【一元管理の方法7選】データの一元化は業務効率化への近道!

2020/3/17公開2024/5/27更新

業務効率化のために、様々なITツールやシステムを導入している人も多いのではないでしょうか。しかしながら、いざ新しいシステムやツールを使おうとすると、今までのシステムからデータの転記をしなくてはならなかったり、ツールごとに同じデータを入力する必要があったりと、かえって手間が増えてしまうこともあります。新しく運用フローを整備するにも時間や労力を伴うため、想像以上にコストがかかってしまい、業務効率化とはほど遠い結果になりかねません。

そんな悩みを解消する方法のひとつに一元管理があります。一元管理はシステムや管理方法を統一し、作業時間を大きく短縮するのに有効な方法です。

本記事では、一元管理のメリットから、簡単にできてすぐに使える一元管理の方法まで、一元管理の基本を紹介します。

一元管理とは

一元管理とは、端的にいえばひとまとめにして統合的に管理することです。「一元」とはいくつかに別れている問題や機構、組織などを統合すること。まとめるものはヒト・モノ・カネ・情報などの経営資源すべてを指します。

たとえば部署ごとで別々に管理していた勤怠データを全社で統合して管理したり、顧客に関する最新の情報や過去の商談履歴などを必要な際にすぐに取り出せるようにしたりすることがあげられます。管理方法が1つのやり方に統一されていることも特徴です。

一元管理は個人でできるものと、企業が行うべきものがあります。自分の仕事を管理する個別の業務の一元管理と複数人で行う仕事や共有データを管理する包括的な業務の一元管理です。

一括管理との違い

一元管理と似た言葉に「一括管理」があります。一元管理は、各部署でバラバラになっていたデータを統合し、必要なタイミングで取り出せるよう管理方法も統一することを指しますが、一括管理はあくまで「1か所に集約する」という意味です。

一括管理した情報をどう管理するかといったところまで考えることが一元管理であり、一括管理より広義の言葉だと言えます。

一元管理のメリット

企業で一元管理が実現できれば、経営資源を全社横断的に活用できるようになり、以下のようなメリットが得られます。

業務効率化による時間の短縮

情報やモノの管理方法が統一されることで、業務効率化が期待できます。たとえば過去のデータを参照する際も、データの保管場所や検索方法が定まっていれば、効率的に探し出すことが可能です。その結果、業務時間の短縮が図れます。

情報の正確性向上

データが複数の場所で管理されていると、どれが最新情報かわからなくなったり、各部署のデータの整合性が取れなかったりといった状況に陥りがちです。情報を一元管理できれば、常に最新の情報を把握できるため正確性が向上します。

モノであれば、在庫状況や受注数が1か所で管理されるため、データの重複や不一致を防げます。

適切なリソース配置

人材を適材適所に配置するのは企業において難しい仕事のひとつです。多様な人材をどう管理するか、人事担当者は総合的な判断を求められます。そのためには組織を俯瞰し、全部署の人材を把握しておくことが重要です。人材を一元的に管理することで評価や能力基準を明確化できます

また、人材の一元管理は、必要な人材を抽出できるようになることもメリットです。人員補充の可否判断のみならず、足りない社員能力を伸ばすことや、より適所に人員を配置することなどに活用できます。

部署間のコミュニケーションの活発化

情報を一元管理することは、新しい商品やサービスを作るのにも役立ちます。たとえば商品開発部が営業部の情報を参考にする、ということがいつでも可能となるのです。部署間の壁がなくなるため、連携がスムーズになりコミュニケーションも活発になります。時間の節約だけでなく組織全体の意思決定も的確かつ迅速に行われるようになるでしょう。

一元管理のコツとポイント

一元管理には様々なメリットがある一方、導入するには難しさもあるものです。そこで、一元管理を実践するにあたって押さえておくべきコツや意識すべきポイントを3つ紹介します。

目標を明確にする

まずは、一元管理を行うことで「何を・いつまでに・どの程度達成したいのか」といった目標を明確にしなければなりません。一元管理を実践するには、企業の全従業員の意識づけが必須です。そのためには、目標を定めて社内で共有し、文化を構築していく必要があります。

