上場準備の取り組み事例4選。ERPの活用でIPOをスムーズに
2021/5/07公開2022/5/17更新
IPO(新規上場)を実現するために避けては通れない上場準備。一般的に準備期間として、2年半~3年ほどの期間が必要といわれています。IPOの要件を満たすためのシステムの活用はもちろん、準備期間の短縮、上場審査の負担軽減といった、上場準備の効率化にもシステムが役立ちます。本記事ではERPを上手く活用し、スムーズなIPOを実現した事例を紹介します。
目次
上場準備とは
上場準備とは、2年半~3年ほどの時間をかけ上場会社としてふさわしい企業体制を構築することです。具体的には、企業、主幹事証券会社、監査法人の3者によって進めていきます。日本の証券取引所に上場申請をするためには、主幹事証券会社の推薦が必須であり、上場支援のためのアドバイザリー契約等を締結するのが一般的です。 同時に監査法人による上場における課題抽出のためにショートレビューを受け、現在の課題・リスクを可視化します。
企業側では監査法人に指摘された課題を解消し、IPO実現にむけたチーム体制が組まれることがほとんどです。IPOの要件は主に「上場会社として必要な制度の構築・整備」「上場後も行っていかなければならない業務の対応・定着」に分かれます。
ここからは、さらに詳しく上場準備の取り組みについて解説していきます。「とりあえず上場の事例をまとめた資料がほしい」という方は、こちらからERPを活用し上場準備を効率化した事例集をダウンロードなさってください。
上場会社として必要な制度の構築・整備 | 予算管理制度・内部監査制度の構築、株式・株主事務の整備、上場審査への対応など< |
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上場後も行っていかなければならない業務の対応・定着 | 予算編成、決算の実施、内部統制の実施、監査対応、IR対応、株主総会事務など |
なかでも上場審査への対応は非常に負担が大きく、数百問の質問に対して約1ヵ月ないしは2週間程度で回答書・添付書類の準備が必要になるため、日常業務とのバランスをとりながら取り組む必要があります。 IPOの基礎知識や上場準備の進め方、スケジュールについては下記の関連記事にて詳しく紹介しています。
このように業務が多岐に渡り、負担も大きい上場準備を少しでも効率化するためには、ERPのようなシステムの活用が有効です。
ERPを活用し、上場準備を効率化した事例4選
ここからはIPOの要件を満たすために本ブログを運営している株式会社オロが提供するERP「ZAC」を導入した事例や上場準備を効率化し、スムーズなIPOを実現した事例を紹介します。
上場準備の効率化事例①-株式会ネオマーケティング様-
マーケティングリサーチを核として、生活者起点のデジタルマーケティング支援や戦略PR・D2C支援など、総合的なマーケティング支援を行う株式会社ネオマーケティング様。コロナ禍の2021年4月22日に東証ジャスダック・スタンダードに上場しました。
同社はショートレビューで、旧基幹システムにデータロック機能がないことやワークフローの機能不足などが内部統制の面の課題として指摘されました。こうした課題は運用だけでカバーできなかったため、ZACへシステムをリプレイス。ZACを導入したことで、ショートレビューで指摘された課題はすべて解決した状態で上場審査を受けることができ、内部統制に関する監査質問にも「ZACで統制しています」と答えるだけで終わるケースが多かったといいます。
監査においては、矛盾のない予算策定プロセスや予算の根拠も重要なポイントです。ZACはサービス区分別の過去実績や顧客単価・顧客数をすぐに出せるため、「来期以降は何パーセントのクライアントが継続して案件をいただける見込み」か、同時に「新規案件を何件獲得する必要があるか」といった目標値を決めるための「根拠」として活用できたと語ってくれています。
上場準備の効率化事例②-株式会社JMC様-
3Dプリンター出力事業、鋳造事業、CT事業の3つの軸でメーカー企業のものづくりを支援する株式会社JMC様。上場準備にかけた期間はわずか2年弱で、東京証券取引所マザーズ市場へと上場しました。
