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最新経営トピック解説第4回 ~月次決算のポイント~

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2012/2/16公開

 企業において健全な経営を継続するためには、月次決算により会社の状況を正確に把握し、経営者が正しい経営判断を下せることが重要です。今回のコラムでは、月次決算のポイントと題して、月次決算の目的、月次決算を早期化するいくつかのポイントについて解説いたします。

目次

    月次決算の目的

    月次決算の目的として、一般的には

    1. 年度決算のための準備
    2. 予算の達成率を検証すること
    3. 決算着地見込を算出すること

    等が挙げられます。

     これらは年度決算書を作成する立場からの目的といえます。月次決算の本来の目的は、月次決算を利用する立場から言えば、「会社の利益の状況、財政状況を正確に把握し、経営者が今後の事業戦略を検討出来るようにすること」です。

    月次決算を行う際は、単なる数字の把握ではなく、事実を分析し対策を検討することが重要です。

    月次決算報告書の体系

     経営者が今後の事業戦略を検討できるように、計画比、前年同月比、着地見込等をとりまとめたハイライト情報を中心に、営業・製造・購買・人事などの業務単位の情報が関連を持ちながら、ブレイクダウンさせる形式で体系化していきます。

     ただし、会社の状況、業種等によって注目すべき指標、分析すべき数値は異なるため、月次報告書の体系を固定化することなく、毎月、改善、改良を続けることが重要となります。

    月次決算報告書の体系

    月次決算の早期化

     経営者が今後の事業戦略を検討するためには、月次決算情報を早く、正確に算出する必要があります。会社の規模等にもよりますが、翌月5営業日までに決算数字を算出することが理想的です。月次決算を早期化するポイントは以下の通りです。

    経理部門以外の業務を改善する

     月次決算は経理部がとりまとめますが、情報は「現場」から流れてきます。言い換えると、経理部は「水道の蛇口」であり、その管が細かったり、水が枯れていれば、情報は流れず、信頼ある月次決算を実施することができません。月次決算が遅い、または不正確になる原因の大半は、経理部門以外の現場の業務のやり方にあります。

    業務の負担を平準化する

     一般的に月次決算が遅い会社は、他部門が「経理は自分には関係ない」「経理は経理部がやるもの」という間違った認識をもっています。会社全体で、経理業務を実施するという意識が月次決算を「早く」「正確」に実施することにつながります。

    情報システムを活用する

     会計ソフトを有効活用することによって、月次決算がスムーズかつタイムリーに実施可能となります。会社独自の業務に合わせた会計システムを作成するのではなく、経理業務を会計システムにあわせることがポイントとなります。

    最後に

     情報システムの活用は、月次決算の早期化に大きく貢献しますが、システムの活用を経理業務のみならず、経理部門以外の業務範囲にも広げることで、さらに大きな経営メリットを得ることができます。月次決算遅延の原因の大半は、経理部門以外の現場の業務のやり方にあると申し上げましたが、業務システムを有効に活用することにより、各部門の業務の効率化、平準化につなげることができます。

     経理部門以外でシステム導入を検討される際には、会計システムとの連携が選定における重要なポイントです。業務データと会計データが連携することにより、二重入力の削減、データの早期集計など、月次決算に与えるメリットが大きくなります。

     組織の健全な成長のためにも、自社の経営ステージにふさわしいシステムを活用することが重要です。

    INDEX : 変化を掴む!最新経営トピックのポイント解説

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    久保 光雄

    この記事の筆者

    みらいコンサルティング株式会社 代表取締役 公認会計士

    久保 光雄

    中央大学卒業。日本国有鉄道、(株)海外投資コンサルティンググループ、海外駐在員を経て、78年公認会計士試験合格。中央青山PwCコンサルティング(株)代表取締役を経て、現在、みらいコンサルティンググループ代表、みらいコンサルティング(株)代表取締役。企業変革、再編・再生などの企業戦略コンサルタントとして、数多くの企業でコンサルティングに携わる。