情報を見える化する

次に実施すべきなのは、集めた情報をきちんと「見える化」することです。いざ一元管理をやってみようとツールを導入したところで、集約した情報がどこにあるのかわからなかったり、そもそもどのような情報があるのか見えなかったりすれば意味がありません。共有された情報が必要な人に届くよう、誰でも見られる状態にすることが大切です。

情報を見える化した後は、それを使いやすくするためのルール作りも必要になってきます。

自社ルールの整備

一元管理の対象となる情報やモノは、企業によって異なります。そのため、一元管理のルールは自社に合わせて整備することが重要です。

情報を見える化するというということは同時に、利用者に与えられる情報が多くなる、ということでもあります。そのなかで自分が本当に必要な情報を取捨選択することが大変な作業になってしまっては本末転倒です。 たとえば営業報告など、自分に必要な情報が入力されたときに通知が来るようなツールがおすすめです。また、入力時にはフォーマットを利用することで、書き込む手間が下がり、他の人にもわかりやすい情報入力ができるようになります。

社内で運用しやすいルールを作っていきましょう。

今日からできる一元管理の方法 7選

では一元管理をしてみよう、と考えてみても、どうやって始めればいいのでしょうか。全社的にツールを統一するのはすぐにはなかなか難しいこともあります。いまからできる一元管理の方法はないか、みていきましょう。

  1. 資料の一元管理
  2. スケジュールの一元管理
  3. タスクの一元管理
  4. 在庫の一元管理
  5. 工数の一元管理
  6. 経費の一元管理
  7. 顧客の一元管理

個別の業務の一元管理

一元管理を行う理由の一つは業務効率化です。

もしかすると、個別の業務に対して行う必要をあまり感じていない方もいるかもしれません。「いまのままでも自分では把握しているし業務はできるから、わざわざ変えなくても...」と思っている方もいるでしょう。そんな方も、たとえば最新の文書を探すのに時間がかかったり、スケジュール調整に手間取ったりと、ちょっとした不便を感じているのではないでしょうか。一回一回はたいした時間でなくとも、積み重なれば膨大な時間を費すことになるのです。

そのような時間を削減するだけでも、業務は効率化できます。

1. 資料の一元管理

従来のアナログな情報共有方法では、紙媒体での資料確認や保管が必要でした。担当者それぞれがその書類を個別管理するため、手違いやファイリングのミスなどのリスクが発生します。しかし書類の管理が一元化できれば、関係者は共通のフォルダやファイルを見ることができ、何部も増刷したりメールに添付したりする手間も省けます。特に業務マニュアルや在庫状況や報告書など大勢が見る可能性がある資料は、電子データ化し管理、閲覧を可能にするのがよいでしょう

さらに、フォーマットを統一することで、報告書や提案書などを各々が作成しているため統一感がなかったり、新人や若手がうまく書類作成できなかったりという課題も解決できます。

2. スケジュールの一元管理

スケジュール管理は社会生活において必要不可欠です。適切に管理するには自分の予定が一目でわかることが大切です。プライベートと業務の予定を分けて管理していると、顧客や上司から予定を聞かれても即答できなかったり、ダブルブッキングが発生してしまったりする可能性もあります。そのため、一度に予定を把握できることが望ましいでしょう。

またグループウェアを使えば、管理者がチーム全員の予定や進捗などを管理できるようになります。たとえば誰かの仕事が遅れていたりトラブルにあったりしたときに、状況を即座に把握できることで、適切なサポートが可能です。またビジネスにおいて重要な報告・連絡・相談を実践するにも、グループウェアは最適といえます。

3. タスクの一元管理

やらなくてはいけないことの管理も、業務効率化に必要です。いつまでになにをやるべきかを一覧で可視化し、優先順位をつけることができれば、タスク漏れのリスクを削減できます。プロジェクト進行中は想定外のトラブルが起こる可能性も高いため、プロジェクトを遂行するためには都度タスクを整理しましょう。

さらに業務上、チームでおこなう作業と個人でおこなう作業があります。自分はなにをするべきか、TO DOリストを一元化して把握することが大事です。やるべきことが明確化されることで、精神的にも余裕を持って対応できたり、時間をうまく使えたりします。

