財務分析とは?分析する目的や4つの手法、重要な指標を紹介
財務分析とは
財務分析とは、決算書や損益計算書といった財務諸表の情報から企業の経営状況を分析することです。財務諸表の数字にもとづいて分析、比較を行うため、企業の現状や問題点を客観的に把握できます。
財務分析は目的によって「収益性分析」「安全性分析」「生産性分析」「成長性分析」の4つに分類されており、様々な視点での分析が可能です。分析結果を同業他社と比較して自社の強みや弱みを把握したり、自社の過去の数値と比較して経営状況が改善もしくは悪化しているのかを判断したりするのに役立ちます。現状や問題点が明確になることで、それらを踏まえた具体的な経営戦略が立てられるようになるのです。そのため、財務分析を行うことは、企業を成長させるために重要な要素のひとつと言えるでしょう。
分析内容は最終的に財務分析レポートとしてまとめることで、総合的な財務状況の把握や他社との比較が容易になります。分析レポートについては、後ほど詳しく解説します。
内部分析と外部分析
財務分析は、分析を行う主体が社内の人間か、社外の人間かによって内部分析と外部分析に分けられます。
- 内部分析・・・自社の経営者や管理部門、経理担当など、社内の人間が行う分析
- 外部分析・・・取引先や投資家など、社外の人間が行う分析
内部分析は、今後の経営計画の策定、意思決定、経営判断などのために活用されます。外部分析は、取引先や投資先の経営状況を判断するために行われるものです。また、金融機関や債権者が、企業の信用状況や返済能力を判断する場合にも用いられます。ここからは、主に内部分析について解説していきます。
財務分析を行うメリット
自社の財務状況を把握することで、企業にどのようなメリットがあるのでしょうか。具体的には大きく3つあります。
客観的に自社の経営状況が把握できる
企業を成長させるためには、まずは現状の正確な把握が重要です。現状が把握できて初めて、適切な意思決定が行えると言えるでしょう。
経営者自身が自社の経営状況や強み・弱みを考えると、主観的な判断になってしまう可能性が高くなってしまいます。しかし、財務分析は数字データを使用するため、客観的な判断が可能です。「財務状況は健全か」「倒産のリスクはないか」「どの部門に問題があるか」「今後の成長可能性はどれくらいか」などを、個人の経験や感覚からではなく、実際の数字データをもとに把握できます。
経営戦略の策定に役立つ
財務分析は、より競争力のある具体的な経営戦略の策定に役立ちます。競合他社との比較分析を行うことで、自社の強みや弱みが数値の差として現れます。弱みであれば差を埋めるための経営戦略を策定し、強みであれば継続して強化する、もしくは他部門の商品力や営業力向上に注力するといった、新たな強みを生み出すといった戦略も考えられるでしょう。
自社の過去の数値と比較分析を実施すれば、現在行っている施策に効果があるのか、見込み通りの効果が出ているのかを判断する材料になります。
資金調達への活用
金融機関や投資家は財務分析の結果を材料に、企業の収益性や成長性、倒産リスクを判断することが一般的です。特に金融機関は安全性の高さで企業を分類しており、安全性が高い企業ほど資金調達を受けやすくなります。そのため、自社の財務分析を行い問題点の改善に取り組めば、融資や投資を依頼する際の評価につながり、資金調達しやすくなる可能性があるのです。
また、必要な融資額の判断にも活用できます。融資希望額の根拠が、財務分析を基に計算した数字であれば説得力が増し、金融機関とのやり取りがスムーズになるでしょう。
財務分析を行うための必要書類
財務分析に必要な数値は、決算書のうち、損益計算書と貸借対照表から抽出します。それぞれの書類がどのようなものかを解説します。
損益計算書
損益計算書は、一会計期間における売上と費用、利益(または損失)の金額を表す書類です。3月決算の企業であれば、期首の4月1日から期末の3月31日までの企業の経営成績を表します。企業がどれくらい利益や損失を出したか分析する際に使用します。
貸借対照表
貸借対照表は、企業の財政状態を明らかにするための書類です。その時点における企業の資産・負債・純資産の金額を表します。3月決算の企業であれば3月31日時点の企業の財政状態がわかります。企業の資産と負債のバランスが一目でわかるため、主に企業の安全性分析に必要な書類です。
