経営管理とは?言葉の定義から具体例まで紹介
2021/7/16公開
企業を経営していて、「事業の目標未達が続いている」「社内のリソースをうまく活用できていない」「お金の流れが見えづらい」と悩むことも多いのではないでしょうか。その要因としては、経営管理が適切にできていない可能性が考えられます。
そもそも経営管理では何を意識し、どのような業務を行うべきなのでしょうか。本記事では、経営管理の定義や目的、具体的な業務について解説します。あわせて、効率的かつ正確に経営管理を行うためのシステムも紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
経営管理とは
経営管理とは、事業活動において企業が立てた目標を達成するために、社内リソースの調整やモニタリング、総括を行うことです。業務としては、内部統制の強化や、組織再編、経営分析といったものがあります。
例えば、企業規模の拡大に伴って複雑化した内部業務を、いかに効率化するか考えるのも経営管理でやるべきことのひとつです。また、業務効率化のためのグループ再編成を行う場合もあります。
このように、人事管理・労務管理・生産管理・販売管理・財務管理といった、人・物・お金の管理を行うことが経営管理だと言えます。
ここからは、さらに詳しく経営管理について解説していきます。「とりあえず経営管理の具体例が知りたい」という方は、こちらから8ページでわかるナレッジワーカー・マネジメントをダウンロードなさってください。
経営管理の基本の4つの機能
経営学の父とも言われる経営思想家ピーター・ドラッカーは、経営管理の基本機能として以下の4つを挙げています。
- マーケティング機能
- イノベーション機能
- 経営管理的機能
- 利益の機能
それぞれの機能は以下の通りです。
マーケティング機能
マーケティングとは、顧客のニーズに基づいた商品やサービスを開発し、自然と売れるような仕組みを作ることです。企業は、経営ビジョンや事業戦略に基づいたマーケティング戦略を策定しなければなりません。
イノベーション機能
イノベーションは、企業が成長し続けるために不可欠なものです。新技術の開発に限らず、顧客にとっての新しい満足を生み出していくことが重要です。
経営管理的機能
多くの人が集まって仕事をする企業において、生産性を上げるための機能を経営管理的機能と言います。具体的には、管理会計、組織のビジョンの明確化、KPIの設定といった業務があります。
利益の機能
事業の成果を測定するための機能のことです。企業がコントロールできない「利益」は、マーケティング機能・イノベーション機能・経営管理的機能の3つが適正に働いたかどうかを測定し、フィードバックするために必要なものと言えます。
経営管理の目的と目指すべき姿
経営管理の目的は、企業が持つリソースで最大限のパフォーマンスを出して目標達成するための仕組みを作ることです。そのために、企業のミッションやビジョンを社内に周知して従業員のベクトルを揃え、各人のモチベーションを上げる必要があります。
また、社内のリソースを適宜調整するためにも、事業の流れや経営活動の予実を見える化して各部門のリソースを把握しておくことが重要です。その結果、従業員全員が同じ目標に向かって行動し、目標を達成できる企業となることが理想です。
経営管理の種類と具体例
経営管理は、業務範囲によって大きく5種類に分類されます。
- 生産管理
- 販売管理
- 労務管理
- 人事管理
- 財務管理
ここでは、それぞれが担う役割と具体的な業務内容を紹介します。
1. 生産管理
企業活動を続けていく上で欠かせない生産活動を効率化するのが生産管理の役割です。経営計画や販売計画に基づいて、期限までに効率よく生産できるよう管理します。
需要と供給のバランスを調整するのも生産管理の仕事です。在庫を切らしたり、逆に在庫を過剰に抱えてしまったりしないよう注意しなければなりません。具体的には以下のような業務があります。
- 生産計画の作成
- 調達・購買計画の作成
- 材料の調達
- 生産場所・設備の確保
- 資材の供給
- 品質管理
- 工程管理
- 作業員の配置
2. 販売管理
企業活動における「お金」と「物」または「サービス」の流れを管理するのが販売管理です。仕入れ状況や在庫の管理といった購買管理も、広義では販売管理の一環です。
適切な販売管理を行うことで、損益状況や売上を把握でき、利益向上策の提案が可能になります。また、販売活動に関わるさまざまな部署間の情報を管理することで、発注や納品のミス防止につながります。販売管理の業務は以下の通りです。
