案件管理とは?目的と行う上で大切なことをあわせて解説
案件管理の目的
案件管理を始める前に、まずは案件管理を行う目的の明確化が重要となります。
一般的に、案件管理は「各部門が掲げる目標達成の確率を高めること」を目的として実施されています。
1つの組織内で複数の案件が同時並行で進行し、それぞれに別の担当者が付いて対応を行っていることが多いのではないでしょうか。そうした状況では、自然と各案件の情報はバラバラに管理され、状況も不透明になり、属人的な対応に帰着していきます。
このままでは、目標達成の確率を高めるどころか、目標達成の見通しを立てることさえできなくなってしまいかねません。
そこで案件管理を行うことで、各案件の情報を明確かつ正確に管理・連携でき、さらにノウハウの共有が可能になることで、目標達成の確率を高めていくことに繋がっていきます。
案件管理のメリット
「目標達成の確率を高める」目的を支える、案件管理を行うことで企業が得られるメリットは、主に以下の4点に分けられます。
①目標の達成状況を把握しやすくなる
現状の各案件の売上金額などがまとめて可視化されることで、最終目標に対する現状の達成状況を確認しやすくなります。これにより、目標の集計期間終了後に未達であることが判明した、といった状況を避けることができます。
②データ分析で対策を考えやすくなる
各案件のデータが蓄積されるため、それらを元とした分析が可能となります。
- 良い結果に終わった案件を分析することで、他案件に転用可能なノウハウを発見する
- 売上金額など各数値の現状を分析することで、対策を打つべき案件の抽出を行う
といった、目標達成の実現に繋がる知見を得ることにも繋がります。
③マネージャーのリソース管理や意思決定を助ける
各担当者が所有している案件の情報を一覧で確認可能となるため、マネージャーは部下が抱える案件の状況を把握しやすくなります。また、受注確度など売上予測に関する情報を集計することで、次に行う打ち手やリソース投下先の意思決定にも役立てることができます。
④顧客満足度向上に繋がる
案件管理では、各案件の基本情報(先方担当者、対応状況、自社担当等)もまとめて管理します。それによって、担当者の引継ぎや他部署への連携があった場合も、迅速に対応可能となります。特に継続課金型のビジネスモデルでは、1つのクライアントと長期に渡ってお付き合いをすることになるため、しっかり連携を行うことでお客様の長期満足度向上にも繋がるでしょう。
案件管理の必須項目
ここまで案件管理を行う目的とメリットを確認してきました。
続いて、実際に案件管理を行う際、どういった項目を管理すればよいかご紹介します。
①案件の基本情報
その案件に関する基本的な情報を記録します。具体的には、以下のような項目が該当します。
項目 | 具体例 |
---|---|
日付情報(引合発生日、受注予定日 等) | 引合発生日:2021/2/15 受注予定日:2021/3/15 |
取引先(得意先、代理店 等) | 得意先:株式会社〇〇 代理店:△△株式会社 |
営業担当者(取引先・自社) | 取引先:営業部部長 山田隆二様 自社:営業部 佐藤太郎 |
受注見込度 | A(80~100%) B(50~80%未満) C(30~50%未満) D(0~30%未満) |
これらの情報があれば、社内担当者間のシームレスな連携や各案件に関するデータ集計・分析の助けとなります。
②案件の進捗・対応状況
案件において営業担当者がどのような行動を行い、結果として案件の進捗がどうなっているか、記録します。記録する項目は以下のようなものがあります。
- 商談の進捗状況
- 各商談の対応事項、課題、ヒアリングした要望
- 営業担当者の行動履歴
案件の進捗・対応状況を共有することにより、成果を出すためのノウハウ連携や、マネージャーの効率的なリソース管理に繋がります。
③案件の金額情報
案件毎の予想売上額を記録します。
案件の基本情報と組み合わせることで、特定期間における売上金額の予測を行ったり、
担当者毎の売上状況を把握したりすることができるようになります。
案件管理の方法
上記のような項目を管理するにあたっては、いくつかの方法があります。
ここでは、特にメジャーな管理方法をご紹介いたします。
①Excel・スプレッドシート
既にExcelやスプレッドシートを利用されている方が多いことから、使い始めるためのハードルが低く、採用しやすい方法であると言えます。また、費用面においても、導入のための金額的コストは低く抑えられることも特徴でしょう。
一方で各メンバーが異なるExcelやスプレッドシートを使った場合、リアルタイムで情報共有ができなかったり、重複管理や入力ミスが起こりやすかったりするなど、思うように案件管理を行えない側面がある点も否めません。
②SFA
SFA(Sales Force Automation:営業支援システム)は営業活動のデータ管理に特化したツールです。「営業」の領域に特化している分、営業段階にある案件の管理を行うにあたっては、効果を発揮することが見込まれます。
受注後の案件管理を行うためには、別の方法を追加で採用することが前提となる点、注意が必要です。複数のツールを用いる場合、システム間連携方法の構築など導入の難易度が上がりますので、入念な準備が必要となります。そのため、営業段階から受注後までまとめて管理を行いたい場合は、他の方法を検討されてもよいでしょう。
③案件管理ができるシステム
SFAが営業活動のデータ管理に特化したツールであるのに対し、営業活動に範囲を限定せず、案件の管理が可能なシステムもあります。例えば「ERPパッケージ」と言われる、企業の財務・会計・人事・生産などの各種システムを統合したソフトウェアが挙げられます。中には受注前の営業活動に関する管理に加え、受注後のプロジェクト進行中の案件に関する管理も可能、といった特徴を持つシステムも存在します。
一貫した案件管理が可能になる一方で、導入するための費用負担が大きいシステムも多く、費用に見合った効果が得られるか、入念な検討が必要です。また、機能が複雑なシステムの場合、運用が難しく現場に定着しづらいケースもありますので、実現したいこととシステムで実現できることのすり合わせも重要となってきます。
案件管理方法 比較表
案件管理の具体的な方法は、主要なものだけでも何種類か存在することが分かりました。
では、実際に案件管理を行う場合、その中で一体どの方法を採用すればよいのでしょうか。
それぞれの方法を比較しようにも、その観点や基準が分からないこともあるかと思います。
そこで、案件管理方法の比較にお使いいただけるテンプレート資料を用意しました。
比較するにあたって必要な項目をリストアップしていますので、各項目に必要な情報を記載いただくことで、ご自身専用の比較表が出来上がるようになっております。
まとめ
案件管理を行うことには、マネージャーがリソース管理や意思決定を行いやすくなったり、顧客満足度向上に繋がったりと、様々なメリットが存在します。
その一方で、案件管理の方法や実際にモニタリングを行うために必要な項目は多岐に渡ります。
上記のようなメリットを享受するためには、案件管理の理由を明確にし、自社に合った案件管理の方法を見つけることが重要です。
本記事の内容が、貴社に合った案件管理を行うための一助となれば幸いです。