損益計算書、貸借対照表について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
実数分析と比率分析
財務分析の方法は、財務諸表の実数をそのまま使用するか、実数から算出した比率を使用するかで、実数分析と比率分析の2種類に分けられます。
実数分析
実数分析は売上や経費といった財務諸表上の数値を、前年実績や他社の数値と比較して行う分析方法です。実際の金額を基に分析するため、直感的にわかりやすいというメリットがあります。具体的には、売上・利益増減分析、原価差異分析、経常収支分析、キャッシュフロー分析などが該当します。
「売上や利益がどのくらい増減しているのか」「原価が予定と実績でどの程度ずれているのか」「経費はどのように推移しているのか」など、「量」の分析に適した方法です。
比率分析
実数分析は財務諸表の実数をそのまま使用して比較するのに対し、比率分析は財務諸表の実数から算出した比率を使い、過去の実績や他社の数値と比較分析する方法です。
効率性や有効性など、実数分析では把握できない「質」の分析ができます。そのため、規模が異なる同業他社と比較できるメリットがあります。具体的には売上高総利益率、売上高成長率、自己資本比率、流動比率などがあり、この後紹介する財務分析の指標はすべて比率分析です。
財務分析の4つの手法と重要な指標
財務分析の手法は、「収益性分析」「安全性分析」「生産性分析」「成長性分析」の4種類があり、目的によって使い分けます。目的別に規模が異なる同業種の企業と比較したり、業種が異なる同規模の企業と比較することで、自社の立ち位置や弱み・強みを多面的に把握することが可能です。例えば、収益性分析は良いものの、成長性分析は悪いというケース等が考えられます。過去の数値と比較分析する際にも、目的ごとに分析すれば、経営悪化や企業が成長した原因が鮮明になり、その後の戦略を具体的に設定できるでしょう。
ただし、適切な目標数値は経営戦略や目的、事業フェーズによって異なるため、自社に合わせた設定をする必要があります。 それぞれの目的と重要な指標を紹介します。
収益性分析
収益性分析は、企業がどの程度利益を上げられているかを確認する分析です。利益を多角的に分析し、効率性を確認します。数値が高いほど、少ない費用または資産で効率的に利益を出していると言えます。
収益性分析で重要な指標は、次の6つです。
- 売上高総利益率
- 売上高営業利益率
- 売上高経常利益率
- ROA(総資産利益率)
- ROE(自己資本利益率)
- 損益分岐点
ひとつずつ見ていきましょう。
売上高総利益率
売上高総利益率は、企業の大まかな利益率を把握するための指標で、売上総利益が売上高に占める割合を表します。収益性を分析するための基本的な指標です。
- 売上高総利益率(%)= 売上高総利益 ÷ 売上高 × 100
粗利益とも呼ばれる売上総利益は、売上高から売上原価を引いたものです。売上高総利益率は粗利益率とも呼ばれます。
売上高総利益率が高ければ、利益を生み出す力が高いことを意味します。前年より下がっている場合は、仕入や製造にかかるコストが増加している、販売単価の下落といった可能性があるでしょう。
売上高営業利益率
売上高営業利益率は、企業本来の営業活動によって利益を稼ぎ出す力のことです。
- 売上高営業利益率(%)= 営業利益 ÷ 売上高 × 100
営業利益は、売上総利益から従業員の給与や事務所の家賃などの販管費を引いたものです。 営業活動の効率性を判断でき、本業で稼ぐ力がわかります。
売上高経常利益率
売上高経常利益率は、売上高営業利益率に支払利息、受取利息といった本業以外による利益や費用を加えた指標です。
- 売上高経常利益率(%)= 経常利益 ÷ 売上高 × 100
資金調達の効率性を含めた、総合的な収益性を見ることができます。
ROA(総資産利益率)
ROA(総資産利益率)は、企業が投入した資本でどれだけの利益を上げたのかを表します。
- ROA(総資産利益率)(%)= 当期純利益÷総資産 × 100
総資産とは自己資本と他人資本を合計した総額です。当期純利益は、営業利益に営業外損益、特別損益を加え、法人税等を引いたもので、最終的な経営成果を表します。当期純利益がプラスなら黒字、マイナスなら赤字になります。最終的な利益を上げるにあたって、どれだけ資本を効率的に利用できたかがわかります。
ROE(自己資本利益率)
