監査法人のIT専門家が語る!イマドキのIT事情
監査法人のIT専門家という仕事柄、いわゆるJ-SOX開始以降、IT全般統制の監査で様々なクライアントに行く機会がありました。クライアントごとに社風や雰囲気などが全く異なり、行ってみて初めて分かること・感じることが多々あります。
その1つに、ITユーザーとしてのクライアントと、そのクライアントのITインフラやアプリケーションの開発・運用・保守を担当しているITベンダーとの関係があります。ユーザーとITベンダーの関係も千差万別です。
クライアントとIT全般統制に関するディスカッションをしたり、ときには雑談的な会話をすると、「この会社、ITベンダーの力を上手く活用しているな」「ITベンダーに振り回されているのでは?」などの思いを強く感じることがあります。
このような経験を踏まえ、当コラムでは、筆者が監査法人のIT専門家という立場で今までに見てきた・感じてきた、ユーザーとITベンダーの関係を考察してみたいと思います。
システム導入プロジェクトにおける関係性の考察
当コラムで着目するのは、ユーザーとITベンダーの「IT力(あいてぃーりょく)」です。「IT力」とは、当コラムでの造語ですが、ITに関する知識の深さ、経験値の高さなどのテクニカルスキルだけではなく、各担当者・メンバーなど個人レベルの交渉力やリーダーシップなどの、いわゆるヒューマンスキルも含めた総合的なITに関する能力の概念として、ここでは定義します。
このIT力の強さ(強い/弱い)を、ユーザー(横軸)とITベンダー(縦軸)について、それぞれ横軸と縦軸にとると、マーケティング分析などでよく見かける四象限として捉えることができます。
ITといっても、その対象領域は多岐にわたります。
今回の連載では、ITの領域の中でも、IT力の強弱が結果に大きく影響すると思われる「システム導入プロジェクト」における、ユーザーとITベンダーのIT力を比較して、その関係について考えていきたいと思います。
次回から、ユーザーとITベンダーのIT力に着目して、四象限の各エリアごとにその関係を考察していきます。
システム導入プロジェクトに限らず、皆様の会社、もしくは担当している領域では、この図のどこに当てはまりますか?ぜひ、皆様の会社・担当領域での状況と照らし合わせながら読んでいただければと思います。