ZAC導入により、クライアント別や工程別といったセグメント別の売上予実レポート作成の半自動化が実現。ZACの過去データを根拠に予算を組めるため、予算統制レベルが底上げされたといいます。上場企業に求められる予算統制プロセスの定着にZACは大きく貢献しました。
さらに監査法人から「内部統制上のリスク」と指摘されていた手集計での原価計算をシステム化し、正確性とスピードをアップ。月次決算も9営業日から4営業日に短縮しています。そのほか電子申請・承認機能により内部統制プロセスの構築にも寄与しています。
上場準備の効率化事例③-株式会社日宣様-
広告プロモーション全体の設計から、カタログ・ツール制作、WEB、展示場装飾・空間デザイン、売り場プロモーションのサポート、リアルイベントの企画実行など、マス広告から店頭・リアルイベントまで幅広くカバーしている日宣様。監査法人からのショートレビューの結果、決算のスピードと正確性に改善が求められたことをきっかけに、ZAC導入をしました。上場に向けたシステム基盤を構築し、2017年に東京証券取引所JASDAQ市場へと上場しています。
ZACは、財務会計システムへの仕訳データ連携機能があります。財務会計への二重入力が不要なため、入力の負担を大幅に削減し、月次決算の締め日を10営業日から4営業日に短縮。決算のスピードアップを実現しました。「決算の正確性」については、監査法人より改善が求められた「スクラッチ開発システムのリスク」「紙書類による申請・承認」の2点がZAC導入でクリアになりました。
また、ZACは部門別・サービス別・月別・得意先別・仕入先別などセグメント別の経営数値が簡単に集計・出力できるアウトプット機能があります。最終上場審査では100~200の質問事項に1週間程度で回答しなければならないため、ZACの豊富なアウトプット機能は上場審査対応への強い味方となったといいます。
上場準備の効率化事例④-株式会社ベクトル様-
企業の広告・宣伝分野でPRを活用する「戦略PR」のパイオニアとして成長を続けるベクトル様。コアバリューである「モノを広める」スキルを通じ、「PR事業」、「Digital PR事業」、「Facebook PR事業」、「映像制作事業」の4つの事業を中心に多種多様なニーズに対してサービスを展開しています。同社は正確な経営データを早期に集約できる業務プロセスの整備を実現し、2012年に東京証券取引所マザーズ市場へと上場しています。
ZACは、見積作成・発注・経費申請など、業務処理を行うと自動的に電子申請・承認が機能します。さらに「いつ・誰が・どの案件で・どのような承認を行ったか」というログの自動保存による証跡管理といった、内部統制をサポートする多数の機能を保有しています。さらにベクトル様では、請求書の個別ID管理を行い問合せに対して即座に答えられる環境を作るなど、ZACを活用し、IPOに求められる内部統制を実現しています。
事例から学ぶ、失敗しない上場準備とは
IPOを実現するには、予算統制、決算の正確性やスピード、内部統制面といった、会社のさまざまな課題・リスクを克服しなければなりません。まずIPOを意識した段階で、「現在の業務管理およびシステムは"IPOに求められる管理"ができているのか」という検討が必要になります。その上で、自社に合った継続可能な管理体制の構築・運用、場合によってはシステム導入・リプレイスを行います。新しいシステムを導入する際は、IPOまでに1年間の運用実績があることが望ましいため、早めの検討開始をおすすめします。
まとめ
上場準備におけるシステム活用の事例を紹介しました。現在ではショートレビューで指摘される事項が多岐に渡ることから、企業がIPOを目指す上でシステムの活用は必要不可欠ともいえます。そういった状況を踏まえ、現在では多くのベンダーが上場準備やIPO実現に向けた支援を行っています。 ZACは、システム業、IT業、広告業、クリエイティブ業、イベント業、士業、コンサルティング業といったプロジェクト型のビジネス向けのクラウドERPです。IPO実現を検討している企業様は、ぜひお気軽にお問合せください。