ROE(自己資本利益率)は、自己資本を使ってどれだけの利益を上げたのかを表します。
- ROE(自己資本利益率)(%)= 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100
自己資本とは株主資本を指しており、ROEによって、返済の必要ない自己資本をいかに効率的に活用できたかを判断できます。一般的に、10~20%が優良企業の目安とされています。
安全性分析
安全性分析は、企業の支払い能力や倒産リスクを確認するための分析です。短期的視点・長期的視点に分けて企業の安全性を判断できます。自社の安全性を確認するときや新規取引先企業の支払い能力を見るときや、金融機関や投資家が融資や投資を検討する際に行われる分析です。
安全性分析には重要な指標が5つあります。
- 流動比率
- 当座比率
- 自己資本比率
- 固定比率
- 固定長期適合率
ひとつずつ見ていきましょう。
流動比率
流動比率は、企業の短期的な返済能力を見る指標です。 1年以内に現金化できる流動資産と、1年以内に返済義務のある流動負債のバランスを確認します。
- 流動比率(%)= 流動資産÷流動負債 × 100
流動比率が高いほど、短期的な返済能力が高いと言えるでしょう。一般的に、資金繰りに困らないレベルであれば120%、理想的な目安は200%とされています。ただし、流動比率が高すぎる場合は、過剰在庫となっている可能性があるため注意が必要です。
当座比率
当座比率とは、当座資産と流動負債のバランスから、企業の短期的な返済能力を表す指標です。
- 当座比率(%)= 当座資産÷流動負債 × 100
当座資産とは、流動資産の中でもより現金化しやすい資産のことです。具体的には現金、預金、受取手形、売掛金、有価証券などが該当します。当座資産には棚卸資産を含まないため、流動比率よりも数値は少なくなります。そのため、流動比率よりも厳しく返済能力を測ることが可能です。一般的には、100%あれば安心と言われています。
自己資本比率
自己資本比率は、企業の中長期的な安全性を測る指標です。企業の借入が適正な範囲内なのかどうかを判断できます。
- 自己資本比率(%)= 自己資本 ÷ 総資本 × 100
総資本のうち、自己資本がどのくらいを占めるかを表しており、自己資本比率が高いほど借入が少なく、健全な経営をしていることを意味します。一般的に、20%以下だと危険と言われていますが、基準となる数字は業種によって大きく異なります。
中小企業実態基本調査が公開する「中小企業実態基本調査 / 令和4年確報」 (*1)によると、中小企業における各業種の自己資本比率の平均値は次のとおりです。自社の自己資本比率の参考にしてみてください。
業種 | 自己資本比率(%) |
---|---|
建設業 | 42.5 |
製造業 | 35.3 |
情報通信業 | 52.6 |
運輸業、郵便業 | 28.7 |
卸売業 | 39.1 |
小売業 | 34.8 |
不動産業、物品賃貸業 | 33.7 |
学術研究、専門・技術サービス業 | 49.1 |
宿泊業、飲食サービス業 | 17.4 |
生活関連サービス業、娯楽業 | 35.6 |
サービス業(他に分類されないもの) | 38.3 |
固定比率
固定比率は、長期の安全性を判断するときに使う指標です。
- 固定比率(%)= 固定資産 ÷ 自己資本 × 100
固定資産が自己資本の範囲に収まっているかを確認でき、無理のない範囲で設備投資を行っているかを判断できます。固定資産は長期的に使用するものであり、すぐに投資額を回収できないため、返済期限のない自己資本による調達が望ましいとされています。経営状態が長期的に安定する水準は100%以下です。
固定長期適合率
固定長期適合率は、固定比率と同様に長期の安全性を判断するときに使う指標です。
- 固定長期適合率(%)= 固定資産 ÷ (固定負債 + 自己資本)× 100
固定比率が「固定資産を自己資本のみで賄えているか」を確認する指標であるのに対し、固定長期適合率は「固定資産を固定負債と自己資本で賄えているか」をチェックする指標です。返済が長期である固定負債を合わせることで、固定比率よりはゆとりを持った目線で安全性を確認できます。健全な水準の目安は、100%以下です。
生産性分析
生産性分析は、企業の生産性の高さを確認するための分析です。人材や設備などの経営資源を効率よく活用して、付加価値を生み出せているかを見ることができます。
