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業務自動化とは?得られるメリット、成功のポイントを事例とともに解説

2023/1/23公開

業務自動化とは、IT技術を活用して手作業などのアナログな業務を自動化することです。自動化によって、企業の生産性向上や属人化の防止など様々なメリットを得られます。業務自動化を成功させるためには、つまづきやすいポイントやどのようにすれば上手くいくのかを事前に理解しておくことが大切です。

本記事では、業務自動化によって得られるメリット、成功のポイントを事例とともに解説します。

業務自動化とは

業務自動化とは、IT技術を活用して業務を自動化することです。業務自動化は、企業の業務効率化や生産性向上など様々な効果を生み出します。たとえば、これまで手作業で行っていたデータの収集・集計などの時間と労力がかかる業務を自動化できれば、社員の負担を軽減できます。また、空いた時間を顧客へのサービス向上や売上向上につながる施策立案等の業務に費やせるでしょう。

業務自動化によって得られるメリット

業務自動化によって、企業はどのようなメリットを得られるのでしょうか。主なメリットとして「業務の効率化が図れる」「社員の負担を軽減できる」「業務の属人化を防止・解消できる」「ヒューマンエラーを防止できる」などが挙げられます。 それぞれのメリットについて詳しく解説します。

業務の効率化が図れる

業務を自動化し、単純作業にかかる時間を短縮できれば、企業の経営や売り上げに関わる業務などに対してより多くの時間をかけられるようになります。人材リソースを最適化できるため、生産性の向上につながるでしょう。また、作業に充てる人数・時間が減少するため、人件費の削減にもつながります。

社員の負担を軽減できる

社員の負担を軽減できる点もメリットの1つです。例えば、大量のデータ入力作業によって、他の業務ができなくなったり、毎晩残業を続けていたりすれば、社員の身体・精神的な負担は徐々に大きくなります。これらの業務を自動化することで、社員の負担軽減につながるでしょう。

業務の属人化を防止・解消できる

業務の属人化を防止・解消できる点も大きなメリットです。たとえば特定の業務を一部の社員しか把握していない場合、その社員が不在の際や退職してしまった際に、業務が回らなくなってしまうリスクがあります。しかし、業務を自動化しておけば、業務担当者を置かなくてもだれでもスムーズに作業を進められるようになります。

ヒューマンエラーを防止できる

転記ミスなどのヒューマンエラーを防止でき、確実な作業遂行が可能になります。人による作業の場合、集中力が欠如していたり、注意力が散漫になっていたりすると、ケアレスミスが起きやすくなります。しかし、業務自動化により業務の正確性が高まることで、企業の利益損失・損害といったリスク軽減につながるでしょう。また、二重チェックなど、これまで必要だった対策が不要になるのも大きなメリットです。

自動化が向いている業務

業務を自動化すれば、企業は様々なメリットを得られます。しかし、どの業務を自動化するべきか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。基本的には、都度人の判断を必要としない業務や、マニュアル化されている業務などが自動化に向いているとされています。この章では、自動化が向いている具体的な業務を3つ紹介します。

データ収集・集計

1つ目は、データ収集・集計です。大量にあるデータの収集・集計業務を人が行うとすると、時間と手間がかかります。これらの業務を自動化することで、人が行うよりもはるかにスピーディーかつ正確に業務を行えるようになるでしょう。

リマインダー

2つ目は、リマインダーです。例えば、予定されている会議の数日前にメールで再通知を送る「リマインドメール」は、忙しく働いている人やスケジュールが立て込んでいる人にとって大変ありがたいものでしょう。しかし、送信する側にとっては毎回メールを作成しなければいけないため大きな負担になります。 リマインドメールの作成と送付を自動化すれば、都度文章を作成したり、送付メンバーを確認したりといった手間をなくせます

バックオフィス系の業務

3つ目は、バックオフィス系の業務です。人事や労務、経理などのバックオフィスで普段行っている定型書類の作成や社内の問い合わせ対応といった業務も自動化に向いています。バックオフィスの業務を仮に全て手作業で行っていると、ミスや抜け漏れなどが発生しやすくなります。これらのバックオフィスの業務を自動化すれば、ミスのリスクを軽減しつつスピーディーに業務を行えるようになるでしょう。

業務自動化を実現させるための代表的な5つの方法

では、実際に業務を自動化させるためにはどのような方法で行えばよいのでしょうか。業務自動化でよく活用されている5つの方法について、特徴とメリット・デメリットについて解説します。それぞれを組み合わせて使うことで、業務自動化をより効率的に行うことができるでしょう。

