バックオフィス業務とは?重要性や効率化のメリットを解説
2021/1/08公開2023/12/25更新
社内手続きや決算業務などを通して、企業活動を内側から支えるバックオフィス。企業に属していれば「関わったことがない」という人はまずいないでしょう。
今回はこのバックオフィスをクローズアップし、具体的な職種の紹介から、業務効率化を行うメリット、そのためのツールやサービスまでわかりやすく解説します。効率化に成功した実例も紹介しますので、自社に取り入れる際の参考にしてみてください。
目次
バックオフィス業務とは?
バックオフィスは「後方支援」という意味合いを持ち、直接利益を生まない業務のことを指します。一方で、クライアントや見込み顧客への営業・販売行為を行う営業担当者、問い合わせ対応を行うカスタマーサポートといった、直接利益を生み出す業務がフロントオフィスと呼ばれています。
バックオフィスはフロントオフィスの業務をサポートしたり、企業活動を続けるために必要な手続きを行ったりと、会社の運営に関わる非常に重要な役割を担っています。
具体的な職種例
バックオフィスに該当する主な職種とその業務内容は、以下の通りです。
経理 | 支払い・請求といった出納業務や記帳、決算書作成のための集計など企業のお金とお金の流れを管理する業務。 |
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財務 | 予算管理や資産運用を行う。会社によっては、経理が兼任している場合もある。 |
法務 | 契約書の作成や確認、社内のコンプライアンスへの取り組みなど、企業の法律に関わる業務。 |
人事・労務 | 社員の採用や労働の管理に関わる業務を行う。退職、部署異動、転勤の手続きなども担当。 |
総務 | オフィスの備品管理や社内規定の整備などの業務。会社によって、経理や事務が兼任している場合もある。 |
一般事務 | データ入力やファイリング、来客・電話対応などの業務。営業担当者の補佐を行う、営業事務もある。 |
ここからは、さらに詳しくバックオフィス業務についてと課題、その解消方法について解説していきます。「バックオフィス業務を効率化する手順を知りたい」「効率化ツールの選び方をざっくり知りたい」という方は、こちらからバックオフィス業務の効率化についてまとめた資料をダウンロードなさってください。
バックオフィス業務が重要視される理由
企業活動に必要不可欠といわれているのは「生産機能」「販売機能」「事務・会計機能」の3つです。バックオフィス業務は「事務・会計機能」に該当します。
製品・サービスの生産や、営業・販売行為はしないものの、「支払い・請求管理」「保険加入や税務の手続き」「決算業務」など、企業活動を行う上で欠かせない業務を担うのがバックオフィスです。つまりバックオフィス業務を担う人がいない場合、企業活動を行うことさえ難しいのです。
バックオフィス業務における課題
企業にとって欠かせないバックオフィスですが、スムーズな業務進行を妨げる課題も存在さいます。ここでは、主に3つの課題を紹介します。
アナログな業務が多い
社内のさまざまな手続きに関する書類や、請求書などの経理書類を紙で管理しているため、DXが進みにくいという課題です。紙ベースの管理を行っている場合、書類をファイリングする手間や必要な書類を探すための手間がかかり、ムダな作業が発生してしまう可能性があります。テレワークを希望していても、アナログな業務への対応のために出社を余儀なくされているバックオフィスの従業員は少なくないでしょう。
さらに、2024年1月からは電子帳簿保存法により、取引先と電子データやり取りした帳票は電子保存することが義務となります。このことからも、アナログ管理から脱却して、バックオフィスの業務を効率化することが求められています。電子帳簿保存法に関して、くわしくはこちらの記事をご覧ください。
人手不足に陥りやすい
直接利益を生み出す部門でないバックオフィスに対しては、人件費を極力割かないよう、慎重な人材採用が行なわれがちです。そもそも、専門的な知識を持つ人材が少なく採用できないケースもあります。期末や採用シーズンなど、特定の時期に業務が集中しやすいのもバックオフィスの特徴ですが、時期に合わせて人員を増減することは現実的ではありません。そのため、毎年人員不足に頭を抱えつつも解消できていない企業は多いでしょう。
