたり、Excelで月次決算を行ったり、セグメント別の損益やキャッシュフロー管理などはかなり意識して取り組んでいました。しかし、アナログの管理では厳密に数字を見ることができず、損益管理のためのデータ集計や加工だけで丸一日を要していました。予算の兼ね合いにより、ERPのZACではなく、より範囲が絞られており安価なReforma PSAの導入を決意。導入後は集計作業における工数が大幅に削減できています。
リアルタイムに経営情報を可視化(株式会社シンカ様)
「組織人事コンサルティング」企業である株式会社シンカ様では、週次の経営会議のレポートにはExcelを使っていました。しかし、1時間の会議のうち30分を「集計されたデータが本当に正しいのか」という議論に費やした経験があるほど、集計データの正確性に課題をもっていたといいます。Reforma PSAを導入することにより、転記することなく正確な経営レポートを出力可能になりました。その結果、データの正確性が担保され、経営会議の時間を意味のある議論に費やすことができるようになりました。
まとめ
IT人材不足が深刻な現在、ますますPSAのニーズは高まることでしょう。PSAとERPの違いを理解し、自社に合ったシステムを導入することがおすすめです。
システムを導入することで、使う必要のない労力から解放され、本来やるべき業務に集中できます。その結果、利益率の向上が狙えるだけでなく、メンバーのモチベーションアップや顧客満足度にもつながります。
クリエイティブ、IT、Web、広告、コンサルティングなどの業種の企業は、ぜひ業種特化型のReforma PSAを取り入れてみてはいかがでしょうか。