マクロ

マクロとは、アプリケーションの手順を制御する機能のことです。主にExcelの自動化に使われ、集計や計算などの操作を自動化してくれます。マクロの実装は、VBAというプログラミング言語を活用して行います。マクロは元々Microsoft 365に実装されている機能のため、導入コストを抑えやすく、他のMicrosoft 365製品と連携できるのがメリットです。 一方、VBAの知識がないと実装できないため、作成やメンテナンス作業を行える人が限定されるというデメリットがあります

AI

AIは「Artificial Intellingence」の略であり、人間の知的能力や作業を再現できるシステムを指します。AIの技術は日常的に使われており、たとえば、音声認識や画像認識が可能です。Amazonの「Alexa」やAppleの「Siri」など、ユーザーが発した言葉に対してスムーズに受け答えできるのもAIの技術によるものです。

AIのメリットは高度な学習機能であり、データ分析業務に活用することで、スピーディーかつ高精度な分析・予測が可能です。その結果、人の手で行っていた業務が自動化できます。しかし、AIに依存しすぎた場合、トラブルが起きた際に対応が後手になる恐れがあります。そのため、AIを導入する際には、起こり得る問題や対応方法についても明確にしておく必要があるでしょう。

RPA

RPAは「Robotic Process Automation」の略であり、ロボットによる業務自動化ツールを指します。パソコン上の操作を記録して再生したり、シナリオを事前に作成して任意の作業をさせたりする仕組みです。RPAは、データの入出力や請求書の発行などのバックオフィス業務に特に適しています。メリットは、視覚的な操作で構築できるため、プログラミングの知識がなくても利用できる点です。

デメリットは、ツールを社内に導入したり、使い方を社員にレクチャーしたり、運用準備に時間がかかる点です。クラウド型を除き、あらかじめ自社サーバーやPCの環境を整備する必要があります。また、個別の判断が必要な業務は、RPAの苦手とする範囲であるため、AIと組み合わせて使うなどの工夫が必要です。

OCR/AI-OCR

OCRとは「Optical Character Recognition(光学文字認識)」の略であり、スキャンした画像データから文字や数字データを取り込む技術です。印刷された書類や、フォーマットに沿っていれば手書きの書類なども読み取ることができ、文字コードに変換して出力します。これまで手入力で行っていた、紙書類・pdfからデータへの移行を自動で行うことができるのです。

さらに、既存のOCR技術にAI技術をかけ合わせた「AI-OCR」という技術が近年では主流になりつつあります。フォーマットに沿わないフリーハンドの手書き文字や崩れた文字の認識も可能になりました。学習を重ねるごとに、精緻な文字認識がより精緻になるのも大きなメリットです。RPAと組み合わせ、読み込んだデータを自動的にシステムへと連携させることで、より効果的にOCR/AI-OCRを活用できるでしょう。 ただし、読み取りの精度は必ずしも100%ではないため、目視での確認作業が必要になる場合があります。

チャットボット

チャットボットとは、chat(会話)とbot(ロボット)を組み合わせた言葉で、コンピューターがテキストや音声で会話を行うシステムを指します。たとえば、自社サイトに設置することで、顧客からの問い合わせに24時間自動で対応することが可能です。さらに、社内でよくある質問への対応にも利用するといった活用法もあります。

チャットボットには、シナリオ型とAI型の二種類が存在します。シナリオ型はあらかじめ想定されるシナリオを用意しておき、表示される選択肢を選ぶことで、最終的に求める回答を提供します。専門知識や技術がなくてもシナリオを作成することができますが、シナリオに登録していない質問には回答できません。 AI型は、あらかじめ用意したデータを元に学習を行い、その中から最適な回答を自動提示してくれます。会話を重ねるたびにデータが増えていくため、回答内容の精度が上がるのがメリットです。システムの構築や、膨大なデータを登録する必要があるため、シナリオ型よりもコストがかかるのがデメリットと言えます。

チャットボットでは複雑な質問に対して回答できないケースもあるため、2次対応で人の手が必要だったり、導入後も随時メンテナンスを行う手間が発生したりします。

業務自動化を阻む要因

業務自動化を検討する企業の中には、取り組みを先延ばしにしたり、断念したりする企業も多く見受けられます。なぜ、自動化がなかなか進まないのでしょうか?業務自動化を阻む要因について解説します。

