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KPIマネジメントとは?具体的なKPIや設定手順を紹介

KPIマネジメントとは?具体的なKPIや設定手順を紹介
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2023/3/31公開

モノが溢れ、ビジネス環境が厳しくなっている昨今、企業の業績を上げるにはKPIマネジメントが必要と言われています。本ブログを運営する株式会社オロでも実際にKPIマネジメントを取り入れており、20年以上黒字を達成しています。

では、KPIマネジメントとは具体的に何をどのような手順で実施すればいいのでしょうか。本記事では、KPIマネジメントの基礎から実際の流れ、KPIの具体例を紹介します。これからKPIマネジメントを取り入れたいと考えているならぜひ参考にしてください。

目次

    KPIとは?

    KPIツリー

    KPIとは、最終目標に向けたプロセスごとの達成状況を把握するための数値指標であり、「Key Performance Indicator=重要業績評価指標」を略したものです。ゴール達成には複数の要素が関わるため、それぞれの要素に対しKPIを設定することが一般的です。

    具体的には、目標達成に必要なアクションの達成率や契約件数、制作の進捗率などをKPIに設定します。

    KGIとは?

    KGIとは、「Key Goal Indicator」の略称です。日本語では「重要目標達成指標」と呼ばれます。目指すべき最終目標の評価指標を指しており、売上高や利益率など、業務を遂行した結果が数値化されたものです。

    KGIを達成するため、業務上コントロール可能な粒度にブレイクダウンした評価指標がKPIとなります。

    KSF(CSF)とは?

    KSFとは「Key Success Factor」の略で、「重要成功要因」のことです。目標達成に対し、もっとも影響度の高い要因を指します。KFS(=Key Factor for Success)と呼ぶこともありますが、同じ意味です。もともとは経営用語として、事業における成功要因という意味合いで使われていました。最近では、幅広く目標達成に必要な要因の意味合いで使われています。

    KSFに似た言葉にCFSがあり、こちらは「Critical Success Factor」の略称です。日本語では「重要成功要因」という意味になり、KSFと同義です。

    KPIマネジメントとは?

    KPIマネジメントとは、KPIを活用し、KGI達成に向けたプロセスを管理するマネジメント手法のことです。KPIの設定だけでなく、運用するなかでKPIを見直したりプロセスを改善したりといった管理を行います。

    具体的には、まずKGIを達成するために重要なKPIの設定を行います。その際、各プロセスにおいて何を目指して活動すれば成長できるのかに加え、どの程度の目標を達成できれば成長できるのかを慎重に検討する必要があります。KPIの設定ができたら、プロセスの進捗を正しく把握し、計画通りに進んでいるかを確認します。もし想定外の数値が出た場合、なぜそうなったのか要因を分析しなければなりません。途中でKPIが適切でないと判断すれば、別のKPIに設定し直すことも必要です。PDCAを回してKGIを達成できるよう改善と実践を繰り返していきます。

    KPIマネジメントが必要な背景

    KPIマネジメントが必要と言われる背景には、以下のようなビジネス上の変化があります。

    データドリブン経営が注目されている

    人々の価値観が多様化・複雑化している今、顧客のニーズを満たすために、勘と経験に基づいた経営からデータドリブン経営へシフトする企業が増えています。データドリブン経営は客観的データに基づいた経営判断を行う手法なので、まずは数値データの適切な収集が欠かせません。KPIマネジメントも数値データを活用した手法であることから、データドリブン経営とは相性がいいと言えます。

    データドリブン経営について、詳しくはこちらを参照ください。

    データドリブン経営とは?基礎知識から成功事例までわかりやすく紹介

    経営戦略の重要度が増した

    高度経済成長期のような、モノ・サービスを作れば売れた時代が終わり、今は顧客ニーズを満たした、より質の高い製品・サービスだけが生き残る時代です。それに伴い、企業の競争も激化しています。また市場も成熟しているため、企業が拡大するためには高度な経営戦略が不可欠なのです。

    KPIマネジメントを行えば、短期また中長期の将来予測を行うことできます。目標予算と売上・利益見込みの比較に基づくギャップの有無・程度が確認可能なため、目標達成に必要な戦略をたて、早期に対策を実行できるようになります。

    生産性向上が求められている

    少子高齢化社会で人材不足が深刻化している今、限られたリソースで最大限のパフォーマンスを発揮できるように、生産性を向上させることが必要です。KPIマネジメントを行えば、生産性や業務効率が見える化され、どこを改善すればいいのかが明確になりやすいと言えます。