付加価値とは、企業が労働により製品・サービスに新たに加えた価値のことです。付加価値を生み出すことで、他社との差別化や優位性を図れます。
生産性分析で重要な指標は、次の3つです。
- 付加価値率
- 労働生産性
- 労働分配率
ひとつずつ見ていきましょう。
付加価値率
付加価値率は、効率的に企業が新しい価値や利益を生み出しているかを表す指標です。売上のうち、付加価値がどの程度を占めているかを計算します。
- 付加価値率(%)= 付加価値額 ÷ 売上高 × 100
付加価値率が高ければ高いほど、他社から仕入れたものの価値に頼らず、自社で新たな価値を生み出せている企業と言えます。 付加価値額の算出方法には「販売した価値から原料の価値を差し引く」ことで求める控除法と、「付加価値を構成する項目である費用や利益などを積み上げる」加算法があります。
<控除法> 付加価値額 = 売上高 - 外部購入費
<加算法> 付加価値額 = 経常利益 + 人件費 + 賃借料 + 減価償却費 + 金融費用 + 租税公課
控除法は売上高と外部購入費の2項目がわかれば計算でき、簡単に求められる方法です。しかし売上高から控除された費用の内訳情報がわかりにくいため、内訳情報がわかりやすい加算法が一般的です。
労働生産性
労働生産性は、従業員一人当たりが生み出す付加価値額を表す指標です。従業員がどれだけ効率的に付加価値を生み出しているかを表します。
- 労働生産性 = 付加価値 ÷ 従業員数
労働生産性が高ければ高いほど、効率よく付加価値を生み出せています。
労働分配率
労働分配率は、企業が生み出した付加価値をどのくらい人件費として使っているかを示す指標です。付加価値に対して人件費が適正かどうかを判断できます。
- 労働分配率(%)= 人件費 ÷ 付加価値額 × 100
人件費が増えれば労働分配率は上がり、付加価値額が増えれば労働分配率は下がります。労働分配率が高い場合は生み出した付加価値に対して人件費が高く、経営を圧迫している可能性があります。一方、労働分配率が著しく低い場合は、生み出した付加価値に対して人件費を抑えすぎている可能性があり、従業員のモチベーション低下や業務効率の低下につながる恐れがあります。平均的な数値は40~60%ほどです。
成長性分析
成長性分析は、前期からの企業の成長率や今後の成長見込みを確認するための分析です。過去や現在の売上高や利益だけでは判断できない、企業の伸びしろを判断します。算出された数値が高いほど、成長率が高くなります。
重要な指標は次の3つです。
- 売上高成長率
- 経常利益成長率
- 総資産成長率
ひとつずつ見ていきましょう。
売上高成長率
売上高成長率は、前期と比べて当期の売上高がどれくらい伸びたのかを表します。企業の成長性を分析する最も基本的な指標で、成長している規模やペースがわかります。前年のデータだけでなく、複数年のデータをもとに成長率を確認することが重要です。
- 売上高伸び率(%)= (当期売上高 - 前期売上高)÷ 前期売上高 × 100
経常利益成長率
経常利益成長率は、前期の経常利益と比べて1年間で経常利益がどれくらい伸びたのかを表します。経常利益は、営業利益に営業外収益を加え、営業外費用を引いたものです。例えば家賃収入や株の売買による収入も含むため、本業以外を含めた企業の成長性がわかります。
- 経常利益伸び率(%)= (当期経常利益 - 前期経常利益)÷ 前期経常利益 × 100
総資産成長率
総資産成長率は、前期の総資本と比べて1年間で総資産がどれくらい伸びたのかを表します。
- 総資産成長率(%)= (当期の総資産額 - 前期の総資産額)÷ 前期の総資産額 × 100
総資産には負債も含まれるため、借金が増えても総資産成長率は伸びます。そのため総資産成長率が伸びていたとしても、増加の内容を確認する必要があります。
財務分析レポートの作成方法
財務分析では各指標を基に、総合的な財務状況を把握します。そのうえで、分析結果を社内で共有することもあるでしょう。分析した内容を財務分析レポートとしてまとめることで、財務状況の把握や他社との比較が容易になります。
財務分析レポートはどこかに提出するものではないため、決まったフォーマットや作成方法はありません。そのため、自社の目的が達成できるレポートであればどのような形式でも問題ありません。 財務分析レポートでは、主に以下の流れで作成していくことが多いです。