心理的なハードルがある

そもそも業務自動化に取り組んだ経験がない企業にとっては「自動化」という言葉に対して「専門知識がないとできないのではないか?」「難しそう」といった心理的なハードルを感じるケースが多く見られます。また、AIの技術が業務自動化に役立つと知っても「いつかAIが人間の仕事を奪うのではないか」と不安に感じる方も多く見られます。このような考え方を払拭するためには、業務自動化を実現した企業の事例やAIの技術がどのようなシーンで活用されているかなどの事例を参考にするのが効果的です。実際に日本国内にある身近な企業の事例を聞けば、自動化による心理的なハードルも低くなるでしょう。

目的が定まっていないため、継続的な取り組みにならない

業務自動化を阻む要因は様々ですが、特に多く見られるケースは、業務自動化の目的が明確に定まっていない状態で取り組んでしまっていることです。やみくもに取り組むのではなく、「データ分析にかかる時間を●時間短縮できる」のように、自動化の効果を具体的な数値で示すといいでしょう。関係者の目的意識を統一することで団結力が生まれ、業務自動化の継続的取り組みにつながります。

また、業務自動化を進めるためには、従来の仕組みや業務のやり方を変化させる必要があり、慣れるまでは従業員への負担も掛かりがちです。自動化によって得られるメリットを、企業だけでなく従業員レベルでも提示し、従業員の協力を得る必要もあるでしょう。

どの業務を自動化するべきなのかが分からない

業務を自動化したいが、どの業務から自動化すれば良いのか分からないというパターンも多く見られます。特に複数人が同じ業務に関わっている場合、業務全体の流れを把握することが難しくなり、どこを自動化するべきかイメージしづらくなりがちです。まずは一連の業務を可視化し、どのような業務があるのか細分化する必要があります。業務を細分化すれば、どの業務にどれだけの時間を掛けているのかを可視化でき、どの業務を自動化するべきかスムーズに検討できるでしょう。

業務自動化を成功させるためのポイント

業務自動化はすぐに効果が出るものではありません。業務自動化を成功させるためには、自社に適したやり方を選定し、関係者が一丸となって計画的に取り組む必要があります。

この章では、業務自動化を成功させるためのポイントについて詳しく解説していきます。

自動化する業務を洗い出す

自動化する業務を洗い出すためには、まず今行っている業務を細分化し、可視化する必要があります。その中で自動化できる業務はどれか、または自動化できない業務はどれかを判断していきましょう。たとえば、単純な入出力の業務やデータ収集・集計は自動化に適していますが、顧客のニーズから新たな企画を立てる業務などは自動化できるものではありません。

また、同じ業務の中でも、一部自動化できるといったケースもあるため、普段行っている業務を細かく分けて考えていきましょう。

目標を明確にする

次に、部門ごと・業務ごとに達成したい目標を明確に決めましょう。「短縮したい時間」「削減したいコスト」などを定量的に決めることで、自動化できる業務の中でも優先順位をつけることが可能になります。また、目標を達成するために一人ひとりが通常業務で自動化できる部分がないかを普段から意識したり、複数の業務を1つにまとめられそうかを考えたりできるようになるといった効果も期待できます。

業務・会社に適した自動化ツールを選定する

業務改善のニーズがある分野によって、自動化の手段やシステムに実装するべき機能は異なります。そのため、ニーズに合った自動化ツールを選ぶようにしましょう。 また、業務自動化によって特定の部門のみが楽になり、他部門が負担を感じることもあり得ます。そのため、選定時には全部門の最適化を意識したツール選定を行うことも重要なポイントです。

自動化する目的・手段を社内全体に周知する

業務自動化を進めるためには、時間や労力がかかることを考慮しなければなりません。これまでの業務の進め方が変更になる可能性も大いにあるため、自動化する目的・得られるメリットを社内全体に周知することが非常に重要です。自動化を行ううえでは、実際に業務にあたっている従業員の協力が欠かせません。周知によって社内の協力を得られてこそ、業務自動化は効果を発揮すると言えるでしょう。

検証・改善を繰り返して行う

業務自動化が完了した後でも、検証と改善を繰り返していくことが大切です。目標に対してどれだけ成果をあげられたのかを定期的に観測します。さらに、構築した社内システムを使用する中で、使いにくい部分やエラーなどを発見するケースも出てくるでしょう。それらを把握し、常に改善をしていくことが自動化の効果を最大限に引き出すことにつながります。

