よくある Google アナリティクス の設定の落とし穴
Google アナリティクス の設定を自動でチェックする Sunfish
>> Sunfish | GAで効果的なアクセス解析を行うための第1歩を支援
>> よくある Google アナリティクス の設定の落とし穴 記事一覧
本記事では、Sunfish のリリースから 1 周年を記念して『よくある Google アナリティクス 設定の落とし穴』というテーマで全 5 回にわたってGoogle アナリティクスに関する困った事例をご紹介します。
今回は < 突然直帰率が極端に下がった > をテーマに Google アナリティクスの設定の落とし穴をご紹介いたします。
過去に Google アナリティクス のサポートをおこなっている企業の担当者さまから、こんな相談がありました。
相談の内容は、計測している自社のサイトである時から突然急激に直帰率が下がってしまったというものでした。社内のいろいろな部署が好きに計測施策をおこなっており、原因を特定することがむずかしいようでした。
同じ Google アナリティクス のプロパティ上で、さまざまな部署が計測施策をおこなっている場合にこういった問題はありがちです。
個別の部署でおこなっている計測施策が全体の集計に影響をおよぼすことで、サイト全体の集計をおこなう部署に影響が出てしまい、誤った施策をおこなった部署とは違う部署が対処に追われるというものです。
本来であればサイトの計測施策は統括する部署が把握し管理をおこなうことが望ましいのですが、なんとなくサイトに Google アナリティクス などの計測ツールを導入して、なんとなく各部署個別に管理をおこなってきたという企業も多くあります。こういった場合は、企業規模がある程度大きくなってきた時に管理体制を再検討することが望ましいです。
なお、こういった現象に直面したお客さまからよく聞くのが、「Google アナリティクスを触ってないのに突然直帰率が下がってしまった!」という言葉です。
基本的には何もしていなければ異常とも思われる現象はおこらないため、なにも変更をしていないからと思考停止に陥らず、問題の切り分けをおこなうようにしましょう。
まず、調査をおこなう前に直帰とはなんであるかを理解する必要があります。
Google アナリティクス では、ユーザーがセッション内でインタラクションを 1 回おこないサイトから離脱する場合に直帰と判断します。 インタラクションとはユーザーがサイト上でおこなうさまざまな行動をあらわし、以下に記載のヒットととして計測をおこないます。
< ヒットタイプ >
ユーザーが上記の操作を 1 回おこないサイトから離脱するということは、直帰に影響を与える操作はページビュー以外にもあるということを頭に入れておく必要があります。
例えば、(1)のようにサイトに訪問して 1 ページを閲覧してサイトから離脱した場合は、1 ページビュー = 1 ヒットのため直帰となります。
1 ページビュー = 1 ヒット
(2)の場合は、1 ページを閲覧しそのページにあるダウンロードボタンから PDF をダウンロードして離脱をしました。この時(2)の行動は 1 ページしか閲覧していませんが PDF のダウンロードでイベントを計測している場合は、1 ページビュー + 1 イベント = 2 ヒットとなるため直帰とはなりません。
1 ページビュー + 1 イベント = 2 ヒット
なお、直帰率とは上記の直帰の数にセッションを割った数字です。セッションは、ユーザーの最初のインタラクションにひもづきます。つまり、1 回サイトに訪問して離脱した数を全体の訪問で割った数値が直帰率となります。
直帰率 = 直帰数 / セッション
続いて、直帰率が減少したページの調査方法をご説明します。
まず、トレンドグラフ(期間のグラフ)に、直帰率が下がった期間がわかるようにデータを表示します。
例えば、標準レポートの "行動" レポート配下のレポートでは、トレンドグラフにデフォルトで "ページビュー数" が指定されています。(図 1 )
トレンドグラフは 2 つまで指標を指定することができるためページビュー数に合わせて 2 つ目の指標に直帰率を指定します。(図 2 )
続いて、全体のサマリーに影響を与える直帰率を調べるには大きな単位で数値を確認していくことが重要です。
例えば、ディレクトリごとに第一階層から徐々に階層を下げていって原因を探ったり、コンテンツグループを設定しているのであれば、コンテンツグループのグループ単位で確認することが原因究明の近道になります。
< 確認のポイント >
Google アナリティクス の標準レポートでは、ディレクトリ単位で集計を把握することができる "ディレクトリレポート" があります。このディレクトリレポートは直帰率をディレクトリという単位で把握することができ、さらに特定のディレクトリをドリルダウンすることで直帰率の高い階層を掘り下げることができます。
また、コンテンツグループを設定しているのであれば、設定しているグループごとに直帰率を比較することで原因のページの特定をおこないやすくなります。
コンテンツグループの確認をおこなう "すべてのページ" レポートでは、最大で 6 つまでグループの比較をおこなうことができるため、上の図のように比較したいグループのチェックボックスにチェックをいれ、"グラフに表示" ボタンを選択することで、トレンドグラフ上で対象のグループごとの比較をおこなうことができます。
< 大きな単位での確認方法 >
直帰率が急激に減少する問題のパターンとして、以下の 3 つがあげられます。
1 つ目は、ランディングページになりうるページにイベント計測をおこなっていることが原因でした。
企業サイトの配下にある WEB サービスを提供するページで、WEB サービスの利用度合いを把握するためにイベント計測を実装していました。しかし、この WEB サービスを目的にサイトに訪れるユーザーが多く、この WEB サービスページがランディングページとして閲覧されることが多いことから直帰率が大きく減少する要因となりました。
この場合の解決策は、イベント計測のヒットをインタラクションのヒットとして認識させない処理をさせる、非インタラクション(non-interaction)を true で設定することで回避することができます。
< 対処法 >
2 つ目は、ページビューが 2 重で計測されていることが原因でした。
トラフィックの多いページに、タグを 2 重に実装してしまい 1 ページ上で 2 ページビューのヒットが送信されていました。こういった問題は、トラッキングコードの実装だけでなく、タグマネージャーや CMS のプラグインによる実装においても起こりえます。
例えば、Google タグマネジャでは集計範囲をトリガーによって指定しますが、カスタマイズによってページビューを集計するタグを 2 つ以上に分ける必要がある場合は注意する必要があります。複数のタグに付随するトリガーでサイト全体を網羅するよう集計範囲を指定する必要がありますが、おのおののトリガー同士で集計範囲が重複する場合はその重複したページで 2 重に計測がおこなわれます。
なお、2 重計測の場合は、直帰率の減少と反比例して同時期にページビュー数が増加するため問題の切り分けがおこないやすいのも特徴です。
< 対処法 >
3 つ目は、ランディングページになりうるページに e コマース計測を実装していることが原因でした。
通常、ページビュー以外のタイミングで情報の取得を考える場合はイベント計測を利用します。しかし、取得したい情報が多い場合にはイベント計測では項目が足りないことがあります。e コマース計測は、その拡張性の高さから商取引の計測以外にもイベント計測のように自由な値を取得することもできます。
例えば、就職サイトや旅行サイトなどのように検索条件が複数ありその情報を取得したい場合に e コマース計測の取得項目の多さは魅力的です。
しかし、 e コマース計測はイベント計測のように非インタラクション(non-interaction)のオプションをもたないため、ランディングページに実装をおこなうと直帰率減少の原因となります。
この場合は、 e コマース計測から非インタラクション(non-interaction)のオプションを持つ拡張 e コマースに差し替えをおこなうことで、複数の情報を取得する計測をおこなうことができます。
< 対処法 >
解析ツールの運用に不安がございましたら弊社までお問い合わせください。