案件管理表はExcelで大丈夫?難しければ案件管理システムの導入を
2022/1/28公開2024/3/25更新
案件管理表は、営業活動で得られた情報を蓄積し、次のアクションにつなげるために役立つ大切なツールです。一方で、Excelによる案件管理表の運用に悩みを抱えている企業も多いのではないでしょうか。そこで今回は、案件管理表をExcelで作成する場合のメリット・デメリット、案件管理表を作成する場合に必要な項目を詳しくご紹介します。
また、Excelでのデメリットを克服できる案件管理システムについてもあわせてご紹介します。
目次
案件管理とは
案件管理とは、取引先からの問い合わせや受注、商談結果などの各種進捗を見える化し、企業の営業活動を円滑にするための管理方法です。社内で常に最新の情報を共有することで、これまで属人的だった営業活動を客観的に把握・分析できるようになります。 案件管理では迅速な情報共有が求められるため、案件管理システムを導入している企業も多く見られます。
案件管理について詳しくは、こちらの記事もご覧ください。
ここからは、さらにExcelと案件管理について解説していきます。「案件管理の脱Excelを実現したい」「とりあえず脱Excelについてまとまった資料がほしい」という方は、こちらからExcelに依存した業務管理からの脱却ガイドをダウンロードください。
案件管理表の作成
案件管理表とは、社内で案件管理を行う際に作成する一覧表のことです。Excelなどの表計算ソフトを利用し、各案件の進捗や売上金額などをひと目で把握できるよう作成します。
案件の進捗は常に変化するため、状況や数値の変化に応じていつでも書き換えられ、誰もが閲覧できるものを使う必要があります。そこで一般的に用いられるのがExcelです。
ここでは、Excelを使った案件管理表の作成方法について一例を紹介します。
Excelによる案件管理表の作成例
Excelを使って案件管理表を作成する場合、以下の手順で進めていくとスムーズです。これから案件管理表を作成する方や、今使っている案件管理表に不便さを感じている方はぜひ参考にしてください。
①管理する項目を決める
まずは、どのような項目を管理するかを決めなければなりません。事業の特性によって管理項目は変わるため、自社に合った項目を考える必要があります。たとえば、案件を受注して納品するといった業務の営業部署であれば、次のような項目で管理されることが一般的です。
- 案件名
- 営業所(複数ある場合)
- 営業担当者
- 営業ルート
- 顧客名
- 顧客部署
- 受注見込度
- 受注金額
- 受注日時
- 案件の状態(製品説明段階、説得段階、見積り段階など)
- 備考(案件管理に必要な情報を記載)
②フォーマットの作成
続いて、管理すべき項目を織り込んだフォーマットを作成します。このとき、案件ごとに各項目を管理できるよう、各列に案件を、各行に管理項目を記入できる形にすることがおすすめです。Web上の無料テンプレートを活用するのもいいでしょう。実際の案件管理表は、以下の図のようなイメージです。
③入力ルールの設定
フォーマットを作成したら、運用していく際の入力ルールを決めていきます。各人がバラバラな形式で入力してしまっては、せっかく管理表を作成しても、見づらいものになってしまいかねません。具体的には、以下のようなルールを決めておくことで、スムーズな案件管理につながるでしょう。
- 各項目にはどの数値を入力するか
- 誰が入力するか
- どのタイミングで入力するか
入力ルールは、プルダウンの選択肢を用意したり入力規則を設定したりして、誤った内容を書き込めないようにするのもおすすめです。ルールは、誰もが常に確認できる場所に明記しておきましょう。
案件管理表をつくる目的
案件管理表を作成する目的は次のようなものが考えられます。
チームでの案件を円滑に行うため
案件管理表を作成し、社内で共有することで、営業担当者だけでなくマネジメント層も進捗を確認できるようになります。これにより、進捗が滞っている案件に対して早期に手を打ったり、チームでサポート体制を組んだりといった対応が可能です。
売上を予測するため
企業では受注や売上を予想しますが、案件管理表を作成することで事業全体の予測を立てやすくなります。案件管理表の各案件に毎月の実績を記載しておけば、年初に作成した事業計画とのズレも可視化できます。
案件に関する情報は営業担当者だけが用いるわけではありません。例えば、プロジェクトマネジメントの責任者は、案件情報をもとに、適切な売上が見込めるかを確認します。毎月どの程度受注があるか、現在どの案件が交渉中なのかなどを見える化することで、より精緻な予測が可能になるでしょう。
案件ごとの改善点を把握するため
案件によっては失注やクレームが入ることもあります。案件管理表を作成することで、営業活動における改善点をチーム全体で記録・共有することができます。 また、営業活動を通じて発見された課題は、営業活動そのものではなく、商品やサービスに関わるものもあります。その場合は、企画、開発部門など、営業以外の部門へのフィードバック内容を記録する資料としても役立ちます。