- 見積書の作成
- 受注管理
- 商品の出荷
- 請求書の作成
- 入金確認
- 仕入先への発注
- 仕入れ代金支払い
- 在庫棚卸し
3. 労務管理
労働条件や福利厚生など、従業員の働く環境を管理するのが労務管理です。労働基準法や最低賃金法などの労働法に基づいて管理を行います。
労務管理を徹底することは企業のコンプライアンスにつながります。リスクマネジメントだけでなく、従業員満足度にも大きく関わるものです。具体的には以下のような業務を行います。
- 労働契約の締結
- 就業規則の整備
- 社会保険・雇用保険の手続き
- 勤怠管理
- 給与計算
- 安全衛生管理
4. 人事管理
企業経営に必要な人材を確保し、目的達成に効果的な人材配置と育成、情報統制までを担うのが人事管理です。採用活動から配置、人材育成、評価といった、従業員に関すること全般を管理します。広義では、労務管理業務も人事管理に含める場合があります。
適正な人事管理によって、従業員のモチベーション向上や生産性向上を実現できます。具体的な業務は以下の通りです。
- 従業員の採用
- 人材配置・異動
- 人事考課
- 就業時間管理
- 賃金管理
- 社内教育の提供
- 退職の手続き
5. 財務管理
企業経営に必要な資金や資産の管理を行うのが財務管理です。事業活動に必要な資金の調達から資産の運用方法までを考え、実行していきます。資金・資産の管理を行うことで、コストカットの必要性や投資に回せる金額を判断できるようになります。
会社を立ち上げたばかりのときは、財務管理が十分でないと黒字倒産のリスクがあるため、特に注意が必要です。具体的には以下のような業務があります。
- 資金調達
- 資金運用
- 決算書の作成
- 財務分析
- 予実管理
- キャッシュフロー管理
- 資金繰り表作成
経営管理を効率的に行うためのシステム活用
経営管理を行うためには、社内のさまざまな情報を収集・管理することが必要です。しかし企業の規模が大きくなってくると、全てを手動で管理するのは難しくなります。そこで、経営管理業務を効率的に行うために、以下のようなシステムの活用をおすすめします。
経営管理の元となるデータを集める「ERP」
企業のリソース全般を一元管理し、有効活用するためのシステムとしてERP(=Enterprise Resource Planning)があります。ERPは販売管理・購買管理・人事・給与管理・財務会計・生産管理など、企業の基幹業務をサポートするシステムであることが一般的です。
ERPを使えば、経営管理に必要な社内のデータを一括で収集できます。データを一元管理することで、常にリアルタイムなデータを確認できるため、スピーディーな経営判断が可能となります。
経営指標を見える化する「BIツール」
膨大なデータから経営に役立つ情報のみを引き出して分析・レポーティングできるのが、BI(ビジネスインテリジェンス)ツールです。Excelだと時間のかかるデータ集計も、BIツールを使えば短時間で行えるため、業務効率化につながります。
集計・分析するだけでなく、データをグラフ化するなど、わかりやすくビジュアライズできる点もメリットです。BIツールが利用するデータは、ERPやその他のシステムから取り込まなければならないため、両方のシステムを導入することで効率化が実現できます。本ブログを運営している株式会社オロの「ZAC」のような、BIツールを搭載したERPもおすすめです。
まとめ
既存のリソースを活用してパフォーマンスを最大化し、企業の目標を達成するために、経営管理という業務が存在します。経営管理はマーケティング機能・イノベーション機能・経営管理的機能・利益の機能という4つの機能を持ち、その管理内容は大きく5種類(生産管理・販売管理・労務管理・人事管理・財務管理)に分けられます。
非常に多くの情報を扱う上、経営判断にも影響を及ぼす経営管理において、正確さとスピーディーさは重要な要素です。正確かつスピード感のある経営管理を実現するためには、システムの活用が欠かせません。企業のリソースに関する情報を一元管理できるERPと、経営指標の分析・レポーティングを短時間で行えるBIツールを併用することで、効率的な経営管理が実現できます。
もし経営管理やそのための情報管理に課題を感じているなら、システムやITツールを取り入れた経営管理に取り組んでみてはいかがでしょうか。