ペーパーレス化の事例3選。成功ポイントを解説
2021/2/12公開
ペーパーレス化とは、ビジネスシーンで活用される紙資料を可能な限り電子化すること。働き方改革推進やテレワーク導入の入口として、ペーパーレス化を進めたいと考えている企業も多いでしょう。本記事では実際の事例を交えつつ、ペーパーレス化の成功ポイント、気を付けたい落とし穴について紹介します。
目次
ペーパーレス化を推進するための準備
まず、帳票や証憑のペーパーレス化を推進する上で避けては通れない「電子帳簿保存法」への理解と電子化を行うためのデジタルツールの導入が必須です。さらに過去の紙資料を電子化して保管する場合、スキャナーの準備、スキャンを行うための工数がかかることも頭に入れておきたいポイントです。 電子帳簿保存法、ペーパーレス化の概要やメリットについては下記の関連記事にて解説しています。
次の章からは、本ブログを運営する株式会社オロのクラウドERP「ZAC」を活用して、帳票の電子化、申請・承認業務のシステム化といったペーパーレス化を実現した3つの事例を紹介します。
ペーパーレス化の事例①-株式会社ピーエーシー様-
ZAC導入前の課題
手書き伝票などの紙書類とシステムの併存により業務管理が複雑化していたほか、印刷トナーの消費量、ファイリング作業の手間や保管場所の確保にも無駄があると感じていました。また入金確認の際に、紙の元帳を見比べながらの突合が必要だったために確認作業に工数をとられていました。
ZAC導入で実現したペーパーレス化の効果
紙でなく画面上で請求と入金データの明細単位を確認できるようになり、売掛債権の消し込み作業時間は飛躍的に短縮。また経費精算を電子化したことで、社員各自がシステムに入力するようになり申請モレや転記ミスがなくなりました。紙書類の場合、必須だった経理担当者の転記が不要になり、経費精算作業の負担が減りました。
ペーパーレス化の事例② -株式会社KRI様-
ZAC導入前の課題
見積書決裁や受注決裁など、案件に関わるすべての決裁を紙書類で行っていました。そのため支社の書類は決裁者のいる拠点に送る必要があり、決裁者が不在の時は処理が止まってしまい、決裁に平均4営業日かかっていました。
ZAC導入で実現したペーパーレス化の効果
社内の稟議をすべてシステム上で完結できるようになりました。さらに決裁業務を電子化したことで、年間5000枚もの紙書類を削減。課題となっていた稟議承認にかかる時間を平均2営業日に短縮しています。検索性もアップし、システム上で検索をかければ必要な書類にすぐにアクセスできるようになりました。
ペーパーレス化の事例③-日本ディクス株式会社様-
ZAC導入前の課題
以前は見積書、納品書、請求書などの対外帳票には、すべて押印が必要でした。申請者側、承認者側ともに作業効率が悪かったこと、印章管理が必要であることから、内部統制面でも不安がある点が課題となっていました。
ZAC導入で実現したペーパーレス化の効果
対外帳票は、すべて電子印影に置き換わったので押印の手間がなくなりました。申請承認のプロセスもすべてシステム上のワークフローに置き換わっているので、作業効率、内部統制の両面で改善されています。細かな改善の積み上げにより、結果として経理部門が月次決算にかかる日数を5営業日ほど短縮しています。
事例から学ぶペーパーレス化の成功ポイントと落とし穴
以上3つの事例から言える成功ポイントは、現状の業務における課題の明確化です。KRI様のように、決裁に平均4営業日かかっていたという課題を解決するために、社内の稟議をすべて電子化したことは、稟議にかかる時間の短縮とともにペーパーレス化を実現しています。このことから社内の課題を明確化し、その課題解決とペーパーレス化を紐づけて推進していくことが成功ポイントといえるでしょう。
逆にペーパレス化のみを目標にすると、社内で実感できるメリットがないとされ、理解が得られず、結果として社内のペーパレス化が進まないという落とし穴に落ちる危険性があります。
また、テレワークがニューノーマルとなった昨今では、申請・承認の電子化は急速に進んでいます。即効性という意味では、電子申請・承認ツールのみ導入するという選択肢も有意義です。一方で現行のシステムとは別の管理となるため、システム間で連携が新たな課題となる場合もあります。テレワーク対応には、見積作成後にそのまま電子申請を行えるといった、業務に申請・承認を紐づけられるZACのようなERPも選択肢のひとつです。
<業務に紐づいたZACの電子申請・承認のイメージ>
まとめ
言葉にすると簡単そうに聞こえるペーパーレス化ですが、社内には「現状のままでも業務は回っているから」「これまでの習慣を変えたくない」という声もあるでしょう。社内のペーパーレス化を成功させるには、そういった意見を持つ人に納得してもらう必要があります。
またテレワーク対応に乗じてペーパーレス化を推進する場合は、現行のシステムとの連携をよく検討する必要があります。今回紹介した3つの事例のように、現状の業務における課題を明確化し、「紙資料を減らすこと」だけでなく、社内の課題解決の手段としてペーパーレス化を推進していくことが、成功の秘訣といえるでしょう。