包括的な業務の一元管理

企業の仕事はひとりだけで完結するものではありません。様々な部署の様々な業務が集まり成り立っています。そこで力を発揮するのがERP(Enterprise Resources Planning)です。ERPは、企業経営にかかせない情報を一元管理できるシステムであり、企業の現状を正確かつリアルタイムに把握し、迅速な意思決定を行うのに役立ちます。

ERPについて詳しくはこちらの記事をご覧ください。

ERPは企業規模を問わず、様々な業種で欠かせないITシステムのひとつになりつつあります。ERPを活用することで、以下の一元管理が可能です。

4. 在庫の一元管理

販売状況と購買状況を把握するのは商品を販売する上で大事な情報です。

見積もりや受注、売り上げ状況と、発注や仕入れ業務が別々に管理されていれば、正確な在庫状況を把握することが難しくなります。システムを一元化することで、必要な資材の購入を効率的に行えたり、注文・仕入れの伝票が統一化されて在庫状況も分かりやすくなったりなど、管理が容易になります。

また案件の売上に外注費を紐づけられれば、案件の粗利が把握できるようにもなります。

5. 工数の一元管理

複数人が関わるプロジェクトや工場の部門などでは、工数管理は特に重要視されます。工数管理を適切に行うことで、従業員の作業量を見える化し、どこにボトルネックがあるのか、どうやって人員配置すれば効果的かを判断しやすくなります

また、プロジェクト内の情報共有が円滑になり、改善策を講じたり改善後の検証が可視化しやすくなることもメリットです。改善点が分かりやすくなることは従業員のモチベーション向上にも繋がります。

工数管理を一元化することで企業としても課題を発見・修正しやすくなり、結果として利益率向上にも繋がるのです。

6. 経費の一元管理

ひとつの案件には様々な経費が発生します。交通費、出張費、会議費、交際費など、それぞれにおいて申請から承認、精算といった作業が必要です。これらは直接お金に関わるため、特に不正や漏れ、重複などに気を付けなければなりません。

システムで経費精算のフローを統一することで、重複や漏れを防ぎスムーズに精算まで行えます

7. 顧客の一元管理

どんなビジネスでも必ず顧客が存在します。それは個人であったり企業であったり、サービスや商品によって異なります。継続的に取引を行っている顧客とは、それぞれに異なる取り決めやルーチンが存在するでしょう。これらの一連の流れを総合的に把握することは、企業運営を円滑に行うためには欠かせません

また顧客の真のニーズやライバルの動向といった情報を集めることは、競争社会に必要不可欠です。顧客情報や市場の状況は絶えず変化しますが、それぞれの部署にデータが分散していれば経営分析や企業戦略をたてにくく、競合他社に後れをとってしまいます

各顧客のデータベースはもちろん、いままでのやりとりや関係性も含めた情報を管理・分析できれば、それぞれに適したアクションを行うことが可能です。

自社に適したシステム・ツールの活用で、一元管理を効率化

一元管理の目的は業務効率化を行い、企業が成長していける環境を整えることです。個人で行えることから、企業全体におけるシステム活用まで、一元管理の方法は多岐にわたります。

企業で管理すべきリソースは多々あり、広範囲にわたるため、ツールやシステムを使っての管理が有効です。自社の業務や文化に合わせたシステムやツールを使うことで、効率よく一元管理できます

特にERPなら、ヒト、モノ、カネ、情報といった社内リソースを一元管理でき、業務のムダ削減やデータを活用した意思決定に役立ちます。ぜひ自社にあったツールで一元管理を進めてみてください。

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この記事の筆者

窪寺 奈々瀬

東京都出身、在住。主にレジャー・ビジネス系媒体で取材・執筆活動を行っている。執筆業の傍ら舞台役者としても活躍。出演舞台多数。主宰劇団では脚本、演出も手掛けるマルチクリエイター。

この記事の監修者

株式会社オロ クラウドソリューション事業部 マーケティンググループ コンテンツマーケター

犬塚 菜々美

2012年からシステムエンジニアとしてERPパッケージソフトの開発に3年半従事。その際に身につけた業務知識やERPの知識を活かし、株式会社オロではクラウドERP「ZAC」のマーケティングチームの一員として活動。WebディレクターやSEOコンサルティングの経験を持ち、オウンドメディアの運営やホワイトペーパーの制作、セミナーの運営を担当。

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