業務が属人化しやすい
経理や財務、法務といったバックオフィスの業務は、専門知識が必要であることから、業務が属人化しやすいことも課題のひとつです。属人化してしまうと、特定の従業員に負担が偏ったり、担当者不在によって業務が止まったりする可能性があります。属人化してしまった業務は適切なフローや工数が不透明になり、効率化もなかなか進みません。
バックオフィス業務を効率化する5つのメリット
企業にとって重要なバックオフィス業務。ここからはツールやサービスを活用し、業務を効率化することで得られるメリットを解説します。上記に挙げた課題の解決にもつながるでしょう。
コストの削減
経理業務の自動化や電子化を行うことで、バックオフィス業務に携わる人件費を削減できます。企業として力を入れたい部署への採用を進めることも可能でしょう。紙媒体をメインにバックオフィス業務を行っている場合には、システムやサービス導入でペーパーレス化を実現できれば、業務を効率化できるだけでなく、印刷代や保管費用といったコストの削減にもつながります。
ヒューマンエラーの防止ができる
バックオフィス業務では、データの集計や二重入力、転記、目視チェックといったルーティンワークが多くなりがちです。人間である以上、転記ミスにより金額が合わないといったヒューマンエラーが起こる可能性は必ずあります。決算期など特に忙しい時期にその危険性はより高くなるでしょう。これらの作業をシステムで行う場合、ヒューマンエラーを防止できるというメリットがあります。さらに10件でも1000件でも同じように処理を行え、正確性も担保されています。
業務の属人化からの脱却
デジタルツールをうまく活用することで、バックオフィス業務にありがちな「この作業はあの人にしかできない」といった業務の属人化から脱却できるでしょう。例えば、複雑な関数を用いて集計作業をデジタルツールで自動集計するといった効率化は、ヒューマンエラーの防止・計算スピード向上といったメリットが得られます。業務を標準化することは、担当者の退職時にも引き続きがスムーズになるでしょう。
従業員のモチベーションアップ
上述のようなシステム化を進めたり、必要に応じて外部委託などのサービスを活用したりすることで、残業時間の削減、ひいては従業員のモチベーションアップが期待できます。また、業務効率化が実現することで、マネジメントやガバナンスの強化といった、より付加価値の高い仕事に専念できます。
BCP対策・強化にも繋がる
自然災害や感染症流行、テロの発生など未曾有の事態においても、企業は経済活動を止めるわけにはいけません。紙帳票の電子化、バックオフィス業務をクラウド化する・外部委託するといった業務効率化・改善によって、ひとつの拠点でアクシデントがあった場合にも対応できるようになるでしょう。バックオフィス業務は、BCPの観点からも最適化が求められています。
バックオフィス業務を効率化するために検討したいツールやサービス
バックオフィス業務はルーティンワークが多く、業種を問わず各社で共通した業務内容が多い傾向にあります。それゆえ、非常に多くの業務効率化ツール・サービスが展開されています。紙帳票を主に業務管理を行っている場合には、クラウドサービスを活用することでペーパーレス化を同時に進めることが可能です。
情報系システム
事務処理の効率化のために活用したいのは、情報系システムです。コミュニケーションを円滑にするビジネスチャットツールやスケジュール管理ツール、社外でも書類の提出・確認が可能になるオンラインストレージ、顧客や取引先の情報を瞬時に呼び出せる顧客管理システムなどがあります。
基幹システム
受発注業務、会計業務などの基幹業務の効率化には、自社の業務に合った基幹システムが鍵を握ります。帳票の自動作成機能や企業と税理士の会計データを共有する機能を持つ会計システム、請求日や支払日の自動算出やアラート機能を備えた受発注管理システムなどがあります。
ERP
上述した「基幹システム」のひとつで、基幹業務や情報系システムの一部の情報を一元的にかつリアルタイムでまとめて管理できるシステムです。基幹業務の一元化により「案件管理と勤怠管理がひとつのシステムで可能になる」「請求書発行のための転記や二重入力が不要になる」といったメリットが得られ、効率的な業務管理が行えます。