検証・改善の効果を正確に見極めるには、業務に対してかかった時間や回数などのデータが不可欠です。数字の推移・変化を参照し、適切な施策を講じることで、業務効率化が実現できます。

業務自動化の成功事例

ここからは、本ブログを運営する株式会社オロ(以下、オロ)が実際に業務自動化を行い、効率化に成功した例を紹介します。

チャットボット導入で問い合わせ対応を迅速化

オロでは、お客様からの問い合わせに対してチャットボットを採用することで、問い合わせ対応にかかる時間や手間を削減しています。

自社製品「Reforma PSA」においてお客様からの問い合わせにチャットボットを導入(*1)したところ、以前は100件ほどあったメールや電話経由の問い合わせ数は50%以上、かかる工数は20%以上削減することに成功。簡単な問い合わせはチャットボット経由で自動対応してくれ、複雑な問い合わせのみに対応するだけで済むようになったのです。このように、チャットボットと有人の役割を上手く分配することで、それぞれの問い合わせに対して、より正確かつ迅速に対応できるようになりました。

オロは、コロナ禍によるリモートワークの増加もあり、電話やメールによる問い合わせはお客様にとっても負担が大きく、気軽に問い合わせることができるチャットボットが望まれていると推測。お客様に実施したアンケートでは有人チャットと同じくらいチャットボットが高評価であることもわかっています。

RPAを活用してシステムの入力作業を自動化

オロでは、かつて営業チームが手動で請求先の登録や請求書の発行業務を行っていました。しかし、請求関係の業務はどうしても月末に集中してしまうため、残業が発生し、社員のストレスが増加していたことが課題でした。そこで、RPAを導入する(*2)ことで請求関連の入力作業を自動化。毎月1つ1つ手作業で発行していた200件の請求書を、実行ボタンを押すだけで完了できる仕組みを作りました。その結果、年間およそ2,500時間近くの工数削減に成功しました。

請求業務にかけていた時間が短縮されることで、その分の時間を他の業務に当てたり、新規サービスの業務を行ったりできるようになりといったメリットが得られています。

まとめ

業務自動化によって、業務効率化や社員の負担軽減、業務の属人化とヒューマンエラーの防止が可能になります。また、定型業務にかかる時間を削減することで人材リソースを最適化でき、生産性の向上にもつながるでしょう。業務自動化を成功させるためには、「どのような業務を」「何のために」「どのような手段で自動化するのか」といったポイントを押さえてから取り組むのがおすすめです。

業務自動化は労力がかかり、すぐに効果が表れないこともあります。社内の協力を得ながら、業務自動化のツール・システムが稼働した後でも検証・改善を繰り返すことが業務自動化を成功させるために重要です。

参考

*1:Zendesk「BtoB事業・1,000件以上のQ&Aでも効果を発揮!オロのJ-ウィジェット(ジェーウィジェット)活用事例に迫る」

*2:Coopel「1年間で2,500時間の工数削減と、1,065万円のコスト削減に成功したウラ側に迫る」

Q
業務自動化はどのような方法で行うのか?
A
目的や規模によってやり方は様々ですが、代表的な方法としてはマクロ・AI・RPA・OCR・チャットボットなどが挙げられます。詳しくは業務自動化を実現させるための代表的な5つの方法をご覧ください。
Q
業務自動化のメリットは?
A
業務自動化のメリットは、手間のかかる業務の効率化や社員の負担軽減、業務の属人化、ヒューマンエラーの防止などです。詳しくは業務自動化によって得られるメリットをご覧ください。

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この記事の筆者

ライター

大久保 直人

2017年からインフラエンジニアとして、保険システムの運用・保守業務に携わる。その後、エンジニアの経験を活かし、Webライターとしての活動を開始。サーバーやネットワーク、クラウドサービス、エンジニア転職といったジャンルを中心に執筆する。現在はフリーランスのライターとして活動中。クラウドツールの活用やDXに関する記事も手掛けている。

この記事の監修者

株式会社オロ 営業推進グループ長/シェアードサビースチーム長/自動化・データ分析チーム長

麻谷 充弘

2012年に株式会社オロに入社し、クラウドERP「ZAC Enterprise」の導入支援コンサルタントとして大規模案件のPM(プロジェクト・マネジメント)や要件定義などを担当しつつ、チームマネジメントにも従事。2020年に自動化・データ分析チームを立ち上げ、現在は主に社内業務の自動化の責任者としてナレッジワーカーとデジタルワーカーのマネジメントを実践し、その効果をスケールさせるためのグループ・チーム運営を行っている。

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