    KPIマネジメントでは、ヒト・モノ・カネといったリソースの活用状況もKPIとして設定するケースがあります。従業員自身がどのようにリソースを扱っているか定量的に追跡して明確にできるため、最適な配分につながっていくでしょう。また見える化された数値指標は従業員のモチベーションアップも期待できます。

    KPIマネジメントを行うメリット

    昨今のビジネス環境から必要性が高まっているKPIマネジメント。実践することで得られるメリットは、以下の通りです。

    意思決定のスピードアップができる

    意思決定には、まず現状把握が欠かせません。なぜなら、現在地がわからないことには目的地に向けてどう動くべきか判断できないからです。経営層に限らず現場マネージャー層も、意思決定を行うためには現状把握から始めなければなりません。

    KPIマネジメントを行って目標に対する現在の進捗を数値で把握できれば、経営と現場それぞれが必要なアクションを判断し、意思決定するスピードも向上します。

    安定した経営の継続につながる

    安定した経営には、より正確な売上や利益の予測、見込み管理が重要です。精度の高い予測ができていることで、コストを減らし利益を最大化できます。KPIによって目標に対する現時点の達成度合いを把握すれば、よりスピーディーかつ目標達成確度の高いアクションを取れるようになり、不安定な状態に陥るリスクを減らせるのです。

    日々KPIをモニタリングすることで、目的地までの差分が明確になり、より精度の高い予測が可能になるでしょう。さらに、データに基づいた経営判断を行えるため、勘や経験に頼らない意思決定が可能になり、経営やマネジメントの不安も払拭できます。

    すなわち、KPIを活用して現状把握することは安定した経営の継続につながるのです。

    従業員のモチベーションアップにつながる

    目指す方向性が明確になることで、日々の業務のモチベーションアップにもつながります。KPIを達成するためには、従業員それぞれが自分の強み・弱みと向き合わなければなりません。達成するために自分はどこを改善すればいいのかといった目標が明確になり、パフォーマンス向上のモチベーションになるのです。

    経営理念・ビジョンに共感しやすくなる

    KGIやKPIを示すことで、ビジョンの実現や目標達成への道筋が明確になります。従業員は企業の方針を理解しながら業務に取り組めるようになるでしょう。

    企業の方針に対する理解が深まることで、目指すべき方向性についても共感しやすくなると考えられます。共感できれば、従業員が一体感を持って業務に取り組めるため、結果として成果につながるでしょう。

    KPIの具体例

    KPIマネジメントにおいて大事なのは、KGIを意識した適切なKPI設定です。部門や業務内容によって設定すべきKPIも異なるため、経営・マネジメント・営業の3つの切り口で具体例を紹介します。

    経営のKPI

    • 経営計画の達成度合い
    • 人材計画の達成度合い
    • 営業利益率
    • 1時間当たり営業利益額
    • 収益率
    • 人件費の削減率
    • 有給休暇の取得率

    マネジメントのKPI

    • チームメンバーの目標達成率
    • メンバーとの面談実施率
    • メンバーの資格習得率
    • 育成プラン達成率
    • 平均残業時間

    営業のKPI

    • 新規顧客数
    • 個人売上額
    • 新規リード獲得数
    • 商談件数
    • 受注数
    • 架電数
    • 顧客の平均単価

    KPI設定からマネジメントまでの流れ

    ここから、KPIマネジメントを実践する場合の流れについて紹介します。今後KPIマネジメントを取り入れる場合の参考にしてください。

    ①KGIを設定し、現状とのギャップを把握する

    KPI設定の前に、まずは企業として達成すべきことを明確にしてからKGIを設定します。そのうえで、現状と目指すべきゴールの間にどのようなギャップがあるのかを把握します。このとき、ギャップは具体的かつ定量的なものとし、KPIを設定しやすいようにしておくことが大切です。

    なお、KGIはビジョンと異なるものである点に注意しましょう。ビジョンは企業としての目指すべき姿や実現したい未来であり、それを具体的な数値目標に落とし込んだものがKGIです。

    ②ギャップを埋めるためのKSFを探す

    ギャップを把握できたら、次はそのギャップを埋めるために何が効果的か考え、KSFを探します。KSFを明確にできれば、KGI達成のためにやるべき施策の軸が決まります。

    そのためには、KGI達成までのプロセスを可視化し、各プロセスが目標にどれだけ影響するかを判断しなければなりません。

    ③KSFを設定する

    KGI達成までのプロセスの中から、達成できたか否かがKGIに大きく影響する取り組みを見つけたら、それをKSFとして設定します。KSFも具体的な施策や取り組みであることが大切です。