情報系システム、基幹システム、ERPの特徴や違いについては下記の関連記事をご覧ください。
社内向けチャットボット
社内問い合わせの効率化が期待できるツールです。問い合わせに対して自動で応答するチャットボットを導入し、よくある質問を登録しておくことで回答の迅速化や無人対応の実現、毎回同じような質問に返答するストレスを軽減できます。
RPA
紙からパソコン上への転記やデータの集計作業といった、定型かつ繰り返し行う作業をロボットに置き換え、業務効率化を図るものです。パソコン上で行う作業全般に適用できるため、伝票の仕分けや転記、交通費精算、労働時間の超過者チェックといったバックオフィスのルーティン業務に活用できます。
アウトソーシング
バックオフィス業務においては、経理業務や会計業務そのものや一部を外部委託するサービスが一般的です。バックオフィスの固定費を削減できるほか、全社的なテレワーク移行も容易になるでしょう。一番のメリットは専門性の高いサービスを受けることができ、業務のブラックボックス化を防げる点です。
バックオフィス業務の効率化事例
ここからは、バックオフィス業務を効率化するツールのうち、ERPを利用することで効率化に成功した事例を紹介します。どちらも、本ブログを運営する株式会社オロのクラウド型ERP『ZAC』を導入した事例です。ツールの導入を検討している場合の参考にしてください。
AZAPAエンジニアリング株式会社様
自動車分野で新技術・先端技術の開発と先駆的なソリューションを提供するAZAPAエンジニアリング株式会社様。勤怠管理や売上・請求管理、経費精算だけでなく、年次有給休暇(年休)や経費管理、原価管理なども一括で管理すべく、ZACを導入されました。
導入後は、これまで分散されていた業務管理が一元化され、二重入力や転記などの業務のムダがなくなりました。その結果、経理が月次の締め処理作業にかける時間を約2日短縮することに成功。また、年休管理も手作業からシステム化し、従業員が各自で確認できるようになったため、労務担当の業務負担も大きく軽減されました。さらに、システムによって勤怠入力や経費申請の期限が明確になることで、マネージャーや従業員の締日に対する意識改善にもつながったといいます。
株式会社ペンシル様
企業のWebサイトを分析し、売上・成約率向上のためのコンサルティングを提供する株式会社ペンシル様。事業規模が拡大していく一方で、請求情報や売上実績といった情報の集約に手間がかかったり、正しい情報が提示できなかったりと、業務管理に課題を抱えていたといいます。
そこで、業務効率化とともに経営判断の精度を向上させるべく、プロジェクト型ビジネスに特化したシステムであるZACを導入しました。ZACでは、プロジェクトの始まりから終わりまでを一元的に管理できます。そのため、バックオフィス側がシステム上でさまざまな期日を管理できるようになり、事務処理漏れの防止が可能になったそうです。経営企画部門でも、必要な経営データをZACから簡単にアウトプットでき、従業員一人ひとりの数字に対する意識も向上するという良い効果が見られるようになりました。
まとめ
営業部門や製造部門などの他部門のサポートをメインに行い、企業活動においても必要不可欠なバックオフィス。業務改善によって、コストの削減やヒューマンエラーの防止が実現し、ひいては従業員のモチベーションアップに繋がっていきます。他部門に比べ専用の業務効率化ツール・サービスが充実しているため、着手しやすい点も魅力です。 「今はまだ業務が回っているから大丈夫」という企業でも、「社員数の増加など、会社の成長に耐えうるオペレーションであるのか」「多様な働き方に対応できるか」といったことを定期的に見直し、「会社のこれから」に対応できる体制づくりが重要になります。必要なツール・サービスをうまく活用した、未来志向のバックオフィスを作ることで、全社的な生産性向上が期待できるでしょう。
また、バックオフィスはKPI設定が難しい部門ではあるものの、具体的な数値で目標設定を行うことによって業務効率化はさらに進むはずです。下記からダウンロードできる「バックオフィスのKPI38選」を参考にして、目標設定に取り組んでみてはいかがでしょうか。