最新経営トピック解説第4回 ~月次決算のポイント~
月次決算の目的
月次決算の目的として、一般的には
- 年度決算のための準備
- 予算の達成率を検証すること
- 決算着地見込を算出すること
等が挙げられます。
これらは年度決算書を作成する立場からの目的といえます。月次決算の本来の目的は、月次決算を利用する立場から言えば、「会社の利益の状況、財政状況を正確に把握し、経営者が今後の事業戦略を検討出来るようにすること」です。
月次決算を行う際は、単なる数字の把握ではなく、事実を分析し対策を検討することが重要です。
月次決算報告書の体系
経営者が今後の事業戦略を検討できるように、計画比、前年同月比、着地見込等をとりまとめたハイライト情報を中心に、営業・製造・購買・人事などの業務単位の情報が関連を持ちながら、ブレイクダウンさせる形式で体系化していきます。
ただし、会社の状況、業種等によって注目すべき指標、分析すべき数値は異なるため、月次報告書の体系を固定化することなく、毎月、改善、改良を続けることが重要となります。
月次決算の早期化
経営者が今後の事業戦略を検討するためには、月次決算情報を早く、正確に算出する必要があります。会社の規模等にもよりますが、翌月5営業日までに決算数字を算出することが理想的です。月次決算を早期化するポイントは以下の通りです。
経理部門以外の業務を改善する
月次決算は経理部がとりまとめますが、情報は「現場」から流れてきます。言い換えると、経理部は「水道の蛇口」であり、その管が細かったり、水が枯れていれば、情報は流れず、信頼ある月次決算を実施することができません。月次決算が遅い、または不正確になる原因の大半は、経理部門以外の現場の業務のやり方にあります。
業務の負担を平準化する
一般的に月次決算が遅い会社は、他部門が「経理は自分には関係ない」「経理は経理部がやるもの」という間違った認識をもっています。会社全体で、経理業務を実施するという意識が月次決算を「早く」「正確」に実施することにつながります。
情報システムを活用する
会計ソフトを有効活用することによって、月次決算がスムーズかつタイムリーに実施可能となります。会社独自の業務に合わせた会計システムを作成するのではなく、経理業務を会計システムにあわせることがポイントとなります。
最後に
情報システムの活用は、月次決算の早期化に大きく貢献しますが、システムの活用を経理業務のみならず、経理部門以外の業務範囲にも広げることで、さらに大きな経営メリットを得ることができます。月次決算遅延の原因の大半は、経理部門以外の現場の業務のやり方にあると申し上げましたが、業務システムを有効に活用することにより、各部門の業務の効率化、平準化につなげることができます。
経理部門以外でシステム導入を検討される際には、会計システムとの連携が選定における重要なポイントです。業務データと会計データが連携することにより、二重入力の削減、データの早期集計など、月次決算に与えるメリットが大きくなります。
組織の健全な成長のためにも、自社の経営ステージにふさわしいシステムを活用することが重要です。
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