業績管理の基礎と実践。マネージャー層に浸透させたいポイント
業績管理とは
業績管理とは、売上高や利益など、企業経営の成果を把握してさらに向上させるための取り組みのことです。業績管理指標の設定も行います。たとえば、月次決算や四半期ごとの決算を行うことも企業の成果を知る取り組みであり、業績管理の一環と言えます。
業績管理によって、企業の年間の目標予算計画に向けた進捗や年度の決算の着地見込などを把握できるため、もし目標予算を下回っていた場合には即座に対策を立てられる点がメリットです。そのため業績管理では、どれだけタイムリーかつ正確に情報を把握できるかが重要になります。
業績管理において大事なKGIとKPI
業績管理を行う際には、企業の経営の成果を測る指標が欠かせません。それがKGI(Key Goal Indicator)とKPI(Key Performance Indicator)です。
KGIは最終目標達成指標のことであり、企業が目指す目標を数値化したものです。定性的な目標を掲げていたとしても、それを達成できたか測るために定量化しておきます。KPIは重要業績評価指標のことであり、目標に対して一定地点で到達すべき中間目標です。途中経過が順調かどうかを確認するために使います。
つまり、業績管理ではKGIに向けてKPIを設定し、随時KPIをチェックすることが大切なのです。もし、ある地点でKPIが未達であれば、その後のKPIを見直すことも必要になります。KPIもKGIも、測定可能な数値にすることがポイントです。
業績管理を行う目的
業績管理は、主に以下の目的のために行います。
- 業績の推移を定点観測し、何か問題が発生した際に早期に改善をするため
- 現状と目標値を比較して対策を検討するため
- 従業員の目標達成への意識を高めるため
業績管理を正しく行うためには、現在の業績と通期の着地見込をタイムリーに把握しておくことが必要です。把握したうえで、もし達成すべき目標と乖離するようであるなら、すぐに対策を立てなければなりません。
現時点での業績と通期の着地見込が可視化されることで、対策を事前に立てることができるため、目標を達成できる可能性が高まります。
業績管理で押さえておくべきポイント
業績管理を実施するうえでは、以下の3つのポイントを押さえておくことが大切です。
- 速やかな月次決算の実施
- 重要視する評価指標を明確にする
- 適切な評価指標の決定
それぞれについて、詳しく解説していきます。
速やかな月次決算の実施
業績管理を行うには、「会社においてどのような収益が得られ、どんな費用がかかり、最終的にいくらの利益(または赤字)が出たのか」をタイムリーに可視化しなければなりません。そのためには、毎月の財務状況を明確にする月次決算の早期化が重要となります。
重要視する評価指標を明確にする
KPIの達成のためには、さまざまなアプローチが必要です。そのなかで特に重要視すべき評価指標を明確にし、社内に周知することでKPI達成に向けた取り組みもスムーズに進みます。 具体的には、売上高成長率や時間あたり利益、また業種・ビジネスモデルごとに異なりますが、顧客獲得単価(CAC)や顧客生涯価値(LTV)といった顧客指標となります。
適切な評価指標の決定
評価指標の設定を誤ると「KPIの数値は良くなったが業績向上につながっていない」という問題が発生することがあります。そのためKPIツリーを常に観測し、問題があるKPIは適宜、見直しを行いKPIの数値改善と業績の向上をリンクさせる必要があります。
業績管理の流れ
業績管理は、PDCAサイクルを回す意識で実施します。計画→実行→評価→改善立案を繰り返すことで、想定していたメリットが得られ、改善策の提案・実施が可能となります。具体的な流れを以下に解説しますので、参考にしてみてください。
目標設定
まずは、年次の経営計画や予算計画、四半期ごとの経営計画などの目標を設定します。そこからブレイクダウンして、実務の中で評価可能な目標も設定しておくことが大切です。KGIに対するKPIを決めるのもこのステップです。必ず定量的な目標にしましょう。
進捗管理
次に、KPIがどの程度達成できているかを一定のタイミングで確認します。このとき、できる限りリアルタイムかつ正確な情報を収集することで、その後のステップをより効果のあるものにできます。月次決算のタイミングなど、1ヶ月に1度は進捗を確認できるといいでしょう。
実績の評価
進捗管理の際に把握した実績値が、KPIを達成しているのかどうか評価します。評価する指標や単位、期間を明確にしておき、実績の良し悪しを判断できる状態にしておくことが大切です。達成した場合でもしていない場合でも、何が要因となったのかをあわせて確認しておきましょう。
次回の目標やKPI設定に活かす
確認したタイミングでの実績値がKPIを達成していた場合は、さらなる向上ができるような施策がないかを検討します。もしKPI未達だった場合は、次のタイミングでKPIを達成できるような施策を実施しなければなりません。達成状況によっては、KPIの見直しも必要です。
効率的な業績管理の手法
業績管理は月次のペースで行うのが理想的です。しかし、1ヶ月間の業績を集計するにも時間や手間がかかり、それ自体が仕事のようになってしまう恐れもあります。また、時間がかかりすぎて実績評価のタイミングが遅れてしまったら、次のタイミングに向けた動きも後手に回ってしまいます。 手間や時間をかけず効率的に業績管理を行うためには、ツールの活用がおすすめです。具体的には以下のような方法があります。
Excelの活用
管理ツールとして手軽に利用できるのがExcelです。業績管理に必要な情報を日々入力するだけで自動集計でき、管理の手間や手計算による間違いを減らせます。 ただし、誰かが誤って数値を削除してしまったり、入力を忘れていたりすると、正しい結果を算出できないため注意が必要です。また、計算するための関数が複雑になるとファイルが重くなるうえ、ファイルを作成した人しか修正できなくなる恐れもあります。
システムの活用
効率よく業績管理を行うためには、システムの活用も有効です。業績管理を実施する上でシステムを導入すると、売上や人件費などのコスト分析に必要な情報を自動で集計できたり、すぐにデータ出力できたりと、タイムリーな経営判断に役立ちます。
たとえば本ブログを運営している株式会社オロのクラウド型ERP「ZAC」なら、期間別(月や四半期、年度など)で、単位別(部署別や担当者別など)に予実対比の結果を出力でき、前回の結果との比較が簡単に行えます。
システム開発業、広告業、クリエイティブ業、コンサルティング業などのプロジェクト型ビジネスで複雑になりがちな人件費の配賦も、入力された工数から簡単に計算できます。さらにBIツールによる視覚的経営分析も標準機能で備えているため、見たいタイミングで見たい数字を分かりやすく見ることができます。タイムリーかつ正確な業績管理を行うためには、システムの導入がおすすめです。
まとめ
業績管理は、企業が目指す目標や年次計画を達成するために重要なものです。目標となるKGIを達成するためには、定期的にKPIの達成状況を確認し、現状と目標との差異をタイムリーに把握しなければなりません。 そこでポイントとなるのが、速やかな月次決算を行うことや重要視する評価指標を決めておくことです。月次程度で把握した業績をもとに、次の期間でどのような取り組みを行うべきかを検討するという、PDCAサイクルを回して管理していきます。
手始めに、現状把握や目標との差異の確認を行うためには、Excelやgoogleスプレッドシートといったツールの利用が手軽で便利でしょう。しかし、シートが壊れてしまう可能性や数字の正確性が担保できないといったデメリットがあることも忘れてはいけません。
これから本格的に業績管理に取り組もうと考えているなら、ZACのようなシステムを導入することで、情報の収集や集計が効率化でき、数字の正確性を担保できます。経営判断に活かすためには、「見たいタイミングで見たい数字を分かりやすく見ることができるか?」を意識してシステムを選ぶと良いでしょう。