案件管理表をExcelで作成するメリット
案件管理表をExcelで作成する場合、次のようなメリットがあります。
自由度が高い
Excelであれば多くの社員が使いなれているため、ある程度自由にセルやタブを追加し、好きなように表を作成できます。毎月の売上など数値化できる指標はグラフ化することで簡単に成果を視覚化できます。
コストを抑えられる
ExcelはMicrosoftOfficeが付属しているPCなら無料で、新たに購入するとしても安価なライセンス費用だけで導入が可能です。そのため、一度PCに導入してしまえば、ランニングコストを抑えながら長期間使い続けられます。
テンプレートを無料で入手できる
Excelには多くのテンプレートがWeb上に無料で公開されています。案件管理表のテンプレートは、「案件管理表」「営業管理表」などのキーワードで検索すればすぐに見つけられます。チームの実態に合わせて、ダウンロードしたファイルを使いやすいように加工しましょう。
案件管理表をExcelで作成するデメリット
案件管理表をExcelで作成するデメリットは次の通りです。
リアルタイムでの情報共有が難しい
Excelでは複数人での同時編集ができません。1人が案件管理表を操作している場合、他のメンバーは入力された情報をリアルタイムで把握することが難しくなります。そのため、更新した情報をメンバーが確認するまでにタイムラグが生じてしまうのです。
また、Excelで作成した案件管理表を共有する際は、社員がアクセスできる会社のドライブなどに保管する必要があります。ファイルが多くなればそれだけストレージを用意したり、保管場所を複数用意する必要が生じるため、管理コストの増加も考えられます。
メンテナンスや復元が難しい
Excelで案件管理表を作成すると、特定の人しかメンテナンスや復元が行えないというデメリットも生じます。Excelでは計算のために関数を使うことが多いため、構造を理解している人しか表の更新や不具合の調整ができないケースがあるのです。特に、Excelのシートが何枚にもつながる複雑な構造をしている場合は要注意です。別途マニュアルを用意するなどある程度対策は可能ですが、やはり構造を理解するには時間がかかります。
管理するExcelの数が増える
Excelで見積や請求書作成、発注・仕入まで管理している場合、Excel間の二重入力や転記が必要になり、作業時間が増えます。さらに、Excelは入力ミスを防止する仕組みがないため、登録内容の正しさを担保できないデータが増えることにもつながります。
Excelに限界を感じたら案件管理システムの導入を
Excelでは簡単に案件管理表を作成できますが、情報のタイムラグやメンテナンスの手間など、デメリットも気になるところです。そこで、本格的に案件管理を行いたいなら、案件管理システムの導入をおすすめします。案件管理システムであれば、Excelのデメリットを感じずにチームで情報共有できます。
ここからは、案件管理システムの特徴、メリットを紹介します。
案件ごとに利益を自動計算できる
案件管理システムであれば、面倒な案件ごとの原価や仕掛中の損益をリアルタイムで計算し、表示してくれます。個別の案件ごとに損益が一覧化されるため、利益の変動要因を詳細に分析可能になります。
タイムリーで正確な情報共有が可能
Excelでの案件管理は同時編集ができない点が大きな課題でした。チームでの情報共有をスムーズに行うためには、タイムラグのない情報共有機能が必須です。 案件管理システムであれば、複数人が同時にログインし、同時に編集できるため、誰かが編集中に待機するといった無駄な時間を省けます。また、Excelデータにありがちなファイルの破損も心配する必要がありません。
1つのシステムで複数の機能を使える
Excelでは目的ごとにファイルやシートを増やさなければならず、自然と管理するデータが増えてしまうという問題がありました。 一方で、複数の機能を備えたシステムであれば、案件管理以外にもさまざまな業務を1つのシステムで行えるため、煩雑なファイル管理に悩まされることもなくなります。 例えば、クリエイティブ業やIT業といったプロジェクト型ビジネスに特化したクラウドERP「ZAC」では、案件管理のほかにも業務管理、工数管理などが行えます。
案件のクローズまでにかかるリソースを把握できる
案件管理システムは受注前の案件から予定作業時間を管理できます。案件の始まりから終わりまでに必要なリソースを客観的に把握できれば、社内のリソースをより効率的に配分できます。さらに、実際に要したリソースを記録することで、次に同様の案件が発生した際に、より精緻なリソース配分を行えるようになります。その結果、客観的なプロジェクトマネジメントの手助けとなるでしょう。
まとめ
案件管理表は簡易的なものであればExcelでも作成し、運用できます。一方で、Excelは情報共有のタイムラグやメンテナンスの難しさなど、現場で運用すると不便な点も気になるところです。管理する案件数が増加した場合、Excelのみの管理では難しくなるケースも考えられます。案件管理システムを導入してチームの情報共有をスムーズに行える仕組みの構築を検討してみてはいかがでしょうか。