- 前提条件
- 分析結果
- 結論
まずは分析を裏付けるために使用した指標の定義や計算方法などを、前提条件で説明します。財務分析の最終的な目的も記載すると、わかりやすい財務分析レポートになるでしょう。
次に分析結果を記載します。各指標により分析した結果を「収益性分析」「安全性分析」「生産性分析」「成長性分析」の4つに分けて記載しましょう。このとき、複数年度にわたって比較した結果を時系列順で比較したり、他社の数字と比較したりした内容も記載するといいでしょう。また、表やグラフを使うことで分析結果が可視化できます。
最後に分析結果をまとめた結論を記載します。分析により得られた強みや弱み、それをもとにした経営戦略まで記載できればわかりやすい財務分析レポートになります。 また、前提条件で設定した最終的な目標も、結論内で記載しましょう。
財務分析を効率よく行う方法
財務分析は企業の現状を把握するための分析なので、できるだけ適時適切な情報をもとに分析を行う必要があります。
しかし、通常業務を行いながら、さらに財務分析を行うとなると、そのぶん担当者にかかる負担は増加します。分析を行うこと自体が目的になったり、時間がかかりすぎてしまったりすることで、適切なタイミングで経営戦略を立てられなくなる恐れもあるでしょう。適切なタイミングで経営戦略を立てるためには、効率的に財務分析を行うことが必要です。
ここからは、効率よく財務分析する方法を紹介します。
決算作業を月次で進める
決算作業を期末にまとめて行うのではなく、毎月定期的に進めることで財務分析に取り掛かるまでの時間が短縮できます。
タイムリーな財務状況を把握するためには、決算時の財務諸表をスムーズに作成する必要があります。しかし財務諸表を期末で一気に作成しようとすると、時間がかかってしまい、その後の財務分析にまで遅れが出てしまうかもしれません。
月次ごとに企業の数字を細かく管理すると、決算時の財務諸表作成にかかる手間やミスを削減でき、スムーズな決算や財務分析につながるでしょう。
システムを活用する
会計システムや財務分析システムといったツールを活用すれば、財務分析が効率化できます。財務分析に必要な財務諸表を手作業で作成した場合、集計・算出にかなりの工数と時間がかかり、ヒューマンエラーも発生しかねません。システムやツールを活用すれば、財務諸表の作成が楽になるだけでなく、経費精算などの日々の業務も効率化できるでしょう。また、財務分析が簡単にできる機能やBIツール機能をもった会計システムや、財務分析専用のシステムなどもあります。これらを使うことで、財務分析レポートも見やすく伝わりやすいものにできます。
企業の基幹業務を一元化できる「ERP」を使えば、財務分析に必要な社内の利益や発生コストといった情報の整合性を担保できるでしょう。 財務分析に使用する数値は正確であることが大前提です。自社に適したシステムを利用し、分析が必要となった際に慌てないよう、日々の経理作業から効率化を行いましょう。
専門家のアドバイスを受ける
財務分析で使用する指標には、本記事で紹介したもの以外にも様々なものがあります。しかし、それらすべての指標を見ていては、膨大な情報量になり、分析にも時間がかかってしまいます。
自社に適した指標を選択し、効率よく分析するために、専門家のアドバイスを受けることもおすすめです。財務分析の専門家とは、公認会計士や税理士、中小企業診断士を指します。専門家に相談すれば、自社に適した指標がわかり、効率よく分析できるでしょう。
また各指標には目安となる数値があるものの、業種や規模・ビジネスモデルなどで適切な数字は変わるため、自社に合った適正な数値目標についてもアドバイスをもらえるでしょう。
まとめ
財務分析をすることで収益性、安全性、生産性、成長性といった様々な視点から自社の経営状況を客観的に把握できます。より正確に分析するためには、複数年度にわたり分析し、前期データや他社との比較をすることが重要です。
財務分析では自社の強み・弱みを把握するだけでなく、それを踏まえた経営戦略を立てて問題点や弱みを改善することが重要です。しかし、企業の財務状態は日々変化するため、財務分析に時間をかけすぎてしまうと、分析結果と企業の現状が合わなくなってしまう可能性があります。
実態に合ったタイムリーな経営戦略を立てるためには、効率的な財務分析が欠かせません。システムを使ったり専門家に相談したりして、効率的な財務分析を行いましょう。