    KSFは1つの場合もあれば複数ある場合もあります。複数出てきた場合は、本当にインパクトが大きいのか精査し、KGI達成に十分な影響があるものだけを選出します。

    ④KPIを設定する

    KGIに対してKSFを設定したら、次に行うのがKPI設定です。KFSを達成するために必要なアクションをKPIに設定することで、KGI達成につながっていきます。KPIは「正確な測定ができるか」「常にモニタリングできるか」など、マネジメント可能か検討しておくことが大切です。

    たとえばKGIが「売上額〇〇円達成」、KSFが「製品Aの販売数増」だった場合、KPIは「製品Aの月間商談数●●件」「製品Aの商談からの受注率」などが考えられるでしょう。

    ⑤KPIをモニタリングする

    KPIが設定できたら、業務を進めながらKPIのモニタリングを行いましょう。達成できたKPIがあれば施策を終えたり、他に手を打つべき箇所が見えたらリソースの再配分をしたりと、モニタリングした数値から随時意思決定を行なっていきます。KPIをモニタリングしつつ、PDCAを回して改善していく姿勢が大事です。また、KPI自体も状況にあわせて見直しを図りましょう。

    KGIの達成にはKPIのモニタリングが不可欠

    上記のマネジメントの流れにある通り、KPI設定とモニタリングはどちらもKGI達成に不可欠です。モニタリングできていなければ現状を正確に把握できず、軌道修正ができないままKGIに届かなかったという事態に陥りかねないからです。

    そのような事態を防ぐためには、KPIをこまめにモニタリングして現状把握し、次のアクションを考え続ける必要があります。定期的なモニタリングには、試算表やモニタリング用のテンプレートを作成するほか、現場メンバーからの定期報告会を設定することも有効です。

    システムでKPIマネジメントを効率化

    KPIを適時適切にモニタリングし、その進捗を追うためには、予実や部門別売上といったKPIに設定した数値データを即時に確認できる仕組みづくりが肝要です。データ収集や手計算による集計で時間がかかっていては、タイムリーなモニタリングができません。仮にKPI未達であったとしても気づくのに遅れてしまうでしょう。また、KPI未達の要因分析まで手が回らなくなってしまう恐れもあります。

    上述のようにKPIマネジメントは常にデータのモニタリングが必要なため、モニタリングの効率化も必須と言えます。そこでおすすめしたいのが、システムの活用です。社内の各部門の情報を一元管理し、レポート出力などで可視化できるようなシステムを利用すれば、効率よくKPIマネジメントを実践できるでしょう。

    株式会社オロのクラウドERP「ZAC」も、データ収集の手間を削減し、スピーディーなレポート出力ができます。さらに、より詳細なモニタリングや分析を行える、Amazon Web Servicesが提供するBIサービス「Amazon QuickSight」との連携オプションもあります。レポートをグラフで可視化したり、ダッシュボードを作成したりすることも可能です。詳しくはQuickSight連携オプションの概要をご覧ください。

    システムを用いた効率的なKPIマネジメントで、企業競争力向上に取り組んでみてはいかがでしょうか。

    Q
    KPIマネジメントは古い?
    A
    KPIの起源は、20世紀初頭にフランスの企業から生まれたと言われています。手法としては古くからあるものですが、大事なのは手法の新しさではなく自社に合っているかどうかです。KPIマネジメントが自社に合った手法かを見極めて取り入れましょう。詳しくはKPIマネジメントが必要な背景をご覧ください。
    Q
    KPIマネジメントの目的は?
    A
    意思決定のスピードアップや、安定した経営の継続、従業員のモチベーションアップ、経営理念への共感などを目的に行われることが一般的です。詳しくはKPIマネジメントを行うメリットをご覧ください。

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    矢野 由起

    この記事の筆者

    ライター

    矢野 由起

    製造業のエンジニアとして9年半勤めた経験を活かし、現在はフリーランスのライターとして活動中。職場の生産性や働き方改革、クラウドツール活用、複業などに興味があり、人事領域に関する記事なども手掛けている。

    清宮 理慎

    この記事の監修者

    株式会社オロ 取締役

    清宮 理慎

    2010年、株式会社オロに入社。ZAC導入支援グループのグループ長、開発グループのグループ長を担当した後、2022年にクラウドソリューション事業部の事業部長に就任。「ZAC」を用いた管理会計により事業部の運営を行っている。著書に「ナレッジワーカー・マネジメント 業績も人もついてくる数字で語るマネジメント術」(プレジデント社)がある。